「自分の正しさ」を押しつけなければ、人にやさしくなれる
「人は分かり合えない」
ある時からぼくはそう思っています。
そう思うようになってから、相手や他人のことを認められるようになったし、他人の一挙一動に対して口出しすることも少なくなりました。
人って、自分の言動や思いを理解してもらいたくて言葉として伝えるんですけど、それが意に沿わず理解してもらえなかったときにいさかいが起きます。
言い換えれば「分かり合いたいけど、分かり合えない」もしくは「分かってもらいたいのに、分かってもらいない」状況が生まれたとき。
その分かり合いたい、分かってほしい気持ちっていうのは、「自分の正しさ」からやってくるんですよね。
「ここの店はチャーハンが一番美味しいんだよなぁ」
「King Gnuはやっぱ白日でしょ」
「今年の巨人は間違いなく優勝するよなー」
「自民党なんてもう全然信じちゃダメでしょ」
「だから今日雨降るって言ったじゃん」
「ごはん食べないならもっと早く言ってよ」
「早く報告しろって何回言わせるんだ!」
「どうして分かってくれないの?」
完全に意識的にグラデーションにしていますが、どれも日常の風景に溶け込むような言葉なんですけれど、言葉って全部自分の正しさ、正義を背景に相手へ向けて放たれます。
「きっと、この人なら分かってくれる」という期待を込めて言葉を放つ。
その言葉が受け入れられたときには「そうだよね!」と、相手から承認され、相手の価値観に近づいた気になって嬉しくなるものです。
ただ、この期待を裏切られたとき、人は相手に疑念を抱いたり、「分かってくれないこの人はダメだ」というレッテルを勝手に貼り付けたりします。
ここが重要で、ここが問題だと思うんです。
これって自分の考え、価値観が最良だと考えているから、自分の正義が最良だと考えているから、そう思うんです。
「自分至上主義」とも言えます。
仕事でよくありがちなのは「自分はこのやり方でやってるから同じやり方で大丈夫だよ。」っていう謎の自信に満ちた先輩。
たいてい通常の手順を踏んでいないイレギュラーなやり方を推奨する言い方。
ちゃんとした手順を教えないといけない人には頭が痛くなるやつです。
どこの職場でもあるのではないでしょうか。
正直ぼくも以前はよくやってたけど、あるときに自分至上ってすごくおこがましいし、恥ずかしいと思うようになって、それからやめるようになりました。
1億人いたら1億の正義があるし、客観的にそれが間違っているとしても当人がそれを認めなければ、間違いじゃなくなると思うんですよね。
例えば「痛い」という言葉ひとつ取っても、感じ方は人それぞれ。
自分の基準で、自分の色眼鏡で相手を推し測ることはしても、測ったものを相手に押し付けるべきではない。
その人が「痛い」と言っているのなら、自分の正義を振りかざして「そんなの痛くないよ」とは言うべきではない。
そう思います。
「人は分かり合えない」
あなたの言ってることに共感はできない。
けど、耳をかたむけて理解することはできる。
つまり、
「人は分かり合えないけど、分かろうとすることはできる」
ということ。
これができれば、相手にやさしくなれます。
それともうひとつ加えると、「相手はかんたんに変わらない」と認識すること。
相手が変わらないんだから、自分が変わるしかないんです。
これって意外と身近な人にこそ不足してしまいがちな部分。
職場の同僚や仲の良い友だち、恋人や家族、関係が近くなるにつれて、つい自分の正しさを振りかざしてしまうことってあります。
特に兄弟とか多いんじゃないでしょうか。
逆に「結婚は諦めです」とか言いながらも長年連れ添ってる夫婦とかはこの辺を体感しているからそのまま続くんじゃないですかね。
ちなみにぼくはさんざん弟に自分の正義を振りかざした結果、「このままじゃ一生弟の個性や価値観を認めることはないな」と感じて、自分を改めることにしました。
情けなくて恥ずかしくて申し訳ないと思いますが、勉強させてもらいました。
きっと、相手のこととか今後のことを考えられる人は、そのときにやさしくするか、自分を貫いてきびしくするか選ぶことができるんだろうけど、今のところぼくはそんな器用にできないので、基本的に甘々のSo Sweetです。
以上、今回は「自分の正しさに固執してないで、相手を思いやろうぜ!」というやさしさについてのお話でした。
実はぼくの友だちのカップルが、お互いが自分を分かってほしい病にかかってケンカしていたのでこんな話題になりました。
なんとか仲直りしたみたいだけど、もうちょっと相手のことを思いやってあげられればいいのに、とも思ったり。
相談されたら伝えてみようと思います。
15歳の自分へ
多様性を認めるということはすごくむずかしいこと。
でも、それをしようとすることで人にやさしくなれる。
ただ、なにが好きでなにが嫌いかという、自分らしさを忘れないように。
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