Mリーグ2022-2023シーズンの順位を「計算」で予想してみた
契約更改とドラフトが終わり、新規に3名が入れ替えとなって迎えるMリーグ2022-2023シーズン。開幕を待つだけとなった今の時期にできることは順位予想くらいだ。
基本的にどんなスポーツでも順位予想は当てにならない。新規戦力の加入による戦力UPは各新聞社や評論家の独自の観点に過ぎず、元OBの選手は自身の所属したチームへの評価が異様に高かったりする。
それ以前に、Mリーグにおいては、これといった予想記事を筆者は見たことがないため、試しにやってみようじゃないかというのが今回の趣旨になる。できる限り根拠性を出すために昨年の成績をベースにしてみよう。
なお、便宜上昨シーズンのデータを元に算出を行うのであって、前シーズンの成績がそのまま翌シーズンに当てはまらないことを予めご了承願いたい。あくまで予想のための下拵えだと思って読んでいただきたい。
算出すべき期待値
数値化を図るにあたってどうしても不確定要素となるのが「新規参戦した選手の期待値」である。全員が直近のタイトルホルダーで勢いのある選手なのは確かだが、だとして+50なのか+100なのかは皆目見当つかない。
いっそのこと、こういったファジーな要素は無視して、既存メンバのみの来期期待値をしていこうと思う。スポットライトを当てるのは、「新規加入選手」ではなくて「退団した選手」になる。
期待値の算出
今シーズンの成績から退団した選手の影響を省いた数字を出すには、退団した選手の出場試合分のスコアを個人成績から除けば算出できる。試合数がまばらになってしまうが、ドラフトで加入した選手と入れ替わったものとする。(新規加入選手のスコアは0とする)
下記にレギュラーシーズンにおける来期の期待値を算出する。ポストシーズンの値は足切りなどがあり、別計算が必要のため当記事後半で別途行う。
算出結果の表の見方
A:2021-2022のスコア
B:沢崎・朝倉・石橋と同卓した試合の獲得スコア合計
C:再計算された個人成績(A-B)
D:再計算されたチームスコア(チーム毎のC合計)※別表
※なお、各列合計が-20となるのは、昨期チョンボ罰符20000点分が発生しているため。
上記表を見ると、各チームとも大きく影響が出ていることがわかる。
ドリブンズと格闘倶楽部、雷電、パイレーツはスコアを伸ばし、
風林火山、サクラナイツ、アベマズ、フェニックスはスコアを減らしている。
元々レギュラーシーズン1位通過のパイレーツは沢崎と小林・瑞原が同卓した試合が僅か3試合のため沢崎退団の影響度合いは少なかったが、石橋のマイナススコアがゼロになる影響が大きく、期待値計算結果が500ポイントを超過した。
逆にサクラナイツは朝倉・石橋と同卓した内川・岡田・堀はいずれも負け越しているため、パイレーツ両名の退団自体は朗報なのだが、それ以上にレギュラーシーズンで2位につけた沢崎退団の影響が大きく、再計算したチームスコアはマイナスとなった。
ドリブンズはおじさん3人がこの3選手に大分やられていたため、期待値計算の結果、チーム順位が7位→3位と大幅に上昇することになる。なお、丸山は退団した3選手と試合がなかった。
雷電も400ポイント以上のスコア改善が見込めるものの、それ以外の選手にも負けすぎていて順位変動には及ばないままとなっている。瀬戸熊に至っては当該3選手との同卓時合計スコアは微プラで来期期待値も個人成績最下位のまま、という始末。
逆に400ポイント以上マイナスの風林火山は、上記計算式だとレギュラーシーズン敗退になってしまう。アベマズは松本の個人成績がマイナスになっているが、元々のチームスコアが高かったために順位変動幅は小さく、フェニックスは先の2チームに比べて影響度合いが小さいため6位で踏みとどまった、という結果となった。
一番影響の少ない格闘倶楽部ですら150ポイント程の差分となっており、結果として、今期退団した3選手の影響は敵・味方問わず各チームに大きく影響が出る、と予測できる。
相対値から見る選手個人成績の変動予測偏差
一方で、上記の計算は出場試合結果を消し込んだだけのため、例えば選手個人間の相性などに着目が出来ていない。相性の悪い選手と同卓する機会が減れば当然スコアは伸びる可能性が高くなるし、逆にお得意様不在の状態では今期同様の活躍ができない可能性もある。
そのため、参考値として昨シーズンの沢崎、朝倉、石橋との各個人間の得失点数を一覧化してみた。各選手の来期個人成績昇降予測値を抽象的ではあるが可視化する。
※数字は2021-2022レギュラーシーズンのもの
一番注目するべきは得失点差マイナス400越えの高宮の対朝倉戦績の悪さ。半荘獲得ポイント歴代2位を記録した試合でラスだったことを含め3戦3ラスと、天敵を通り越して天中殺な程の相手と来期戦わなくていいのは、本人だけでなく、今期賞金なしに終わったチームにとっても朗報と言える。伊達も沢崎を苦手としていたため、来期は女性陣の活躍に期待できるのではないだろうか。
ドリブンズは対象の3選手からコンスタンスに負けていた村上の復調に期待が持てそうだが、たろうはほぼプラマイゼロとなっており、先述の期待値の表と比べて大きな差がある。理由としては「たろうと沢崎・朝倉・石橋の間のポイント差はそれほどでもないが、大体3~4着のためマイナスポイントは大きく膨らんだ結果」となっている。実際、この3選手と同卓した際のたろうは7回同卓してトップ1回ラス3回となっており、「苦手ではないが同卓すると調子が狂う選手」という立ち位置だったことになる。
※因みに村上は、3選手と8回同卓して1トップ5ラス。
風林火山は勝又が3選手とも得意としており、同卓した6試合すべてで連帯していた。来期は一気に猟場が縮小してしまうことになる。特にレギュラーシーズン2位の成績だった沢崎をカモにしていたのは驚きだ。一方で松ヶ瀬・亜紀・瑠美は沢崎を苦手としていたため、チームで見るとサクラナイツ戦は今までよりは戦いやすくなったかもしれないが、朝倉・石橋は得意としていたためパイレーツ戦は昨期のようにはいかないだろう。セミファイナルで敗退し再起したいチームにとっては、不安材料がやや多めとなっている。
一方でアベマズは、松本の対石橋成績が大きく下方変動要素であり、他の選手にとっては、苦手沢崎の退団は好材料といえる。朝倉には全員相性が良かったため、風林火山同様、パイレーツ戦は前期に比べて戦いづらいかもしれない。いずれにしても、松本の新しい口座をいかに見つけるかが来期レギュラーシーズンのカギになりそうだ。
フェニックスも「沢崎苦手・パイレーツ得意」がくっきりと出ている。創設メンバの魚谷・近藤・茅森はそれぞれ得意としていた選手が退団したため、パイレーツ戦は苦戦が予想される。唯一、数値的にそこまで依存度が高くない東城の対パイレーツ戦の来期成績に注目したい。
そして雷電。黒沢が苦手としていた沢崎・石橋が退団したため、来期はプラス3桁の復権が期待できそう。本田も対サクラナイツで今まで以上に戦えそう。ただし、それでも数字的には厳しいことに変わりはなく、現存の選手との相性差をひっくり返すくらいでないと、来期も光明が見えてこないだろう。
ちなみに、前期のポイントから、上記の得失点差を引いたものを算出すると以下の通りになる。本来得失点差をスコアに混ぜ込むことはあり得ないが、相性差を加味したブレ値のようなものとして、いちおー計算してみた。
先ほどのスコア計算と比べて、チームポイント1位と2位、5位と6位が入れ替わっているが、元々補足程度の計算のため特に気にする必要はない。「順位だけ見れば概ね合致している」という結果になった。
レギュラーシーズン順位予想
1.パイレーツ
2.格闘倶楽部
3.ドリブンズ
4.アベマズ
5.サクラナイツ
6.フェニックス
7.風林火山
8.雷電
ポストシーズンの「計算」
レギュラーシーズンの成績を先述の期待値のとおりと仮定して、開始時のスコアを算出する。
ここから、セミファイナルの期待値を、昨期の値をベースに算出するにあたり、レギュラーシーズンよりさらに不確定要素が増える。まず昨期7位のドリブンズはセミファイナルのデータがないため、新規選手同様0計算とする。さらに昨期の試合結果から沢崎・朝倉・石橋の他に、予想上レギュラー敗退とした風林火山の試合も対象外とすると、ほぼ試合がないものになってしまう。※上記に当てはまる試合はたったの6試合。
このため、セミファイナルの予想は、昨期得失点差の算出にとどめる。
昨期のセミファイナルは沢崎・朝倉・石橋ともに苦戦しており、また風林火山もスコアが伸ばせずに敗退を喫した。そのため既存メンバの得失点値は軒並みプラスになっている、イコール来期は得意な相手が残っていないため厳しい戦いになることが予想される。
そんな中でパイレーツは小林、瑞原ともに昨期の数字がマイナスになっている。セミファイナルの個人成績が最下位タイの瑞原はわかるとして、実は小林はセミファイナルで3回取ったトップの内、2回は沢崎も風林火山もいない試合のためプラススコアに補正がかからず、沢崎・風林火山と同卓した際は負け越しているため、元々高かったSFの予想スコアが、来期さらに高くなる予想となる、稀な事象が発生している。
瑞原と昨SF最下位タイを分け合った多井、風林火山に負け越した滝沢以外は、来期のスコアが大幅ダウンするという計算になる。このため、そもそも昨期SFに出場していないドリブンズや、退団メンバーのいるパイレーツ、サクラナイツは計算上かなり優位になる。
※決して信頼度の高い数値ではないので、念のため。
というわけで「計算した結果」のポストシーズンの順位予想は以下の通り。
因みに、ファイナルは計算できる要素がわずかしかないため、そのまま順位変動なしとする。
ポストシーズン順位予想(ファイナルも順位このまま)
1.パイレーツ
2.ドリブンズ
3.格闘倶楽部
4.サクラナイツ
5.アベマズ
6.フェニックス
各チームの展望
最後に各チームの展望を書く。これは数字でも何でもないので、興味ある方だけお付き合いください。
・雷電
昨シーズンのマイナスが強烈すぎて、どうにもポジティブな予想ができない。全員のスコアを平均300近く上げる必要があるのだが、萩原・瀬戸熊と個人累計スコアがブッチギリ下位2名を擁しているチームにそれは酷な話。黒沢が復調する前提で、最大試合数出場するくらいの偏りでないと巻き返しは難しく、基本的に奇跡待ちの状態になってしまっている。個人的には一方的な展開を2年連続で見るのも興が冷めてしまうため、何とか踏ん張ってほしいところ。
・ドリブンズ
昨期不調だった村上の天敵が3人とも退団したため、雷電と違って割と明るい材料がそろっている。ただ、当然ながら新しい選手に同じように負けないようにしないといけない。ポストシーズンにさえこぎつけば、短期決戦通算成績1位の鈴木たろうという強みがあるので、やはりレギュラーシーズンをいかに戦うかに焦点が当たる。通算成績でいうとむしろ園田の方が不安は大きく、昨期も結局マイナススコアだったため、逆に昨期プラス成績だった丸山の出場機会を増やしていく方が未来がありそう。
・パイレーツ
ここに関しては「他が足さえ引っ張らなければ小林がなんとかする」というイメージしかない。2年連続敗退も結局は他選手のマイナスが原因であり、昨シーズンMVPの瑞原もポストシーズンまで見た通算成績はトントンくらいで、むしろポストシーズンには未だ不安を残す。小林が不調の際に、代わりにポイントゲッターとなれるメンバーが現れるかどうかという期待もあり、そういう意味では新規参戦の鈴木優・仲林に注目が行きそうだ。シーズン通して柱が2本になれば、当記事の予想通り優勝候補になると思う。
・風林火山
勝又の得意先が3人退団したため、新加入選手と戦って同じように勝てるかどうかがキモとなる。3選手が昨期をプラススコアで終えているため安定感がある・・・ように見えて、隙あらばタキヒサ×ルミアキで遊ぶためスタッフサイドの采配面に懸念点がある。この記事の数値上の予測ではレギュラーシーズン敗退となっているが、上振れ要素は比較的多く、瑠美の成績次第では十分戦えると思う。ただ、昨期のセミファイナルでは勝又の負担が高かったため、松ヶ瀬がいかにカバーできるかが当面の課題か。
・格闘倶楽部
苦手選手の退団により好材料が多いが、裏を返せば高宮はいよいよ言い訳が出来なくなってきた。通算成績もワースト3位に位置しており、チームは昨期活躍した伊達がいるため女性選手数下限値も満たしている。おそらく今年が正念場ではないだろうか。ただ、賞金獲得のためには、それに加えて寿人のポストシーズンの出来の悪さも改善が必要。滝沢もポストシーズンは得意ではないため、必然的に伊達の2年目の成績がカギを握ることになる。昨期と同じだけの活躍が果たしてできるか。
・アベマズ
レギュラーシーズンに関していえば、石橋退団の影響を松本がどうカバーするか。そこさえ何とかなれば特に不安要素はないだろう。問題は、セミを2倍、ファイナルを4倍としてスコア計算した場合、レギュラーシーズンで貯めた1,160ポイント余りをとうとう全て吐き出した多井のポストシーズンの起用法。レギュラーの出場回数を増やし、逆にポストシーズンは減らすなど工夫がほしい。万年銅メダル脱却のキーパーソンは日向。上記計算での通算成績は何と全体で5位と好成績だが、みんな意外と気付いてなかったりする。
・フェニックス
例年レギュラーシーズンに強い近藤は昨期スコアはトントンだったため、得意先の朝倉退団で更に調子を落とさないようにしたい。レギュラーシーズンの成績が安定してきた茅森はポストシーズンが苦手のため、魚谷との起用の分担を図りたいところ。そもそもこのチームは隔年でレギュラー敗退と2位入賞を繰り返しており、全体的に不安定感が強いため、ファンの安心のためにも昨期同様「なんとなくプラスで纏める安定感」を東城が担えるかどうか。真価?が問われる2年目になると思う。
・サクラナイツ
沢崎退団で失ったレギュラーシーズンのポイントをどう埋めるかがカギ。一昨年にMVP争いをした内川、昨期1トップしか取れなかった岡田の巻き返しが期待される。逆に沢崎はポストシーズンはめっぽう弱く、シーズン通しての堀への負担が高かった。それを来期新加入の渋川がどれだけ軽減できるか。最長老が抜けて弱くなったといわれないようにしたい。チーム平均順位は2.33と戦力的な安定感こそあるが、昨期はメンバーの入院や骨折があったことから、連覇への一番の課題は健康面かもしれない。
ということでずいぶん長くなったが、以上が来シーズンのMリーグ予想となる。
なお、計算ミスとかは修正する気力がないので、見つけても教えてくれなくていいです・・・
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