電子帳簿保存法
今年の夏は大変な暑さでしたね。全国各地で35℃超えの日が続きましたので、大豆にもやはり影響が出ています。主には粒が小さい、莢数が少ない、品質が悪い(等級が低い)、屑豆が多いという状況でしょうか。地域によっても異なる部分はあるかと思いますが、全国的に上記のような傾向にあります。この天候がデフォルトにならない事を願うばかりです。
※大豆の状況は次号で詳しく書いていきたいと思います。
さて今回は電子帳簿保存法を取り上げていこうと思います。
この電子帳簿保存法はすごく簡単に言いますと、「紙じゃなくてデータで保存しても良いですよ」という事を決めた法律です。(お詳しい方もいらっしゃると思いますがお許し下さい)
元々電子帳簿保存法は遡ること25年前の1998年に国税関係の書類を一定の要件の元に電子データで保存することを認めるという法律でした。
施行当初は保存要件などが厳しくあまり普及しませんでしたが、2005年の「e-文章法」施行により改正が行われスキャナ保存が可能になりました。その後2015年にスキャナ保存の要件も緩和になり、2016年にはデジカメ・スマホによる保存も対象になり2019年以降は毎年改正・緩和となり、2022年1月〜は電子取引データの紙保存が廃止され、電子保存が完全に義務化となりました。
※2022年1月から今年2023年12月までは宥恕(ゆうじょ)期間でしたので、完全な義務化は2024年1月からになります。
それでは具体的にどのように考えれば良いのか見ていきましょう。
電子帳簿保存法は以下の3つの区分で考えていくのですが、任意と義務がありますので、注意して下さい。
「電子帳簿保存法3つの区分」
① 電子帳簿等保存(任意)
② スキャナ保存(任意)
③ 電子取引データ保存(義務)
この3つに分かれます。
① の電子帳簿等保存は、自身で会計ソフトなどを使い作成した帳簿や決算関係書類などを「電子データのままで保存する」事を指します。こちらは任意ですので、必ず電子データで保存ということではありません。
② のスキャナ保存は「紙で受け取った書類を画像データなどで保存する」事を指します。
相手先から受け取った請求書や領収証などをスキャンして保存しても良いですよという事ですが、スキャンする手間をどのように会社で考えるかですね。こちらも任意なので紙保存のままでも問題ございません。
③ の電子取引データ保存は、「電子的に受け取った取引情報をデータで保存する」という事です。皆さんも最近は電子データで請求書が届くことも多くなってきたと思います。
今までは電子データで受けとった書類を紙に印刷して保存が可能でしたが、今後は電子で受け取ったものは電子での保存が義務になります。ネット通販で購入しているものや、電子請求書、電子領収証などが挙げられるかと思います。
以上のように①と②は今のところ任意、③は義務です。
いずれ①と②も義務に向かうかと思われますが、日本の経営者の平均年齢は60歳。
50代以上で80%です。なかなかすぐには難しいのではないかというのが私見です。
保存時の要件としては、
① 「検索機能の確保」
② 「真実性の担保」
① の検索機能の確保はすぐに調べられるように、「取引年月日」「取引先」「金額」をファイル名に入れておく事です。ファイルに「2023_大豆カンパニー_50,000」みたいな感じで保存しておくようにすれば大丈夫です。少し面倒くさいですけどね…。
② の真実性の担保は
⑴ タイムスタンプが付されたデータを受け取る
⑵ データに速やかにタイムスタンプを押す
⑶ データの訂正・削除が記録されるまたは禁止されたシステムで受け取って保存する
⑷ 不当な訂正削除の防止に関する事務処理規定を整備する・運用する。
上記のいずれかを行うことが求められます。
⑴ 〜⑵はタイムスタンプを付与するシステムなどが必要になってきますし、⑶もシステム導入が必要になってきますので、小規模企業は最もハードルの低い⑷の事務処理規定を作ることが良いかと思います。
事務処理規定は国税庁のホームページよりダウンロードして使えますので、おすすめです。
「国税庁 事務処理規定」で検索していただければ法人用と個人用の例文がダウンロードできます。
電子帳簿保存法のメリットは各種書類を電子データで保存することにより、今まで紙で保存していた場所が空きますのでスペースが確保できます。
デメリットはスキャンしたり、システム入れたりと手間がかかる事でしょうか。
またもしかしたら国で考えている本来の目的は税務署がすぐに調べれるようにすることかもしれません。
領収書など探される時間がかなり短縮なると思いますので、調べられる量がデータだと圧倒的に増えるような気がします。この辺をご注意いただければと思っています。
インボイスが終わったと思ったら今度は電帳法といろいろ大変なことばかりですよね。
ですが来年は辰年です。株式相場で「戌亥(いぬい)の借金、辰巳(たつみ)で返せ」と言われています。コロナがはじまった亥の大変さは辰巳で取り返していきましょう!