闘病日誌…障害と特殊能力・光と戸惑い。
Xさん(50代男性)…私の入院時には、既にこの病院で闘病生活を送っていた。
快活で小さなことには拘らない(こだわらない)、サバサバした心を持つ。
私は彼に男としての魅力(=長所)を感じた。
長身で逞しい筋肉質。終日(:朝晩中)の間を、病棟ホール・病院周辺の外廻りをウォーキングをして身体を鍛えている。
そんな健康的で活動的な男性だった。
彼とは何回かの会話のやり取りで意気投合し、その後何人かの患者仲間を交えて夜にカードゲーム…ポーカー・ババ抜き等、をするようになった。
ある日ゲームが盛り上がり、その熱気が冷めやらぬ消灯9時前の30分間。
私達は病棟隅の自動販売機のスペースの地べたにお尻をついて坐り、暫くの間語り合った。
それは人間関係上の大事な時間であると、私はかなり意気込んだ。
私は生きる上で、大切な思い出を残すことが好きだ。
この一件で最終的に私は聞き役に回ったが、彼を受容し思いの限り彼を承認したので、私は彼と厚い信頼関係を築くことになる。
<その時の彼との会話の内容…>
①、彼はサバン症候群…職場で150人の名前と顔を憶えていた。しかしその恐るべき記憶力について、彼自身には知的野心はない(例えば…本をマスターして大学の先生になるといったような。)
②、あるモノ(ココではなんのモノであるかは伏せます)に性的興味が激しく湧くようになり、それが人生の最大の苦悩であった。
③、青年期に引き篭もり…典型的なトーシツ(:統合失調症)の症状になり、その後精神障害者認定を受けた。
彼はサバン症候群にもフェティシズムにも、全く社会的価値を見出していなかった。
それどころか、彼はその「特殊な性質」が為に、群れから迫害されることを異様に恐れていた。
私は彼に、彼の持つその障害(サバン症候群・フェティシズム)は、人間の性質として稀に表出する極めて人間的なモノであることを…そして私は、彼のその性質は考えようによっては素晴らしい可能性を秘めていることを強調した。
〜〜〜
「カードゲーム」そして「サシの会話」の興奮冷めやらぬまま、私はベットと机そして少しの荷物だけの簡素な個人用病室に一人になった。
病院の静寂は私の感覚を研ぎ澄ます。
私の鼻の粘膜にこびり付くホコリと油脂分。
それらは私にとって、この「病院」(=「当事者街の雑踏」)で私の嗅覚が感受する、キツイキツイ異物体の汚臭を放った。
イヤらしくどぎつく何とも言い難い抜けの香りだ。
<まとめ>
①、彼の光
・趣味、特技に打ち込む為の、自由な時間。
・サバン症候群という驚異的な記憶力。
・「事物対象」への強烈な(性的とも言える)興味、関心を示せるという、「マニア的」長所。
②、吉田の提案
・オタク、サブカル男子(性?)として、日本の大衆文化界で、活躍してみてはどうか???。
③、具体例…例えば
a、坂道シリーズ歴代メンバーのヒット曲衣装の写真、デザイン図の収集、分析。
b、Vivi、Cancan、ファッジ等…熟読鑑賞による、ファッション衣類の分析。
→a、bをブログ・ライティングという括り(くくり)でデイ・ワークとする。
<オチ💧>
「あーあんまり興味ないなー」
それ以上の「発言の余地」「発言権」は、私にはもう無かった。
病院の主役は患者である…つまり患者の意思が最大限尊重されなければならない。
=終わりに…学習メモ=
・トーシツ(:統合失調症)治療は薬物療法と精神療法の二枚刃で行われる。
・トーシツ患者は精神療法の一つである心理的社会的介入により、QOL(生活の質)の向上を目指す。
→(この介入は医療スタッフにとって、精神科治療の醍醐味である。/精神科・研修医ノートp.278)
了
「けだものフレンズ」/にしな 🐈⬛🐈⬛🐈⬛…。
私の理解を超える範疇の人々と暮らすって…毎日が新鮮でも有ります。
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