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シュマゴラスでありガルガントスという名前のもの(マルチバース・オブ・マッドネスの感想)

あまりにも愛らしい。

かつてシュマゴラスと呼ばれ映画設定ではガルガントスと呼ばれるあの触手と瞳の者があまりにも愛らしい。以下、この映画に出てくる映画に出てくるこの存在を『シュマちゃん』と呼びます。

この本文には映画『ドクターストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(以下MOM)』のネタバレを含みます。未視聴の場合は、不敬になる前にとっとと見てこい鑑賞されるように。

何故、『シュマちゃん』の名前がややこしくなったのか。
英語記事の引用がこちら。

――マーベル社は「シュマゴラス」の名前、そもそもパルプフィクション作家のロバート・E・ハワードが生み出したこの名称、その商標を所持していない。

https://www.hitc.com/en-gb/2022/02/15/shuma-goraths-name-change-to-gargantos-in-doctor-strange-2-explained/

クトゥルフ神話の執筆もしていた作家の創造物が源流であり、それ故に名前を変えざるを得なかった。都合よく似たような見た目のガルガントスという存在がマーベル作品内には存在していた。その名前が代わりに選ばれたのだ。

「いやそれは妄想で最初からガルガントスなのでは?」

うるさい黙れよく見て欲しい。あの瞳は間違いなくシュマゴラスだ。そもそもガルガントスはデザインが大きく異なる。

タコの頭頂に瞳があるような姿がガルガントス(画像上)

そして瞳の周りから手が生えてるのがシュマゴラスだ(画像下)

そして映画『MOM』でのお姿がこちら。

この瞳の周りを包むような緑の体躯、そしてその触手。
この愛しさは間抜けなタコのようなガルガントスには出せない風味である。

そもそも『シュマちゃん』はどのようにして日本人に広く知られたのか。
というより原作ではぽっと出の編集者すら把握していないマイナーキャラが何故数多のキャラクターのいる中から選ばれたのか。

全てではないがおそらくこちらが発端だろう。
少なくとも自分がそうである(主観的過ぎない?

マーベルキャラ大集合のカプコンの格ゲーである

『Marvel Super Heros vs. Street fighter』 やその後に

続編の 『Marvel vs. Capcom 2 & 3』 にも登場している

まだMCUの話が開花する前、
トビー・マグワイアのスパイダーマンさえも出来る前、
もっと前に(流石に宇宙ニンジャゴームズよりは後だが)作られたゲームが始まりだろう。このゲームのカプコンのプロデューサーがヴィラン側でキャラを探していた時に目をつけたのが「シュマゴラス」だった。マーベル側が何そのキャラと聞き返したという話さえある。

原作内にてマイナーキャラであるが故に、マーベルサイドの制約も緩く、キャラ付けもある程度自由に出来たこともあってか、こうなった。

でシュまシュ口調
狂気に満ちた無垢な台詞
手が伸びるやつは友達

かわいいかよ。愛しいお姿で。

そもそも一つ目のまんまるボディに、爪も牙もない、手がちょろちょろ生えてる、そんなコミカルな姿が例え巨躯だったとしても、それは恐怖や邪悪、凶暴さの象徴にはなりえない。もちろん、神聖さの象徴ですらない。

狂気的で異次元的ではあるが、どこかに愛嬌を持たせざるを得ない。



そして本題である。



そんな可愛らしさが、映画『MOM』では見られた。
『シュマちゃん』がシュマゴラスの系譜であるというシーンがあった。
予告編等でも垣間見えるが、この大きな単眼のまぶたがとにかく感情豊かなのだ。

何故かとある少女、後に「アメリカ・チャベス」と名乗る彼女に襲い掛かるシュマちゃん。執拗にこの少女を捕まえようとするが、人命救助に馳せ参じたドクター・ストレンジとウォンに邪魔される。

当初は姿を見せずして街を襲撃し、魔術的な力を見せるがその程度である。
姿を現した後には巨体と触手を振り回すだけである。
そんなに怪力でもない。身体のサイズ相応である。
その上、触手はそんなに感度が高くない。
せっかく捕まえていた少女を、スルッと奪われる。
奪われたことに気付くのが、その手を確認してみてからである。

嗅覚とか触覚とかが鈍すぎる。少なくともそこらへんの動物以下の感覚である。どんくさい人間程度の器用さである。

少女を奪われたのに気付いて、初めて表情を変える。
自分よりもちっぽけな個体に真剣に目を尖らせる。

想像して欲しい。

ハエやハチ、しかもかなり鈍重な動きをする、
しかし明確な敵意をもったこれらに攻撃された自分を。
捕まえようにもなかなか捕まえられない自分を。
人によっては虫が恐くてそんなこと出来ないだろう。
でも『シュマちゃん』は意を決して立ち向かうのだ。
その割に動きが鈍くて捕まえられない。
そしてそのことに対してもまた怒っているのだ。

間抜けすぎる。可愛らしいことよ。

ウォンの投擲剣『シュマちゃん』にとっては小針程度、
それに激しく怒り、身体を震わすのである。
その大きな瞳の下にはかすかに口のようなものが見え、
まるでヒゲのような小さな触手も震えている。
ガチおこである。
身体のデカさに反してあまりに器が小さい

ヴィランとしてここまでドジっ子愛くるしい存在がいただろうか。
この萌え要素こそが、この映画のキャラクターは、元々ガルガントスではなく、シュマゴラスの遺伝子を継いでいるキャラクターであるという、紛れもなくあの『シュマちゃん』であるという論拠だ。

…まぁ原作未読勢なので、実はガルガントスも激カワキャラという可能性もあるが。

とにかく、この映画『MOM』
『シュマちゃん』を崇拝している人には是非見て欲しい。








崇拝していない人はどうするかって?
良く分からないですね。

どうして
そんなことがあるんでシュか?


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