1st Online European MCR Duplicate Championship (OEDMC) やってみた

例によって全文無料、標記の大会に参加したので経験を共有する。デュプリケートについては前回の記事「デュプリケート国標麻将やってみた」を参照

結果

+1 IMP で 33位/116名。1回戦に大きなビハインドを負い、返済がやっとだった。私より下は全員マイナスなので中央付近かと思いきや、合計プラスが全体の 1/3 もいない。

優勝は +55 IMP で Jose Moreno Merino さん (ESP), 準優勝は Svetlana Simonova さん (RUS), ここまでは (ヨーロッパ選手権とかで同卓していたことはあるかもしれないが) 認識していない方々。3位におなじみ宋盼婧さん (CHN) が入り、日本人トップは三宅浩一さん21位。

詳しくは公式サイト参照

内容

1回戦はプラスが1局だけと厳しい結果になった。

南1局北家、そんなに判断の分かれる手ではないが、安全度のために残していた 9p が重なり 9s 切り。

スクリーンショット (60)

次巡に 1s を引いて筒子を落とし、薄い (とはもちろん知らなかった) 8s で清龙ツモ。

スクリーンショット (61)

が、ちゃんと考えれば摸1s打9s が正しく、チーしてある 978m を活かした花龙と三色三步高との両方を残して進めることができる。2s をチーすると 4p (私はツモ切って鳴かれた) で花龙のアガリになりそうだ。実際、デンマーク選手権でチームを組んでくださった Marco Montebelli さん (ITA) は (切り順の関係で 9p 重なりによる将頭選択が発生していないが) そうなっている。

スクリーンショット (62)

ここではテンパイ打牌を 4s とすると 8s で三色三步高との両面になるので (巡目の関係で上家が 7s を先に切って合わせられるのでなければ) そちらのほうがよさそうだ。下家は 35 でチーするかもしれないが 4p は食い取られないので安心 (とは)。

この 4p をツモ切って鳴かれるだけならよかったのだが、上家に配牌2種 (688p) から押し寄せる筒子の清龙に刺さった卓もある。

スクリーンショット (63)

ここでは下家が発を重ねており、その場合はこの卓のように五门齐になったり、また別の卓では无番和をアガっていたり。

西1局北家、防ぎようがないように見える大三元混幺九を発でツモられ素点 -51, が、席平均はなんと +1.97 とプラスで -8 IMP の痛手。

スクリーンショット (55)

南家は第3ツモで中を重ねているが、東家が五门齐を途中で諦め中を鳴かせると防ぎようがない。

発より先に中を鳴かれた場合は東家が中を切るような手にならないため (切って放銃となったところが4卓あるが、アガれた卓は1つもない。宋盼婧さんは発を鳴かれて中を止めた) 北家にアガリがあったようだ。止めた方が +4 IMP, アガった方が +6 IMP 程度。

スクリーンショット (56)

つまり私の席では他家が中を切ったかどうかや発との切り順で 14 IMP もの差がついている。

またある卓では東家が五门齐を目指し続けて終盤までもつれ、西家のアガリに。

スクリーンショット (58)

実は南家は七对の1向聴なので1巡目に打たれた白をスルーし、すぐにアガったところもある。双箭刻どまりでも他にいくらでもアガりようがありそうだし、よほど自信がなければ七对は選ばない気がするが...。

スクリーンショット (59)

2回戦の東2局、ゴミのような鳴きからゴミのようなアガリで +6 IMP 獲得。

スクリーンショット (64)

まともなアガリをしている方がいるかと他の卓を見ると、同じ 7m でも 8p が鳴けて全求人碰碰和ができたところが多い。テンパイまでは大体こうなるようだが、単騎選択の一致度が謎である。結果もダブロンだったり全求人海底ダブロン (なぜ打った?) だったり別の人とのダブロンだったりと激しい。

スクリーンショット (67)

スクリーンショット (66)

スクリーンショット (68)

他は上家の大于五に刺さったところが多いようだ。

29卓もあると (スコアから目ぼしいところを選んでからでも) 内容を見るだけで大変だし面白くて相当な時間を費やしてしまう。ので内容はこのへんにして、気が向いたら有料で書くかもしれない。

感想

できれば英語と中国語に訳して共有したい。だれか訳してくれるとなおよい。

デュプリケート形式: 面白い。プレイ中にも増して、こうして振り返っているときが本当に面白い。面白すぎる。ここを強化すれば普通の段位戦なんてどうでもよくなるくらいだと思う。

デュプリケート個人戦におけるスコアリング: 納得いかない。プレイしてみる前は、国标では手の進め方に関して選択の余地が大きいため納得いくような結果が出るものと考えていた。しかしプレイして結果をみるとそうはいかない。副露が多くなるため他家の選択のほうが、それが自分を意識したものである場合はともかくそうではない場合も、自分のスコアに大きく影響する。デュプリケートでないときは自分の失点は山や他家のせいにするが、これが他家と別卓のせいになるにすぎない。これはチーム戦であれば緩和されると考えられるが、全卓を同じ山で行うより、4卓ずつ (全体の卓数が4で割り切れなければ5–7卓のところがあってもよい) 分けて評価したほうが (チームメイトの選択が結果に影響するため) 納得性が高まるだろう。また、門前清・テンパイ宣言 (リーチ)・ベタオリなどの生じやすい日式麻雀のほうがデュプリケートには向いていそうだ。

IMP によるスコアリング: IMP スケールそのものには調整の余地があるだろうが、別ゲームが増えていくだけになり、良し悪しの判断はつきづらい。小さい点差が強調されることで「本来アガリが大事なのに、たまたま (たとえば) 和绝张になったかどうか, 七对に五门齐がついたかどうかがスコア差になる」のではないかという点を心配していたが、個人戦は平均に対する差を変換するので、多くの局では「アガれればそれなりのスコアを得られる、さもなければほぼマイナス」が成り立ち、杞憂に近かった。ただ、デュプリケートでないのが「本来の姿」とするならば、ゲーム性を似せるために複数局の素点を合計してから比較を行い IMP や MP (マッチポイント; 素点の下位から順に 0, 1, 2, ... 点を得る形式) へ変換する方式が優れていると思う。

1/3ルール: これは国标にはマッチしていないと思われる。アガリの重要さは変わらないか重くなるため、さほど放銃を避けるべき局面は増えないが、結果としての放銃には厳しい評価になる。ネマタさんが日式麻雀について「判断として押しが正しくても結果が放銃になれば大きなマイナスを背負う」点をデメリットとして挙げていた気がする (要出典: 知っている方がいれば URL を教えていただきたい) のと同じである。ツモアガリが大きすぎる点に対する改善としては評価できるが、どうせ IMP へ変換するしマルチプロン (👈多家和の訳語をでっちあげた) の兼ね合いで素点もゼロサムではないのだから、次のようにしたらよい。

海底: デュプリケートであってもツモ番の順序はズレるし、ややこしい定義をするくらいなら、役としては要らない。鳴きや槓の制約を削除して「誰かのツモ番 (嶺上牌を含む) だが、ツモられるべき牌がない」ときに流局とすればよい。もしくはヒロタシ氏が考案ゆっくりで実際に行われている整合麻雀を (部分的にであっても) 採用するべきだ。

感想 for MahjongSoft

まずプラットフォームの開発それ自体に多大なる感謝と尊敬を表する。ブラウザだけでプレイできるし、Web アプリケーションとしての UI はモダンで素晴らしい。プレイした限り、ルールに関するバグのようなものも見つからなかった。

デフォルトでは英語で、Pass と Pung とを間違えることが何度かあった。中国語に設定することで解決したが、日本語への対応にも協力することにした。打牌が河に入る前に手牌のそばに表示されるのは慣れない。チーするために押すべきボタンに完成する順子の数字だけが表示されるのは打牌と数字とを見比べないといけないため (たとえば 23m13p を持っているときに '1-2-3' と表示されたら) パッと選びづらい。その他、ゲームとしての UI には不便さを感じるが、むしろ慣れている天鳳が良すぎるので、MahjongSoft の API と天鳳のクライアントとをつなぐことができれば、と妄想する。

デュプリケートで大会を行うにあたって、1局ごとに全卓終了を待つのは大変だった。他にいくらでも方法があるような不正をケアするよりはスムーズな進行を優先し、たとえば卓組の変わる4局ごとに同期するなどとするとよいと思う。また、他の卓がプレイ中であるか局が終了したかはリアルタイムで確認できるのだが、(誰かに早いアガリがありそうかそうではないかという情報が得られるので) プレイが完了していなければ見られないようにしたほうがよい。

Last Two Sections and a Little More in English

Duplicate format is really interesting and fun.

I feel duplicate scoring is not as reasonable as expected. Since in MCR we make many melds, your score is affected more by other players' discards, rather than your choice.  In non-duplicate format we blame wall and our opponents. In duplicate format we blame our opponents and players at other tables.  This point can be mitigated in team tournament. In team tournament I propose that no more than seven teams play duplicate games to emphasize team mates' choice.  In addition, duplicate format is more effective with Riichi rules where リーチ and ベタオリ is important.

IMP scoring is more reasonable than expected.  My proposal for enhancement is that we should calculate IMP (or MP) from sum of scores of four (this is a tunable parameter) deals.  By this way, optimal strategy is closer to that of "ordinal" games.

1/3 rule is something that changes MCR too much.  In MCR, Hu is more important than everything.  Applying 1/3 rule does not change this part, but penalizes deal-in too much.  Another improvement for "self-drawn counts too much" is that, winner gains HV+24 and othres lose HV+8.  This is non-zero sum, but acceptable and already implemented for multiple hu.

Conditions and restrictions about the last tile of the wall is too complexed.  There was a deal in OEDMC where a player discarded unsafe tile as last tile, and claimed by two players.  We should remove the Last Tile Claim/Draw and instead lift the restriction about declarations (Pung/Chow/Kong).  When a player have to draw a tile (whether it is ordinal draw or replacement), but there is no tile in his/her wall, the deal is over.  Alternatively, we can remove the rule for replacement tile (i.e., when a player declares Kong, and it was not robbed, the next player draws) and, when a player declares another's discard, remove the last tile of his/her wall from the deal (i.e., all player can get no more than 21 tiles from the wall and other's discards).

I appreciate MahjongSoft's innovation. We need only browsers, on Android or Windows (I haven't tried other platform, but it shall work). It has modern UI as a web application. I found no bug about rulees and regulations.  However, we are too used to Tenhou's UX and there's still room for improvement.

A discard should be displayed next to other discards of the same player, instead of his/her hands. It is better if it can be controlled by config.

When making Chow, I'd like to see the pictures of tiles (rotated two dots, one dot, three dots) of the meld, since I have to look at two different positions at the same time when only numbers or sorted meld is displayed.

Playing synchronously is tiring especially if the tournament is large.  I'd like trusting other players to not cheat or leak information and play more (say four, the interval of changing tables and seats) deals before synchronizing all the tables.  I also found the time for players' actions bit longer than enough.  The setting can be different according to the scenes (private tables, all-welcome tournaments, qualified-only tournaments, the levels of ranking games (which I mention later)).  I personally prefer two seconds for action and declaration, so that I'd like more flexible settings for private tables.

At MahjongSoft we can see other tables' status, playing or completed. It is restricted for tournament organizers or completed players, since if I find 'completed' tables just after the deal begins, I can conclude that there can be a early Hu at some seat.

I repeat that duplicate format is really interesting and fun.  At the same time, I suggest that MahjongSoft implement ranking games where a few fixed "standard" set of rules and regulations are used and players are evaluated by rating values similar to Elo rating.  A player's rating value after a game is a weighted average of: (1) its value before the game, (2) the result of the game, and (3) the (possibly weighted) average of rating values of the opponents before the game.  I'm glad to discuss the possible standards and mathematical details for the rating system.

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