ニコニコした男の子の話
あるところに、やさしくていつもニコニコしている男の子がいました。
まわりの友だちはその男の子が怒ったり、落ち込んだりしているところを見たことがありませんでした。
つらいことやいやなことがあると、その男の子は誰にでも
「大丈夫?」
と声をかけてくれて、話を聞いてくれます。
それに、話を聞きながらときどきちょっかいを出したり、へんな顔をしたりして笑わせてくれるので、話が終わるころにはみんな笑って元気になりました。
「いつも話を聞いてくれてありがとう!」
まわりの友だちはその男の子のことが大好きでした。
「今日はなんの話をきいてもらおうかなぁ」と、その男の子が話を聞いてくれるのをみんな楽しみにしていたくらいです。
・・・
「大丈夫?」
あるとき、その男の子が声をかけられました。
今日もいつものように話を聞いてくれているけど、なんだか笑顔が少ない気がします。
「大丈夫だよ!」
男の子はいつものようにニッコリ笑ってそう言ってくれました。
「そっか!」
気のせいだったのかもしれません。
そのあともいつものように話を聞いてくれたので、元気になって家に帰りました。
・・・
それから、その男の子はいなくなってしまいました。
いつも話を聞いてくれた公園に行っても会えないし、近所のスーパーでぐうぜん会うこともなくなりました。
「どうしたんだろう・・・」
「やっぱり、あのとき、なにかあったのかなぁ。」
「うーん、聞いてもらいたい話がたくさんあるのになぁ。。」
「しかたない、お母さんに話そう。」
「ねぇ、お母さん、今日ね・・・」
おわり
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