ひっちゃかめっちゃかにめんどくさいオタクと『希織歌』ライブの話

 前回のライブから9か月経ちました。思えば、というか私が何も思わなかったからかめちゃくちゃ早かったです。この間の世界は本当につまらなかったし、私は私で大学四年生の業を果たすべくしんどい時間を過ごしてもいたのであまりいい時間ではなかったな、なんて振り返ってしまうような、そんな時期でした。その中でもヒメヒナが活動を続けて、前を向いている姿を見せ続けてくれていた、くれていることは大きな支えになりました。

 心、愛、時間と希い

 さて、今回のライブのテーマは時間、そして希い(ねがい)でした。世界中の人にとってこの一年は本当にストレスが大きく、やりたいことが何もできないぐらいの厳しい一年でした。希織歌のアルバムにもそのことが明確に歌われている曲が複数(氷少女、こだましがみ、水たまりロンド)入っていて、特に氷少女の語りはこの今を強く意識したものとなっていました。足下の話をすれば感染もある程度落ち着いており、さまざまなものが緩和されようかというところですが、この世界的な状況に対する緊張感は多くの人の日常の隅々にまで浸透していて、雨があがる時についても「いつか」としか言えないような状況だと感じています。
 私たちはこの一年を大幅に超える時間について「失った」と表現してしまいますが、時間は常に不可逆で失ったと感じたところで取り返すことは不可能なものです。私たちはこの時間を失ったのではなく現実として生き、そして今ここにいます。そうであるならば、せめてもの抵抗として時間を「巻きなおし」(藍の華ライブ)、そして今と未来に希いをかける、そうある方が素敵なんじゃないかと、そう思いました。

 セトリの話をしましょう。

 藍の華の時も書きましたが、ヒメヒナのアルバムってね、もうね、それ自体がライブだから。しかし最初のキリカから氷少女までノンストップで駆け抜けたのはめちゃくちゃすごかった。常人のやることじゃない。ヒメヒナ……強すぎる。それぞれの映像表現も良かったですね。三分ガールの爆弾みたいなカウントダウンが印象的でした。
 毎度毎度素晴らしいカバー曲のコーナーも最高でした。特に「誰かの心臓になれたなら」は、単純に歌うのも難しいし、ユリイカノンの思想世界がハッキリとしているのでそれが生きる場面というのが正直難しいなと思う曲ですが、命や心を歌ってきたヒメヒナがヒメヒナの歌唱力(極めて高いことで有名)をもって歌いきることで最高になり、最高でした。KINGのヒナちゃんの人間アピールも可愛かったね。
 後半のセトリについては希織歌初見時の私のツイートを見てください。

 割と冴えてるよね。フリコドウルとヒトガタ、こだましがみとララは完全な対応関係がある曲だというのを感じていたので実際に並べて味わえてよかったです。ララはこの状況下で完全に曇るような曲ではないな、と曲の力を感じることもできました。いつ聞いても心を叫べの時の入念な練習が思い出されて嬉しくなるし、曲自体も常に前に進む力がある曲ですしね。
 定刻集会のエンディングになってるそのイメージもあるけど、あどけないの穏やかで優しいエンディング感はいいですよね。
 その後の怒涛の藍の華Remixラッシュすごかった、カッコよかったねえ。

 やはり寂しい

 今回のライブも前回同様にARでのリアルタイムでのコメント投影が行われていて、しかし、その形式を一度見て慣れてしまったからでしょうかね、やはり寂しかったというのが今回のライブの拭い去れない印象として私の中に残りました。また、またなんだよな、私は一度ライブに現地で行ったことがあるので、また、また会いたいなと思う気持ちが強くなりました。まあVTuberと会うとはなんぞやみたいな話はできるけどそれはまた別の余裕あるときにしようや、な?最後の方でふと会場の床が映った時にそこに落ちている銀テープを見て無性に寂しくなるような、そんな場面もありました。ライブ自体は今の最高だったと思います、ただ、「今の」最高でないものを求めてしまう欲があったというだけの話でもあります。でも「The 1st」の次が「アエナイボクラ」なのはなんだかとても、なんだろうね、これが乗り越えられた試練として語られるようになることを切に願ってやみません。

 何かを好きになること。

 私の個人的な話をします。というかずっと私の話ではある。もう自分も人間としてそれなりの長い時を過ごしてきて、その中での変化もいくらかは経験しました。その中でこの数年ずっとショックで引きずっていることが、かつて一番好きだった人とその人の今の作品が今では好きではなくなってしまっていたことです。こういったことについてはオタクならではの共感性なのかヒナちゃんがコメントでずっと意識していて、そのたびに思い出しては頭の中で転がしています。
 何かを好きになるということは「今の」私が「今の」その人やその作品を好きであるということであり、好きな気持ちが時間を通して続いていくのは奇跡的な偶然か、さもなくば変化していく自分を相手と合わせていこうとする並々ならぬ努力だと思っています。そういったことを考えて、私は今のヒメヒナが好きですし、好きであるための努力をしていきたいし、奇跡的な偶然が今後も続いていくといいと思っています。そんなことを考えていたら3年半ヒメヒナを追っかけてるし誕生日メールも3回すでに貰っている人間になりました。これからもよろしくお願いします。

 最近ヒメヒナが実家になりつつある。

 ちょっと暗いような固いような話をしたので最近ヒメヒナが実家になりつつある話をしましょう。私は基本的にヒメヒナ生放送はリアタイしてるんですけど、最近それを見てると眠くなってくるようになりました。この眠くなり方はクソつまらない講義を聞いている時とは別種の眠さで、異常な安心感とリラックスすることとによって自然と異常に穏やかな状態になり、ヒメちゃんが叫んでそれにビックリします。ほぼ実家と言っていいような、というかそもそもリアル実家に住んでいるからそれも変な話ですがまあでもそういった類の安心感と穏やかさで最近ヒメヒナに触れています。今の帰る場所になっているかもしれない。だからライブで「おかえり~」とか言うのめちゃくちゃ好きです。好きなんだよ。

 はや3年半、まだ3年半。10年後の話するVtuber初めて見た。

 最後の最後、アンコールも発表も終わって今回は新曲なしかぁなどと思っていた最後にぶち込まれた新曲すごかったですね、いや~~すごいよ。来年の事を話した時点で鬼が笑うんだぞ、それが10年後ってすごいよ、本当に何が起きてるかわからないもの。文化として芽生え始めたのですら5年前、昨年投稿のVIRTUALIZERのMVに出演してくれていたVの中にすら既にいなくなってしまった人が何人かいるぐらい時間のものさしが短い界隈において、10年後を語るのは本当にすごいことだと思います、マジで初めて見たと思う。でもヒメヒナと工務店ならきっと10年後にこの曲をまた歌って聞いて(あとそれより前の5周年の時に「生まれて5年、なんてね」ってコメントしようとずっと温めています)、そういったことができると信じています。それが夢物語とは思わせない足腰の強さもヒメヒナの魅力だと思います。

 総じて今の最高のライブだったと思います。本当に。今日の私がヒメヒナを好きであるように、明日、その未来の私がヒメヒナを好きでいられますように、そしてまたいつか、ヒメヒナの2人と、ジョジ民のみんなと同じ場所でライブができますように。私の希いをここに置いて当日の感想を書き終えたいと思います。

 私はヒメヒナライブの直後だけはヒメヒナに顔向けできるようにきれいな人間であろうとしていて、この態度を少しでも持続させるように頑張っていきたいとも一応思っています。

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