ヴェルシュナss
*リバース:1999の二次創作です。ゲームのネタバレが入っています。
*ヴェルティ×シュナイダー、シュナイダー×ヴェルティです。
*本編沿い、短いのばかりです。
*みかんショックが収まりきらないうちに書きました
摘み取ったミカンは(ヴェルティ視点)
苦い。苦い。とても苦い。苦くて食べられない。 食べたくない。
なのに、手が止まらない。食べちゃダメなのに、摘んではならないのにーー。
「政府の旦那、○○して 」
ーーさようなら。
吐き気がするほど、まずかった。
外さないでね(シュナイダー視点)
ふふ、計画通りになったねぇ。
でもこんな色気のない旦那はイヤだなぁ 。
旦那をこんな風にしたおばさんに胸の内で呪詛を唱えるが、あたいの瞳は旦那を見つめ続ける。
最期に納めたいのは旦那の顔だから。
旦那の笑顔が他のやつに向けられるなら、それ以外ーー悲しみを独占してやる。
だから、一撃で射止めて。
あたいの醜く爛れたハートを。
Forget not Me(シュナイダー視点)
……あーあー、来ちゃったか。
覚悟してたけどこれはちょっとキツイわねぇ。
ああ旦那、泣かないで
これはあたいが勝手に決めたこと。
だから、今言うこともあたいのワガママよ
ねえ、旦那。お願い。
「あたいを、忘れないで」
それだけでいい。あんたの心臓の中に脳味噌の中に一欠片だけでいいからあたいを住まわせて欲しい。
あたいが生まれて生きて死んだってことを知って欲しいんだ。他の誰でもないあんたに。
……分かってる。あたいのエゴが旦那を傷つけちまうことを。旦那がもっとボロボロになることを。
それでもさ、旦那には覚えていて欲しいんだ。
「あたい、生きてたんだよ」
「そうだね。君は、いつだって、いきていたーー」
雨が降ってる。ああ、傘をさしてやりたいのに、手はもう動かない。旦那の腕の中、あったかくて、ポカポカして、まるで故郷のミカン畑みたいーー。
少女が居た場所には二つのみかんが赤のリボンに結ばれて転がっていた。リボンの真ん中にはシオンの花が添えられていた。
ねむりたい(ヴェルティ視点)
ーーまた助けられなかった。
どうして気付かなかったんだろう。なんでもっと見なかったんだろう。
なにがタイムキーパーだ。時間を記録できても人を助けられなかったら何の意味もない。
「忘れられない。忘れるわけがない」
私にとってシュナイダーは最初は敵で、二度目は助けなければならない少女で、最後はたくさんの数をつけてくれた酷い子だ。
私がシュナイダーに抱く感情は大人が子供に抱く特有の庇護欲とエゴに似たもの。恋でもなければ愛でもない。傷つけられたのに、そのことへの怒りはない。あるのは罪悪感とーー勝ち逃げされた悔しさだけ。
「君は本当に酷い人だ」
足に力が入らない。腕の感覚がない。頭が痛む。遠くから声が聞こえる。
タイムキーパー、ヴェルティ……。
ああ、私の名前で呼称だ。起き上がらないと。
でも。
「先にシエスタするなんて」
眠くて何もできない。