2024/07/24 日経新聞 朝刊 個人的厳選4トピックス
[1面] 日鉄、中国宝山と合弁解消
現地の生産能力7割減
米印に経営資源集中
日本製鉄は中国宝武鋼鉄集団傘下の宝山鋼鉄との合弁事業から撤退すると発表し、中国での鋼材生産能力を7割削減することを決定しました。これは、日本車メーカーが苦戦している中国市場での成長が困難と判断し、中国事業を縮小し米国やインドに経営資源を集中する動きの一環で、日鉄は保有するBNA株を約380億円で宝山に売却します。中国では現地の電気自動車メーカーの急成長や鉄鋼メーカーの技術力向上により競争が激化し、景気減速で鋼材需要が落ちている中でも高水準の生産が続いているため、鋼材価格が下落しており、日鉄は低迷する中国市場から成長が見込める米国やインドに経営資源をシフトしています。
医療データ活用に新組織
重複検査・服薬のミス防止 予防や治療の質向上
厚生労働省は2025年度にも医療分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する組織を設立し、検査や治療、薬の処方情報をデジタル化して医療機関や患者、企業、自治体が活用できるようにし、予防や治療の質を向上させる狙いがあります。これにより、患者の受診歴や薬の処方情報を共有し、重複検査の回避や薬の悪い飲み合わせの防止が期待され、製薬会社は膨大なデータを収集・分析して新薬の開発を進めることができます。新たに設立される医療DX推進機構は、診療報酬請求の審査や支払いを担う社会保険診療報酬支払基金を改組する形で運営され、電子カルテや電子処方箋のデータ管理システムの運用も行う予定です。新型コロナウイルスの感染拡大への対応の反省から、医療DXの遅れが非効率や安全上のリスクにつながることを認識し、事務コストの軽減や医療費の削減、個々人の生涯の医療データ蓄積による将来リスク予測が期待されています。海外では英国のNHSや米国の民間医療データベースが新薬研究開発に活用されるなど、既に医療データのデジタル活用が進んでおり、日本でも同様の取り組みが求められています。
イーサリアムETF上場へ
米政党、仮想通貨に接近 潤沢な資金力狙う
米証券取引委員会(SEC)は22日、暗号資産イーサリアムの上場投資信託(ETF)を承認し、これには米大統領選が背景にあり、仮想通貨業界の資金力を狙って共和党と民主党が接近しています。スイスの21シェアーズやブラックロック、フィデリティ・インベスメンツも承認され、23日からニューヨーク証券取引所で取引が開始されます。SECは過去に仮想通貨の規制を強化しましたが、米政界の事情や世界の競争を背景に柔軟化し、仮想通貨ETFのインフラ整備が進む中で監視を強める現実的な狙いもあります。仮想通貨の時価総額が約400兆円に達し、二大政党が業界と距離を縮めた結果、SECは規制強化に固執しづらい環境が生まれました。一方、日本ではビットコインやイーサリアムのETFは購入できず、金融庁内でも仮想通貨ETFの国内上場を検討すべきだとの声が上がっています。
損保4大手に報告徴求命令
契約情報、代理店漏洩で 金融庁
金融庁は損害保険代理店での契約者情報漏洩問題を受け、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険に報告徴求命令を出しました。これらの会社は5月に自動車保険加入者の個人情報が競合他社間で漏洩したことを発表し、約830社の代理店が関与しているとされています。更に、損保ジャパンの社員が出向先から出向元に契約者情報を提供する事案も確認され、不正な営業活動に利用されていた可能性があります。 損保ジャパンの代理店であるトータル保険サービスは7月に約2700件の契約者情報が漏洩したことを公表し、朋栄ではアパートローン利用者の火災保険情報が漏洩しました。同社は出向者が出向先の情報を出向元に共有できないルールを設けていますが、9つの代理店で不適切な情報共有が確認されています。損保ジャパンは「関係者にご迷惑とご心配をおかけしていることをお詫びします」とコメントし、各損保会社は調査を進めています。 金融庁は各損保会社に対し事実関係の整理、真因の分析、再発防止策の報告を求めており、報告の提出期限は8月末です。
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