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ひろゆき「沈みゆく日本で生き残るために」全文公開(『働き方 完全無双』「はじめに」)

今、Youtubeなどで人気沸騰中のひろゆきさんが、2018年に刊行した6万部突破のベストセラー『働き方 完全無双』が文庫となって発売されます。

【内容紹介】
みんなと一緒に落ちこぼれたくない全ての人へ!
働き方が大きく変わる今、私たちはどのように生きていけばいいのかーー。経済成長が見込めないこれからの社会で、会社に搾取されないように自分の身を守りながら、ワンチャン狙いで攻めていける、働く上での無敵の「攻め方」と「守り方」を論破王ひろゆきさんが伝授します。

【本書の気になるトピックを紹介!】

・「権利」は徹底的に追求すべき
・「新しいこと」にはとにかく首を突っ込んどけ
・「無料ツール」はやらなきゃ損
・「著述家が最強」説
・「なんでもやります!」って言うな
・てっとり早く能力以外の部分で「レア」になれ
・「お金が貯まる人」の思考法
・雑談フェーズで「弱み」を見せろ
・嫌われても平気な僕の原風景
・ブラックさを「ラッキー」に変える
・パフォーマンスを保つロジカル「健康」ルール
・会社がずっと生き残るわけないじゃん
・上に立ちたいなら「何もしない雄ライオン」たれ
・日本はこうやって生き延びろ

会社が永続するとは限らず、自分の身は自分で守る個の時代。
本書を読むと、コロナ禍による働き方の大きな変化も、2018年当時にすでに予想していたかのようにも思えます。今ひろゆきさんの言動に注目が集まるのも、そんな世相を表しているのではないでしょうか。


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はじめに  沈みゆく日本で生き残るために

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先進国で生まれた、あなた。
残念でしたね。なぜ、残念かって?
だって、これから先、経済的に苦しくなっていくことが”明らか”だからです。
でも、大丈夫。ちゃんと現状を分析して、最悪な状況から順番にシミュレーションしていけば、個人の幸せは誰でも叶えられます。
沈みゆく日本で、あなただけが「無双」状態で働くには、どうすればいいのか。
それを本書では明らかにしたいと思います。

■ どうして日本は「ヤバい」のか?

まずは、現在の日本の状況から把握しておきましょう。先進国の不況の原因には、次の3つがあります。

1.インターネットで情報流通のコストが無料になった
2.コンテナの発明で輸送費用がぐんと安くなった
3.ゲーム理論的に正直に商売したほうがトクになった

たとえば、Tシャツを5000枚作るとしましょう。
この3点を当てはめてみると、次のようになります。

ネットで、「一番安く作ってくれる企業」を探して、メールで注文し、クレジットカード決済をする。依頼された企業は、世界で一番人件費の安い国に作らせ、コンテナを使って低コストで指定の場所に届ける。安くて適当なモノづくりをしてしまうと、次の仕事が来なくなってしまうので、ちゃんとした品質で作る。

この結果、中国やメキシコ、バングラデシュといった人件費の安い国に、製造業のほとんどが持っていかれました。
ひと昔前は、メイド・イン・チャイナというと、「安かろう、悪かろう」が当たり前でした。しかし、今の時代は、かなり高い精度で安く良いモノづくりが実現できるようになりました。
すると、日本のように人件費が高い国で作ったものは、競争で勝つことができなくなります。先進国の製造業は不況になり、景気が悪くなり、さらに安いものが売れるようになり、ますます海外の安い商品が作られる……と、日本にとって悪い状況が続きます。

もちろん、「付加価値」を与えることで日本国内でも競争に勝つことはできるでしょう。けれど、「競争に勝ってお金を稼げる人」と「競争に負けてお金を稼げない人」の二極化は避けられません。
ここまでは製造業を例にしましたが、他の業界でも同じことです。先進国では二極化が進み、その差はどんどん開いていきます。あらゆる業界において、競争を勝ち抜いた一部だけが一人勝ちの状態になります。
でも、安心してください。
そこから抜け出せる”別の生き方”が存在します。

■ 人生の「抜け道」を教えよう

競争に敗れてお金が稼げないのであれば、お金がなくても大丈夫な状態にすればいいのです。「お金がなくても工夫して幸せを目指す」という生き方です。
そのためには、「常識的な考え方」を転換させて、経済と個人の幸せを切り離せばいいのです(その方法は、前著『無敵の思考』で21個のルールにしてまとめています)。

そして、もう一つ。今回は違う方法を提示してみようと思います。
それは、”個人として、ワンチャンを狙いながら幸せを目指す”という生き方です。

「働き方」にフォーカスをして、一発逆転を狙えるようにするのです。
仕事に必要なのは「スキル」ですが、「スキル」というのは、勉強すれば誰でも身につきます。
プログラミングも、簿記や会計の知識も、外国語をマスターするのも、時間をかけて勉強すれば、ある程度、誰でもできるようになります。
学生時代に学んでいなくても、そういう職場環境に自らを置けば、誰だってスキルは身につきます。
外国人のコンビニ店員で、いつまで経っても仕事ができない人なんて、見たことがありませんからね。

そもそも、スキルはコモディティ化するものです。 
どういうことかというと、人が身につけたことは、マニュアル化され、誰でも再現可能になり、価値が下がるということです。
すると、一度身につけたスキルだけで食っていくことはできなくなります。
まして、今は人工知能(AI)の技術が成長していますから、これまでは食いっぱぐれのなかった医者や弁護士でも、国家資格を持っているだけでは、これからの時代、つらくなってきます。資格(スキル)プラスアルファが求められるのです。

■ それって「たまたま」じゃね?

身も蓋もないことを最初に言ってしまうと、僕は、個人の「能力」というのは、かなり怪しいものだと思っています。
「2ちゃんねる成功の要因は何ですか?」とよく聞かれます。
「戦略? 機能? それともネーミング?」
それらは、すべて「ノー」です。
真の答えは、「匿名掲示板の仕組み自体は元々あったけれど、途中でやめちゃう人が多く、たまたま僕だけが長く続けたから」です。
世界史を学ぶと、世界で覇者になる民族がいくつか現れますが、それは彼らが優れた能力を持っていたからではなく、地政学的に有利な場所にいたことが要因として大きいのです。
つまり、「たまたま、そこにいたから勝てた」のです。
企業においても、当初の計画どおりにうまくいった例よりは、いろいろな分野に手を出して、そのうちの1つが「たまたま当たった」というほうが多いのではないでしょうか。成功の秘訣は、「後付け」すれば誰だって理由を考えられますからね。

自分のスキルや能力を信じて、今と同じ頑張り方をしていては、みんなでアリ地獄の中で上を目指して走っている状況と変わりがありません。これからは、個人でワンチャンを狙えるように、今の「働き方」をアップデートさせるほうが近道です。
そこで、本書で提唱するのが、「”無双”状態で働けばいいんじゃね?」という逆転の発想です。

■「無双状態で働く」とは

働くときに考えるべきなのは、個人の「攻め方」と「守り方」の2つです。
第1章では、「攻め方」を身につけましょう。能力を上げるのではなく、「相対的に自分を有利にする方法」を伝授します。
押さえておきたいポイントは、「何が当たるかわからない」「人に覚えてもらえればチャンスが増える」ということです。とはいえ、このへんの話は「○○術」「○○法」という内容で、他のビジネス書でもよく聞く話でしょう。
そして、それだけでは、これからの時代は不十分です。
沈みゆく日本で、みんなと同じ働き方をしていては、全員が一緒にやられてしまいます。
先ほども言ったように、どんどん技術が進化し、あなたが特権的に得ていたものの価値が低くなってしまうからです。

そこで第2章では、「守り方」を教えます。
企業の論理に絡めとられることなく、「最悪、クビになっても大丈夫な状態」にしておくということです。
ここで必要なのは、社会学的視点です。押さえておきたいポイントは、「ブラック企業」と「ベーシックインカム」についての知識です。ブラック企業の論理に負けず、ベーシックインカムをもらうことを前提に生きることを目指します。
詳しくは本編で説明しますが、ベーシックインカムとは、「国民全員に生活を保障するお金を支給する」というシステムです。さまざまな議論がされていますが、月7〜8万円を配るのは可能じゃないかと、僕は考えています。
すぐには実現されなくても、それを前提とした「マインド」にしていくことはできます。そのための理論武装を紹介します。

■「スキル×理論×経営者視点×環境」が“無双”だ

以上、あなた個人の「攻め方」と「守り方」を固めてもらうのですが、もう一つ必要になってくるのが、企業側の視点です。
第3章では、「企業の論理」を紹介します。というのも、僕は、学生時代に起業をして以降、サラリーマンとして働いた経験がありません。
ずっと、「経営者」側として生きてきました。
そこで、会社の「法則」と呼ばれるものを、本音でお伝えしたいと思います。ここで大事なポイントは、「企業の成長と衰退」「できる人を伸ばす」ということです。
ネット時代になり、一代で大企業にまで急成長する例も増え、その一方で事業の寿命は短くなっています。そのロジックを説明しましょう。
また、「たまたまそこにいたから」というワンチャンを狙うには、「業界選び」が重要になってきます。銀行やテレビなど、一時は時代を謳歌した業界が「オワコン」と呼ばれている昨今で、何がこれからのチャンスになるのか。
それを、「終章」で提示して本書を締めくくります。
”個人の「攻め方」「守り方」をマスターし、企業の「論理」を身につけて、業界としてよりよい「環境」に身を置く”
これこそが、本書の目指す「働き方 完全無双」です。
これからも日本で働いていく上で、どんな状態があなたを相対的に有利にさせるのか。その方法を徹底的にお教えしたいと思います。

ひろゆき

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