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大学機関こそCollective Impact

はいどうもみなさんこんにちは、くまだいです!
今日は2011年に提唱された「Collective Impact」について世の中に出ている記事や論文を凝縮しながら端的にその可能性について書きたいと思います。

Collective Impactとは

21世紀を生きる僕らが身を置く「社会」には、目を瞑りたくなるような現状が山ほどあり、その根本原因は大きく分けると
①問題!と捉える現状の複雑性・相互依存性が増している
②解決したい!と思う主体に潜む価値基準が、理想を描くことを邪魔する

の2つに集約されると思います。

「教育問題を解決しないと!」と一言で訴えても、教育問題を5W1Hにすら分解することができないのが僕らが目の前にしている課題です。「なぜ日本では7人に1人の子供が貧困状態にあり学校に通えないのか」という問いをぶん投げられたときに、「あーそれはね」ってシンプルに構造化して課題特定をすることは至難の技です。
同様に、「じゃあ解決していこう」と実行する勇者が現れたとしても、予算が・・・それは当社の方向性とは・・・ちょっと待ってね上に確認する・・・と、内在する価値基準に揉まれて、最初に描いていた大きな理想に沿わない形で実行案が出てきてしまう。
これでは、一向に僕らの住む世界は良くならないな、と僕は思います。

20年前の経営者たちもこの問題にぶち当たっていたのでしょう。特に2000年代に起きた世界的な金融危機が、社会課題を解決しようとする取り組みに対する投資活動を短期的な財政支援だけに制限させていき、②をより強くしていました。(業績悪化するとすぐCSR予算切るのと一緒ですね)でも、肥大化する都市部人口やその多様化、ITバブルによる産業構造の変化、複雑に絡んだ人種問題や貧困問題などの現実を、その投資基準で解決することは難しい。
より効率的で効果的な方法を企業やソーシャルセクターが模索し始めた中に、「他者を巻き込んで自分たちを補ってもらう」取り組みが出てきました。各組織のCEO レベルのリーダーたちがセクターを超えて、課題に対して自らが保有するリソースを積極的に投下していったのです。

社会的な問題を単一組織が解決することは難しいからこそ、専門性や保有リソースの異なる主体が、共通のVisionと双方へのRespectを持って、掛け算的な解決策を実行する(共創する)ことが必要です。双方の専門性や保有リソースが①を構造化し、VisionとRespectが②を乗り越える。
これがCollective Impactの根本にある考え方だと思っています。

Collective Impactを生み出すために必要なこと

2011年にJohn Kania(FSG マネージングディレクター)とMark Kramaer(ハーバード大学 ジョン・F・ケネディ行政大学院 上級研究員/FSG マネージングディレクター)によって提唱された「Collective Impact」という論文には、5つの条件が記載されてます。以下に簡単にまとめて見ました。

Collective Impactの具体例

上記の要件を満たす取り組みは、アメリカで多く紹介されています。ここでは、個人的に日本でかっこいいな、と思う取り組みについて有名どころではありますが、紹介していきたいと思います。(随時アップデートしていく予定なので何かご存知のものがあればコメントください!)

こども宅食:文京区内のひとり親家庭など生活の厳しい約1000世帯を対象に、米・飲料・お菓子など約10kgの食品を1カ月に1度無料で届ける計画
コレクティブフォーチルドレン:尼崎市において、生活保護世帯や所得が一定基準以下の世帯に住む、0 歳から20歳までの子ども・若者を対象に、塾・予備校、スポーツやピアノ等の習い事、体験活動、保育サービス、相談支援等のサービスを選んで使える年間最大で28万円のクーポン
スタディクーポン・イニシアチブ:経済的な理由で塾に通えない高校受験生・中学3年生に対して、寄付金を原資にしたクーポンを提供

大学機関こそCollective Impact

一人の学生として、大学機関こそCollective Impactを実践していくべき組織だと感じてます。産学連携、大学発ベンチャー、共同研究が頻繁に注目されている昨今ですが、それらは以下のように構造化できるんじゃないかって思います。

ゼミや研究会と呼ばれる組織は、基本社会科学・自然科学のどちらか(時にはその掛け算)にスペシアリティを持って学問を極めています。しかし、その研究実績が実社会に応用されていくには時間もお金もかかる。時にその研究が社会を変えうる素晴らしい取り組みなのにも関わらず、気づかれずにドブに捨てられていくこともあると思う。
大切なことは、科学的にも実社会的にも何が「既知」であり、何が「無知」であるか正しく認識した上で、各4事象で価値発揮するために必要な組織を大学機関発で巻き込むことだと思います。

巻き込もうとするプロセスで、最初に記載した5条件を意識していくことによって、「孤立した頭脳集団」ではなく、「インパクトのためのブレーン」という役割を担えるのかなって思ってます。

以上です!修正やフィードバック、ざっくばらんなコメントじゃんじゃんください!

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