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林業してる女子、木を伐る人から木を植える人になります

「砂漠に木を植える人になりたいって言ったの、お前だったっけ?」

母が何気なく私に聞いた。すっかり忘れていたが、幼いころの私は確かにそう言ったのかもしれない。
『木を植えた男』という絵本がある。タイトルと表紙の絵のみおぼろげに覚えており、内容はほとんど忘れてしまったが、まだ小さかった私はそれを読んで感じるところがあったのだろう。

小さいころ、「将来の夢は?」と聞かれるのがとても苦手だった。小さいころどころか大学生になってもそれは定まらず、大学卒業後も半年ほどフリーターをしていたほどだ。
ただ、ずっと、漠然と環境問題や農村地域についての関心はあった。小学校の総合の時間で環境問題について扱った日、真面目だった私は「一人一人の行動を変えることが大事なんだ!」と家に帰って家族に節電・節水しようと進言したのを覚えている(家族には「我が家だけがやっても意味ないから」と窘められた)。また、地元は高齢化と人口減少真っ最中の農村で、いつか地域が無くなってしまうのではないかと不安と、何とかしたいという危機感もあった。農への関心という意味では、これまた小学校の総合の時間で学習農園(学校の裏の畑)や学習水田(地域の方の田んぼを借りて田植えや稲刈りをする)に熱心に取り組み、祖母の家の畑を継ぎたいとも言った記憶がある。
同級生の中には、率直に「田舎は嫌。都会に出たい。」と漏らす子もいた。ただ私は、綺麗な山や川や木に囲まれて、土につながったままの野菜を取って食べたりする、その時間がたまらなく好きだった。

大学は農学部に進学した。具体的にやりたい職業がある訳では無かったので、興味の赴くままに授業を取るうちに森林科学に片足を突っ込んだ。
少し何かが違えば、もっとしっかり農業をやっていたかもしれないし、地域の事業をやる人になっていたかもしれないし、環境問題を扱う何かになっていたかもしれない。でも、私はいつのまにか林業をやっていた。
そして、林業と一口に言えど、2年間は木を伐る人をやっていた(正確には伐られた木を運び出す人)。来る日も来る日も山に通う日々は悪くなかったけど、「私が入ったところで、山が良くなっている感じがしない」ことに耐えられなくなってきた。

この4月から造林を行う仕事に転職した。平たく言うと「木を植えて育てる人」になった。幼いころの私よ。夢、叶ったぞ。
どこまでできるか分からないけど、一つ一つ頑張っていこうと思う。

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