2024/07/03 日経新聞 朝刊 個人的厳選4トピックス
[1面] 東南アに再エネ送電網
関電・九電工、まずインドネシアで
首相、支援表明へ 30年に1.6兆円市場
政府はASEANの広域送電網構築に協力し、再生可能エネルギーの普及を図る。関西電力のインドネシア島しょ部への支援を通じて、中国のエネルギー網参入に対抗し、日本の脱炭素支援を官民で推進する。岸田文雄首相はAZECに関する協力計画を述べ、送電網の強化を目指す。IEAによると、2030年時点でASEANの送電網強化には1.6兆円以上の費用が必要で、日本企業が参入する機会を見据えている。さらに、日本も送電網の増強を急ぎ、インドネシアの再生エネ導入プロジェクトなどに補助金や技術支援を行う。ASEAN諸国の環境目標や中国のエネルギーインフラ関与を踏まえ、日本の支援が地域の安全保障と発言力確保に寄与する重要性が高まっている。
株高「NISA世代」支え 4万円回復、高配当株に流入
個人株主、最多7400万人 企業は政策保有株減
日経平均株価が3カ月ぶりに4万円を超え、個人投資家の増加が支えとなっている。2023年度の個人株主数は7445万人で過去最高であり、株主数は10年連続で増加している。個人株主の増加は新NISA制度の影響もあり、株式投資が促進されている。NISA口座数も増加し、個人投資家が株式や投資信託を積極的に購入している。日経平均株価の4万円超えは若年層のつみたて投資や外国人投資家の影響も受けている。一方で、事業会社の保有比率は減少傾向にあり、海外投資家や個人投資家が市場の受け皿となっている。政府は個人投資の促進策を検討しており、個人の資産形成や家計の支援に期待が寄せられている。
解剖PayPay(上)スマホ決済→金融基盤へ
本人確認3000万人、顧客メガ銀並み 銀行・証券送客しやすく
PayPayは本人確認を済ませた利用者数が3000万人に達し、SBGの金融インフラ構築に注力している。本人確認済みのユーザーは大手金融機関と同水準であり、決済や小口送金に留まらず、金融事業展開の可能性がある。PayPay銀行や証券への送客も容易になり、2024年には口座開設が簡略化される予定。PayPayは個人間送金で存在感を示し、金融分野での連携を推進し、AIや半導体技術を活用して成長を目指す。PayPayは連結EBITDAが24年3月期に初黒字化し、金融事業の重要性を高めている。政府に給与のデジタル払い事業を提案し、新たな金融サービスの展開を模索している。SBGの孫正義会長はPayPayの成長に期待を寄せつつ、サーバー処理の課題にも対処し、安全性と信頼性の向上に努めている。連携強化に伴い、トラブル対応などの機動力も求められる。
企業、現金圧縮進める 手元資金は最高の114兆円
買収や自社株買い リクルートは1兆円規模
企業が手元資金を減らして資本効率を向上させる動きが活発化している。日本経済新聞による調査では、手元資金は114兆円で過去最高であり、キャッシュリッチ企業の課題となっている。日本企業の手元資金比率は欧米を上回り、資金の過剰保有が問題視されている。一部の企業は手元資金の削減に取り組み始めており、リクルートHDは2年で1兆円の圧縮を目指す方針を示している。 リクルートHDや大塚HD、テイ・エステック、神戸製鋼所、日本ハムなどが手元資金の削減を進めており、資金を効率的に活用する方針を示している。インフレ基調や現金の実質的な価値の減少リスクを踏まえ、資金の使途にも注目が集まっている。アクティビストも現金を運用する重要性を強調し、企業に投資や成長戦略の見直しを促している。企業は売り上げを伸ばすために積極的に投資し、人材投資にも力を入れる必要があると指摘されている。