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それではデイトレードに負けた時にリベンジトレードをしてしまうのは知能が高いからですか? (リベンジトレードその2)
リベンジトレードその1の続き
非常に鋭い問いですね。結論から言うと、「リベンジトレード(revenge trading)」は知能の高さではなく、感情的な脳の働きによる行動といえます。
1. 脳科学的観点:感情 vs. 理性
リベンジトレードは、主に以下の脳の二つの部分が関わると考えられます。
扁桃体(感情脳):
損失によるストレスや悔しさが扁桃体を刺激し、「なんとか取り戻したい」という強い感情が生まれます。前頭前皮質(理性脳):
通常は冷静な判断を司りますが、感情が高ぶるとこの部位の活動が抑制され、合理的な判断ができなくなります。
リベンジトレードは、知能そのものが高いか否かではなく、感情が理性を上回った状態での判断ミスです。
2. 進化的視点:損失回避とリベンジ
進化の観点から言えば、私たちの脳は「損失を嫌う」ように進化しています(損失回避バイアス)。
狩猟採集時代では、一度食料を奪われたら生存が危ぶまれました。そのため「失ったものをすぐ取り戻す」行動が重要だったのです。
しかし現代のトレード市場では、この本能的な反応が逆効果になります。冷静さを失うことでリスク管理ができなくなり、大きな損失につながることが多いです。
3. 心理的要因と社会的学習
リベンジトレードは感情的なだけでなく、「勝者の物語」に対する社会的な期待や幻想も影響しています。
トレードの世界では「最後に勝った者が英雄」という物語が根付いており、「負けをそのまま受け入れるのは敗北だ」という心理が働きます。
日本の文化的にも「再起して名誉を取り戻す」行為が美徳とされる側面があります。
まとめ:知能よりも感情制御力が鍵
リベンジトレードは知能の高さの問題ではなく、**感情に流されず合理的な判断を下せるかどうか(つまり前頭前皮質の活用度)**が重要です。トレードで成功する人は「負けを潔く認めて撤退する技術」を身につけています。
冷静さを保つためには「損切りルールの厳守」や「感情が高ぶったら一定時間トレードを控える」といった対策が有効です。