クレヨンしんちゃん花の天カス学園を見てきた(ネタバレあり)
子供が生まれる前は一人でレイトショーに行くのが大好きだった。お金がないながらも映画鑑賞という趣味をあきらめたくなくて、ポイントカード利用と割引日のチェックをしてもお得に映画を楽しんでいた。今は子供がいる環境だが、時間は作るものと考えて調整をしながら好きなものだけは何とか見に行けている。
映画は当たりはずれがあるし、DVDレンタルに比べるとやはり高い。それでもあの空間で、大画面で、大音量で見る映像に心奪われて、自分の感情が上下する瞬間が、何にも気にせず夢中になれる時間が、私には必要だなと感じている。
是非子供にも同じものを好きになってもらいたいと5歳になった娘に普段あまり見ていないのだが(笑)クレヨンしんちゃんの映画に誘った。予告も何も知らなかったけれど、ツイッターで見た「よかった」という一言の感想が頭に残っていたのだ。
久しぶりに見た最初の印象は、メインキャストとなるしんちゃん、そしてひろしの声優さんが変わったはずなのに違和感が全くなかったこと。しんちゃんの矢島さんは自分の声の限界を感じたという理由で役を降り、ひろしの藤原さんは惜しくも病気で亡くなっている。
先日見たYouTubeで新しい声優さん(小林さんと森川さん)のインタビューを見たが、並々ならぬ努力があることとプレッシャーを背負ってやっていると語っていたので、冒頭野原家族がいつも通りの日常を過ごしているシーンで、私が過去子供時代に見ていた空気そのままで流れていることに感動した。やっぱ声優さんってすごい。
物語は私立の天カス学園に風間くんが体験入学を申し込み、それに他の4人が付き添いで行くといった内容だった。みさえがしんちゃんを送り出してすぐ大泣きしているところは共感しかなかった。毎日毎日一緒に居てうるさいなぁ、大変だな、と思っている瞬間があるのに、いざ離れると分かるとなんだか体の一部がどっか行っちゃうような感覚になる。母親ってみんなそうなのかな?変な感じです。
そんな気持ちも知らずにしんちゃんはマイペース、風間くんは希望校の体験入学に珍しくウキウキしてて、きっとこの二人の対比がいつも以上にでるんだろうなというのが分かった。
オツムンというAIが管理している学園で生徒は、エリートポイントにより順位を付けられ、クラス・給食等が区別される。学校1の生徒には毎日カニのしゃぶしゃぶが提供され、エリートポイントマイナスの生徒たちは焼きそばパンの奪い合いが毎日行われる。焼きそばパンとか今の子供たちわかるのかな?(笑)
ここで印象的だったのが、学年2位の仲里依紗演じるギャルのアゲハちゃん。校則違反のメイク、ネイルもしているのに多才なのでエリートポイントが減っても学年上位。やることをやっていれば自分の自由が利くと分かっていてしっかりしたアイデンティティを持っている。世の中に認められ、自分の意見を通すにはそれなりの努力と勉強という力があればできる、っていうことかな?彼女のように器用に生きられればいいのだろうけど、ここで対比として出てくるのが陸上が得意だったが怪我で走れなくなったチシオちゃんというキャラだ。
学校の生徒会長とは名ばかりの雑用係の彼女は、しんちゃんたちのお世話係をすることに。エリートポイントなんて極端なシステムがある学園に居ながら、いわゆる「普通」で常識のある女の子だ。のちに彼女が走れなくなった理由が他にあったのだが、これもなんとも思春期の女の子あるあるで子供向けには笑える感じになっていたが、大人的には切なくて泣けた。
さて、学園での生活に慣れてきたしんちゃんたちだが、ここでエリートポイントをためて進学に有利になりたい風間君と楽しく体験入学を終えたい4人の意見がぶつかる。しんちゃんが喜ぶだろうとリュックにチョコビを入れてくれたみさえ。だが、お菓子をもってきてはいけないルールだったようで風間君がそれを咎め、「うちのママはルールを守るのにしんのすけのママはダメダメだな!」といったことによりふたりは絶交することになる。
しんちゃんを想ってお菓子を入れたみさえも、学校のルールを守っていれなかった風間君ママもどっちも正解だし、お互いママが大切だから自分が何か言われるより「ママ」のことを言われた時のほうが気持ちが大きくでちゃう。これ、親的に見ててぐっときた~~~~。
この後、風間君が時計塔の謎の吸ケツ鬼に襲われ、いまだかつて見たことがないほどのおバカになる。これは結構衝撃的です(笑)この事件の大事さを学園長に訴えにみんなで行くんだけれど、ここで誰かがすかしっぺをする。く、くっさ~~~っとみんながなってる中、学園長がおバカになった風間君だろうと言い出す。ところがしんちゃんが、その臭いおならの匂いから犯人は学園長だと推理し当てる。
いや、ここもね、子供だったら「おなら!おもしろ!」で終わるでしょう。娘も今なんていってもおならブーム。口で「ぶぶっ」と音を出そうものなら大笑い。すねたり怒ったりしててもくすっと笑ってくれる魔法の言葉。
でも、私にはこの学園長がいかにもすかしっぺをしそうな人間を犯人に仕立て上げて、自分のミスを棚に上げたっていう行為にしか見えなくてね。でも、大人ってこういうことたぶんやりますよね。自分はどうだろうってこのシーンみて色々考えちゃいましたよ。
最終的に吸ケツ鬼の犯人に完璧なエリートにされた風間君としんちゃんたちでマラソンの勝負をすることになる。ここでなぜか風間君はロボットの足で走るのだが、他4人は幼稚園生の足。間違いなく負けるといった中でも風間君を取り戻すために挑むしんちゃんたち。
そこに体験入学を終えたしんちゃんを迎えに来る野原夫婦。無謀な挑戦をして失敗をして本人が傷ついてしまうのに放っておくのか?とチシオちゃんが問う。
「私たちが言っても聞かないしね~。本人がやりたいっていうならそれを応援するのが親ってもんでしょ~」的なことを言っていたと思う。本当にそうなんだよな~子供が選択するときあれこれ言わずにただやってみろっていう覚悟が自分にあるかなぁ~?野原夫婦、さすがです。
その言葉に感動したチシオちゃんがしんちゃんたちを援護し、さらにほかの学生たちも加勢して、劣勢だった勝負がどっちが勝つか分からない展開になっていく。風間君は追いついてくるしんちゃんに焦り、なんとか勝とうとするが、最後の最後ついに「ここにみんなで入学できなかったら、バラバラになっちゃうんだぞ!」と涙ながらに大声で叫んでいた。これが風間君の本音だったのね~~~って涙。風間君、5人でいるの本当に好きでみんなを信頼してるのが分かって本当に胸熱でしたよ。それに答えてるしんちゃんもお友達を大事に想っているのが分かって、自分の中でしんちゃん映画1位!って確信した瞬間でした。
娘も来年小学生だったいうのもあって、一緒に見れてよかったなぁと思ってますが、今の彼女の中ではさほど残らないんだろうなぁ(笑)それでもいつかもう少し時間が経ってまた天カスを見ることがあったら、もうすこし感想を言い合えるようになっているといいなあと思う今日この頃です。