2024/07/21(日) 日経新聞 朝刊 個人的厳選4トピックス
[1面] 出生率「東京0.99」別の顔
独身女性流入が押し下げ 「改善」の地方は流出
東京都の合計特殊出生率が2023年に0.99と1を下回ったのは、多くの独身女性が進学や就職を機に東京に流入し、分母が膨らんだためである。しかし、東京では多くの子どもが実際に生まれており、地方の状況はより深刻とも言える。家賃や教育費の高さも一因であり、東京では結婚や出産の年齢が高くなる傾向があるため、出生率が低くなる。過去10年間の出生数の減少率は東京が最も緩やかで、共働き夫婦にとって子育てしやすい環境が整っている。一方、地方でも若い女性が都市に転出することで分母が減り、出生率が見かけ上改善しているが、出生数は減少している。少子化の解消には地域の実情に合わせた多角的な視点での取り組みが必要である。
1社の綻びで世界まひ 大規模システム障害
原因のソフト、シェア2割
デジタル供給網に脆弱性
インターネットの大規模なシステム障害が世界中で発生し、航空会社などで復旧が進むものの、原因の詳細は未解明です。日本航空の予約サイトが使えなくなり、復旧には5時間かかりました。原因は米クラウドストライクのセキュリティーソフトと見られていますが、詳細は不明であり、同社のCEOは謝罪と再発防止を約束しました。障害はウィンドウズOSを搭載したコンピューターのみで発生し、修正ソフトが配信されたものの、手作業での修正が必要な場合もありました。この障害はデジタル産業の供給網の脆弱性を浮き彫りにし、今後の対策として複数の企業の製品使用やアップデートの制限が検討されています。
投機筋の円売り ブレーキ
為替介入観測で売り越し幅急減
月初に歴代2番目の大きさまで膨らんでいた投機筋の円売りにブレーキがかかり始めたが、これは政府・日銀による円買い為替介入とみられる動きによるものです。最新のデータでは、投機筋の円の対ドル売り越し幅が急減し、円が急騰したことで不意を突かれた投機筋が円売りの持ち高を縮小しました。対ドル売り越し幅は7月2日時点で18万4223枚となり、これは2007年6月に記録した過去最大の18万8077枚に次ぐ史上2番目の大きさです。財務省の神田真人財務官は「これまでの円安の動きは奇妙だった」とし、「投機でないかと考えるのが自然」と発言しています。市場関係者は日銀の7月会合に注目しており、国債買い入れの減額方針や利上げ期待が円相場に影響を与えると見ていますが、FRBの早期利下げ観測もあり円相場は1ドル=157円台にあります。
23日 米テスラ、4~6月期決算発表
販売失速、自動運転に注目
米電気自動車大手のテスラは、2024年4~6月期決算で中国や米国などでのEV販売減少により、2四半期連続のマイナス成長を記録しました。前年同期比で販売台数は4.8%減少し、特に米国市場ではシェアが初めて5割を下回り、中国市場でも新興EVメーカーの台頭により競争が激化しています。また、全世界の従業員の10%以上を削減する構造改革を実施しましたが、販売回復の兆しが見えなければ追加策が必要です。 今回の決算はイーロン・マスクCEOの巨額報酬案が承認された後初めてのもので、テスラの成長鈍化と企業統治への批判が背景にあります。マスク氏は2030年までに年間2000万台のEV販売を目標としていましたが、今年に入りその目標を掲げなくなりました。一方、自動運転分野にも注目が集まっており、マスク氏は8月にロボタクシーを公表すると予告しAI機能の強化を進めていますが、発表は10月に延期される可能性があります。また、米大統領選挙の影響も注目されており、トランプ前大統領が再選された場合のEV政策が不透明であるため、テスラの経営に与える影響が見通しにくくなっています。