怪異ものとしての美しさ/映画「岸部露伴ルーヴルへ行く」
岸部露伴ルーヴルへ行く、観た。
原作は観ておらず、NHKドラマを毎年楽しみに観ていた。
冒頭
冒頭に岸部露伴の能力についての説明などもあり、初見の人でもわかりやすいと思う。
岸部露伴の家のシーンでは姿はないが犬の鳴き声がしていた。
TVドラマの際に岸部露伴が飼っていた犬のバキンがまだ飼われている事に嬉しく思った。
青年時代
岸部露伴(青年)という表記で若かりし頃のエピソードがある。
原作の「岸部露伴ルーヴルへ行く」では岸部露伴は27歳だったそうだ。
高橋一生の岸部露伴は何歳想定なのかはわからないが、キャストが別というのを考慮しても青年期と書くにしては別人すぎた気がする。
かなり丁寧にそのエピソードをなぞっているだけに、違和感が残った。
色味
作品の造りが能力によるバトルというよりはどちらかというと怪異もののために派手なシーンはないものの、コントラストの強い不気味な雰囲気が出ていたと思う。
岸辺露伴が白黒をベースにしているのに対し、編集の泉も深いワインレッドなどのシックな色合い、全体的に落ち着いた色味のなかにルーヴルの華やかさが映えていたと思う。
ルーヴルのシーンはさほど多くないが、ルーヴルで動きのあるシーンがあったためなかなかにドラマチックだった。
後日譚
後日譚というのだろうか?本編なのだろうか?
一応事件収束の後のストーリーがある。
それが素晴らしかった。謎が解けるというよりもこれは怨念の物語なんだというのがわかる。
そしてその演技も素晴らしいもので鳥肌が立った。
鑑賞後
原作が好きな方だったのだろうか。
前に座っていた方は首を傾げていた。
確かにテンポが冗長してしまった部分もあったが、普段飄々としている岸辺露伴の一面だけでなくあらゆる角度から噛み砕いたような高橋一生の表情にははっとさせられることが多い作品だった。
確かに能力を使う機会が多いわけでもないため、アクション性を求めていたら疑問だろう。
ただ、人間ドラマ、怪異作品としては良いものだと個人的には思う。