夢の話4

今朝の夢の話。

私は不動産を扱う組織のメンバーである。
民間企業なのか行政なのかわからない。
上司、部下、同期で不動産売買の実績ナンバーワンのエース級の営業担当と、冴えない営業の私の4人での会議中の会話。

新しく計画している高層マンション50階建てをどのように建設し、販売・プロモーションしていくかが議論のメインテーマ。

エース級の担当の名前を借りにエースの(A)とする。上司をボスの(B)、部下を子供を意味する(C)、冴えない私を(D)とする。

A:海に隣接し、全室オーシャンビューで、地上50階からは沖縄の東海岸も西海岸も見ることができるこれまでにない不動産である。
ワンフロアには、1部屋しか分譲せず、地下3階から地上5階は、共用スペースのロビー、フィットネスジム、24時間ストア、カフェやレストラン、24時間緊急対応の医療窓口、パブリックガーデン(中空庭)、100台の駐車場、災害対策の貯蔵水タンクや物資、自家発電装置、屋上にはガーデンとプール、緊急用のヘリポートなどもある。さらには、マンションは5Gよりも大容量で高速な6Gの通信回線の実証実験ができ、アジアの中でも最先端マンションになる。販売価格はワンフロア100億円、45世帯にしか販売しない。同マンションの土地、建築、周辺住民への説明、環境への影響評価などのコストがトータルで2000億円。全て販売した場合、4500億円。利益は、2500億円。たとえ5割の販売でも、十分に実現可能なプロジェクトである。

B:いいプレゼンテーションだね。よし、プライオリティー(優先順位)は1位だね。超富裕層をターゲットにするのであれば、近くにプライベートジェットの離発着できる空港や、スーパーヨットが停泊できる港も必要だね。

A:それについては、リサーチ済みで、高級リムジンなどを活用すれば、車で30分以内で空港から到着可能。スーパーヨットについても、隣接する港を買い上げて、スーパーヨット専用の停泊施設にする予定。

B:さすがだね。いいと思うよ。ドンドン進めていこう。では、Dのプレゼンを。

D:私は、今回の高層マンション計画は、一旦見直して、大規模な公園を創って、ホームレスと呼ばれる方々が住めるような空間を創ったらどうかと思っています。

B:意味がわからない。不動産価値をゼロにするどころか、マイナスになるだろ。イメージも悪いし、環境も治安も悪くなるだろ。

D:私は、そうは思わないのですが。。。逆に、ホームレスの方々にお金を払ってもよいので、そこに住んでもらえないか、交渉をしたいと思っているのですが。。。

B:夢の話か、そんな不動産屋がどこにいる。会議中、寝ていたのか!

D:Aさんのプレゼン、ちゃんと聞いていましたよ。凄いな、それが完成したら、本当に夢のような話だな。いや、夢が実現するなぁ、と思っていました。

A:Dはいつも、ぼーっと、のほほん、と何を考えているか、わからないから、私のプレゼンも理解ができなかったんだろ。

B:Dは、いつも業務中寝ているからな、今回の会議も半分寝ていたのだろ。もう、時間がもったいないから、プレゼンはしなくてもいいぞ。

D:うーん、つまらない会議の時は、隠れて居眠りをしているのは、本当ですが、今日の会議は、ちゃんと聞いていましたよ。

B:やっぱり、居眠りをしているじゃないか!君のプレゼンを15分も聞くのは、時間の無駄だから、3分で話せ。

D:わかりました。3分で説明します。
まず、前提条件です。今回のプロジェクトは、5年先なのか10年先、それとも30年、50年、100年先を見据えてのものかどうか。私は、1000年先という前提での話です。

B:誰が1000年先の話をしろと言った。本当に夢の話だろ。君に3分も時間は勿体ない。もういいだろ。

D:とりあえず、3分だけ時間をください。つまらなければ、居眠りしても良いですから。

B:3分だぞ。C、タイマーで測っておけ。

C:。。。。。

B:C、居眠りしているのか! 会議中だぞ!!!

C:すみません。。。昨日、朝まで同期と一緒に、飲み明かして、公園で寝てしまったので。。。

B:なんだ、その態度は、子供か。いや、子どもでも、危なくて公園では寝ないぞ。

D:すみません。時間が勿体ないので、プレゼンをしてもいいでしょうか。

B:3分だからな。Cは、もういい。私がカウントする。

D:はい。では始めます。
1000年先と言ったのは、私の故郷である備瀬が樹齢300年のフクギ並木に囲まれて、風水で出来たとされる村(シマ)だからです。
300年前からシマが形成されて、そこに今でも人々が住んでいるのです。
きっと、これから600年先も、人々は住み続けると思っています。
300年の間に、飢饉、災害、戦争などもあったと思いますし、実際にありました。
それでも人々は住み続けています。
危機対応能力が高いとか、凄いリーダーがいたとか、超お金持ちがいて全体を開発した、とかは聞いたことがありません。個人的には、琉球王朝時代の蔡温(さいおん、1682年10月25日(康熙21年9月25日) - 1762年1月23日(乾隆26年12月29日))が、琉球全体をデザインをして、シマはその影響を受けたのではないかと思っています。

B:残り、2分半だぞ。

D:さて、話を戻します。
備瀬のフクギは、台風などの防風にも耐えられ、火災が起こった際にも周辺に広がらない防火もあります。また、太平洋戦争時代には、伊江島からの艦砲射撃の弾丸を受け止めていました。さらに、木陰は夏でも涼しく、フクギに囲まれている家は、海風が通ってエアコンがなくても、生活ができるようになっています。
今では、その沖縄の原風景を求めて、シマに訪れています。多くの観光客が散策したり、リゾートウエディングのフォトスポット、風水のパワースポットとしても注目を集めています。独特な文化や風習もありますが、時間がないので、今日は説明を省きます。
300年前の私たちの祖先は、そんなことは想定はしていなかったと思います。シマに暮らす人々が快適な空間を創り、人々のつながりを大事にし、海で魚や貝をとり、陸の部分では自ら食べる食物を育てて確保していました。
ちなみに、紅芋の品種で「備瀬」というのがありますが、備瀬でつくったものです。

B:備瀬の話が長い。のこり2分!

D:では、ホームレスの方々への話です。
これだけの大規模なプロジェクトですので、収益を求めるのは大事です。それだけ、投資をするので、回収をするのを前提にする、当たり前です。
でも、ちょっと考えてみたのです。
大規模投資を行って、開発の途中、もしくは完成して、5年後、10年後に、大規模な災害やパンデミックのような感染症が起きた場合、その不動産価値は急激に下がってしまうのではないか。
多くのリスクがある中で、本当に投資をしても良いのだろうか。
もちろん、リスクは織り込み済みで、ある程度のリスクは仕方がないというリーダーシップや見切り発車もあるかと思います。
そのタイミングやバランスが、大事だと思います。
私がホームレスの方々へ提供するというのは、社会貢献の意味だけでなく、ビジネス的な観点でも重要だと思ったからです。
ホームレスの方々は、家を自ら作り、生活をしています。その家も、最低限の雨風を凌ぐためのものだと思います。
私も学生時代、というか、3年前に3月の京都で路上で記憶をなくして、駐車場で寝ていた時、新聞やダンボールが温かいというのを体験しました。

B:(睨む!)

D:ホームレスの方々は、ある意味、コストゼロで家を創ることができます。そのノウハウは、大規模災害が起きた際にも、活用ができます。
パンデミックが起きた際にも、ソーシャルディスタンスを確保する一人一人の居住空間を創っているのです。
また、世界最大級の津波などが来た際にも、その建物を捨てて、一番被害がない少ない場所へ逃げることができます。

B:残り1分。

D:結論は、こうです。
大規模な公園を創る。そこにホームレスの方に、必要な資材を提供し、好きな創作的な居住空間を創って生活してもらう。公園の樹木や外来種の雑草管理、ごみが出てきたら清掃をしてもらうための管理費を給与として支払う。
ホームレスの方々以外にも、そこに住んでみたい、というキャンパーや家族連れの方々がいれば、自由に住んでもらう。
その代わり、資材は自分で持ってきてもらう。費用はとらない代わりに、ごみ拾いやホームレスの方々と一緒にご飯を創って食べてもらう。
居住空間以外にも、共同で利用可能な、共同売店や銭湯を用意する。
大規模な公園の中には、運動や散歩ができるような小道や広場を創る。
子供向けの遊具などは、一切つくらず、自然の木々を活用して、秘密基地やブランコをつくり、かくれんぼや鬼ごっこをして思いっきり体を動かして遊ぶ。
水道、電気、通信などは、災害に備えて、生活に必要なインフラは用意する。過度にはならないように、最低限でのものでよい。その地域がゼロエミッションで生活ができるようにするため、スマートグリッド(オフグリッド)にする。


というような、地域にすると、日本中、世界中から住みたい、旅してみたい、見てみたい、という方が訪れる場所になる。

その資産価値は、不動産ではないが、無形資産としての価値は無限に広がる。

B:はい、3分。

D:どうでしょうか。

B:別で、やったらどう。ここではないね。

D:わかりました。Cさんは、どうでしょうか。

C:そんな場所があったら、行ってみたいです!

D:眠らずに聞いてくれて、ありがとうね。

ということで、夢から目覚めた。


追伸

6月5日は、環境の日。世界環境デー(World Environment Day)である。
1972年12月の国連総会で制定。国際デーの一つ。
1972年のこの日、ストックホルムで開催された国連人間環境会議で「人間環境宣言」が採択され、国連環境計画(UNEP)が誕生した。
国連では、日本の提案によりこの日を「世界環境デー」と定め、日本では1993年に「環境基本法」で「環境の日」と定められた。
事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意慾を高める日。世界各国でも、この日に環境保全の重要性を認識し、行動の契機とするため様々な行事が行われている。

国連環境計画
https://www.unenvironment.org/

環境省
http://www.env.go.jp/












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