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Theirema Del Faya

やってくれそうな佇まい

Tea Party MUSIC

この単語にピン!ときた人はなかなかどうして、結構なハウサーだと思う。
このTea Party MUSICはIan Fridayが主催するディイベントの冠でパーティ名がそのままレーベルタイトルになっている。もちろん今はCLOSE。リリース数もそんなに無かったはず。だが2000年以降のHOUSEに触れてきた人なら絶対と言っても過言では無い神レーベルではないでしょうか。印象がえぐい。

Ian FridayというHOUSEの鍵

自由じゃなんじゃと言いながら一晩のプレイを成り立たたせるための構造ってのはあるから、セオリーというかそういうものは年月を重ねるとわかってくるもの。そのひとつがIan Fraiday(とその周辺) である。
Ianといえば今もかなりの頻度でMIXをUPしてくれている彼だが、聴くたびに「?!」となるのでかなりの消耗を覚悟して聴く必要がある。エピソードで言えば、かのカニエ主催、The Sunday Service Choirによるkeni Burke-Rising To The Topをカヴァーした一曲をかけてて、(またそのリリースがG.A.M.M.っていうね!!)えっえっえってなりましたよ。すぐに買ったよね。

まあそんな余談は置いといて、IanFridayのサウンドはJihad Muhammadに近い、断続的なビートの持久走で上がり下がりが少なく、だが感情的に揺さぶる旋律と、さぁここから!と疾走していくような高まり(重要なのは高まり!)という、貴重なピースなのである。タイトルのこの曲は確かに別格ではあるが、Ianとその周辺についてはこの後にリリースされていくトラックとVocalメンバーを見るとNYCハウスという地場を支える超重要なカギを握る人物であることが伺い知れる。この曲一本ってわけではないということ。その後ヒット!という感じで世に広まったトラックといえばKissing Youや、Angel In Disguiseあたりでしょうか。Byron J. MooreやMANCHILDBLACK、Cris Robなど香ばしすぎる人物を抱えながら無くてはならない一つの軸と化けていったのです。Kissing youはBlaze絡んでいるから実質天下取ったといっても過言ではない。王室オフィシャルみたいなもんよ。

Brooklyn House

彼のDJ Styleは現代HOUSEをひとつ作ったと思っています。余すところなくNYCハウスの真髄をちりばめ、R&Bの世界とクラブカルチャーがもたらすディープなサウンド、豊かなリズムとダンクラのMixingは渋みもあるけどむしろ爽やかさが際立っている。特にNYCハウスといえば、Danny Krivit、Louie Vega、Joe Cloussell、Francois K、…といったGarage世代の巨匠がまだまだ現役で、一度聞いたらわかると思うけどプレイ1曲の持たせ方や引き込み方がまったくもって別次元。核爆弾落とすみたいに一曲一曲で殺しにくるし、プレイの始まりから最後までストーリーがあり、そして聴く側の期待を裏切って余裕で斜め上をいっちゃう。
そんなプレイと比べると平たく言えばよりアングラな感じではあるんだけど、間断なく繰り広げられる打ち込みの世界、知る人ぞ知るクラシックのスムースな展開は唯一無二で「Brooklyn」の代名詞だと自分は位置づけている。そんな彼の世界観、背景を表す代表曲がこのTheirema Del Faya-Ian Friday pres. Anto Vitale なのである。

そして`神‘曲へ

Vocalハウスを選ぶのは難しい。なぜなら、歌詞の理解とトラックの背景、明確な旋律によるセンスの露呈という査定が発生するからだ。コケると一気にセンス無い奴の烙印を押されるので(少なくとも私は押す)、歌モノを選ぶにおいて、明確な本人の基準が無くてはならい。こうあるべき、のような話は好き好きだと思っているのでそこは問題でなくて、とにもかくにもセンスが問われる歌モノはついつい忌避しがちとなり、つまらんDJが量産される原因ともなっているわけであるが…、困ったならこのTheirema Del Fayaをかけろ!と声を大にして言いたい。
センスのない奴は情報戦を制せよ。(私はそう。)
何をかけるかでなく誰がかけるか、の誰になれない人間は泥臭く選曲しなくてはならない。そんなあなたにお勧めなのがこの曲である。まあ普通にいい曲なんだけど、この10年余りでしっかりと発酵されていっており、芳醇な歌もの、だけども音の鳴りはフレッシュ、現役味もあるという、大変テイスティなトラックである。

RonちゃまのMIXでその有効性、神っぷりが堪能できます。※前回の記事にTrackList掲載済。

fullbozmanで落とすこともできるのでぜひ聞いてほしい。


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