ナイドホグル
皆さんこんにちは。雪ノ下です。
さあ今回はいよいよ、超特大のネタバレを扱ってみようと思います。今回はゲーム「フラワーナイトガール」のラスボスの一つである守護神蟲の一つ、ナイドホグルについて語ろうと思います。
本稿は、ゲーム「フラワーナイトガール」の、最も賛否が激しく分かれる物事の一つについて取り扱います。単なるネタバレに限らない、極めて難しい議題を取り扱います。閲覧の際は、その事をご理解いただけるとありがたいです。
本題の前に:賛否について
本題に入る前に、本件がどれだけ賛否が激しいかを記録するため、ほんの少しだけお付き合いください。
ナイドホグルの最新の賛否については、一言で言えば「手のつけようがない」です。この件については、賛成多数の一方、元々の設定などから反対する者(私も当時その一人でした)も少なくなく、一度は炎上騒ぎになるほどでした。
時間が経ち、物語が進み、より多くのことがわかって来るにつれ、私のように考え方が変わってきた人も少なくないとは思うのですが、中には考え方がさらに尖鋭化し、反対派を最初から存在しなかったものとして排除しようとする「極端な賛成過激派」の人が、反対派や元反対派をSNSなどで攻撃するなどの問題行動に走る、といった、極めて好ましくない展開も確認されています。各種百科事典は誰でも編集できる分、これが顕著なのが実情です。
執筆者の立場
元反対派の私雪ノ下ですが、現在は各情報を整理した末、あくまでも中立を保ち、今後の動向を見守る立場でいることを決断しております。
そのため、本記事は、敢えて賛成、反対、どちらにも可能な限り偏ることなく、可能な限り劇中描写を基に、中立な立場で編集させていただきたいと考えております。
とはいえ、完全な中立というものは、なかなか存在できないものです。私自身が無意識のうちに、賛否どちらかに偏る可能性はゼロではないことは、あらかじめご了承願います。
お願いと警告
本題に入る前に、いくつか注意点を挙げさせていただきます。
・本記事は攻略記事ではなく、ナイドホグルのゲーム面の性能を論じるものではありません。
・本記事は、ナイドホグルと花騎士のこれまでの戦いの記録を通じ、我々と花騎士は、今後どのようにナイドホグルと向き合うかについて論じるものです。
・私自身、全ての情報を完全に把握できているわけではないと思います。明らかに欠けている公式描写などの情報がありましたら、コメントにてお教えください。内容を精査させていただきます。また、今後新たな情報が明らかになった場合、その都度改訂させていただきます。
・本記事を利用した攻撃行為は、その理由を問わず、その一切を無期限で禁止します。明らかに攻撃目的や誹謗中傷などを目的としたコメントが確認された場合、当該アカウントを通報、ブロックさせていただきます。あしからずご了承ください。
…長い序文のお付き合いありがとうございました。約1000文字も消費して警告しなければならないほど激しい賛否とは何なのか、そしてなぜそのような事が起きたのか、後程しっかりと語らせていただきます。
それでは、どうぞ。
本題に入る前に:そもそも花騎士とは?
本題に入る前に、少しだけ寄り道させてください。この内容は、ぜひ覚えておいていただけると幸いです。
皆さんはそもそも、「花騎士」の定義はご存知でしょうか?いつもなんとなく使う用語ではありますが、実は明確な定義があります。
「フラワーナイトガール ワールド&キャラクターガイド」(2017年3月発行)という本には、『広義的に“世界花の力を引き出し害虫と戦う者”の総称』と記されています。この本は、まだナイドホグルが復活する前、ロータスレイクが開国して間もない頃の書籍で、フラワーナイトガールの最初期の公式設定が生きている頃と思われます。
世界花の加護を受け、世界花の力を引き出して、害虫と戦う戦士。それが、従来の花騎士の定義である。
これだけ、覚えておいてください。
1.ナイドホグルとは?
ナイドホグルは、ゲーム「フラワーナイトガール」全体の中ボスであり、1部ラスボス、3部と4部の中ボスを勤め上げた、本作最大最強の怪獣です。初登場時は害虫でしたが、後に益虫化したため、花騎士がこれまでに戦った中では最も特殊な存在と言えます。
ナイドホグルのモデルは、日本の伝説に出てくる超巨大な妖怪「大百足」と、北欧神話に出てくる地底の怪竜「ニーズヘッグ」で、名前もニーズヘッグのラテン語読みに由来します。
藤原秀郷と戦ったという近江三上山の大百足と、世界樹ユグドラシルの根を囓る地底の怪物ニーズヘッグについてはまたいずれ語ることとして、本稿ではナイドホグルについて詳しく語りたいと思います。
ナイドホグルは現在、少なくとも二体の存在が確認されており、他にも複数の分身体の存在が示唆されています。特徴が根本的に異なるため、それぞれ分けて解説します。
諸元(ナイドホグル(初代))
名:ナイドホグル
別称:「炎熱と宵闇の化身」「千の足」
分類:守護神蟲
全長:推定20000メートル以上
脚幅:推定約200メートル
体高:推定約100メートル
翼開長:推定約1000メートル
体重:測定不能
出身地:ウィンターローズ(復活場所)
初めてその存在が確認された守護神蟲(当時はまだ「守護神蟲」という用語はなく、単に「超巨大害虫」もしくは「伝説の怪物」と呼ばれていた)であり、2023年現在までに確認されている、スプリングガーデン最大の生命体です。その全身が完全に描写されたことがないため、正確な全長は現在もわかっていませんが、山を何周もできる巨体であることは間違いないでしょう。本稿では後述の二代目と区別して、「先代のナイドホグル」と表記する場合があります。
初めて確認された黒色の形態と、ミズウォルム・シロの力で益虫化した際の白色の形態、大きくこの二つの形態が知られていますが、どちらが本来の姿だったのかはわかっていません。両方とも本来の姿ではない可能性もあります。
形態学的特徴(ナイドホグル(初代))
ナイドホグルの外観は、巨大な翼を持つムカデの怪獣です。しかし、よく観察すると、我々の知っているムカデとは、かなり異なる特徴がみられることがわかります。
・頭部
ナイドホグルの頭部は、我々の知っている、どんな生物とも異なる外観をしています。
頭部前方先端には口器(※1)があります。これはムカデよりゲジに近い特徴です。口器の中央には、クモの鋏角(※2)に似た形の小顎(※3)と考えられる器官があり、すぐ外側に牙状の小顎が見られます。
形状は少し異なりますが、実際のムカデにも2対の小顎があり、それぞれの見た目は大きく異なります。
頭部前方側面には、大顎(※4)が変化したと思われる巨大な牙があり、外側基部に反しがついています。この反しの機能は不明です。
牙はクワガタやカミキリムシの大顎に似ており、敵や大地を引き裂くのに活用しているものと見られます。
なお、オオムカデとクワガタやカミキリムシとでは、大顎と小顎の機能が異なります。クワガタやカミキリの大顎は大きく、2対の小顎はとても小さいですが、オオムカデの大顎は1対目の小顎に隠れるほど小さく、2対目の小顎が小さな触角の役目を持ちます。そのため、実は鋏角のように見えるものが大顎で、牙のように見えるものが2対目の小顎である可能性もあります。
触角は牙のすぐ後ろ、頭部下面から1対伸びており、形態はオオムカデ類の触角に似ています。
ムカデの触角は武器ではないので、ナイドホグルの触角にも武器としての機能はないと思われます。
顔面は左右に広く、前後に短い、既知のムカデ類では絶対に見られない形態をしています。多数の隆起があり、全てが装甲として機能しているものと見られます。
目は3つあり、左右に1つずつ(側眼)(※5)、中央に1つ(中眼)(※6)です。いずれも単眼なのか複眼なのかは不明です。視力についてははっきりしたことは不明ですが、少なくともフラスベルグの姿を認識できるだけの視力はあるようです。
中眼は一部の昆虫に見られる特徴で、実際のムカデにはありません。ナイドホグルがただ巨大なだけのムカデではないことがよくわかります。
角は、頭部側面の後方から1対、頭部上面後方から2対、計3対あり、それぞれ形状が大きく異なります。
頭部後方の角は、内側の1対と外側の1対で見た目が異なり、内側の角はプロングホーン(※7)の角を逆さまにしたような形状で、細かい節が見られます。外側の角はより短く、ガゼルに似た形をしていますが節はありません。これらの角の機能は不明です。
側面の角には、根元に関節が存在する可能性があり、もしそうならばこれは角ではなく、顎肢(※8)の可能性があります。左右に大きく広がる形で伸び、先端が大きく前方にカーブしています。これが本当に顎肢ならば、後述の火球はここから発射している可能性があります。実際のムカデの顎肢は、先端から毒液を注入する凶器です。
(※1)口器:動物の口を構成する器官の総称。多くのムカデは、口器よりも触角が前に来る。
(※2)鋏角:「きょうかく」と読む。クモの「牙」やサソリのハサミに相当する器官。他の節足動物では触角に相当する。鋏角を持つ節足動物の系統を「鋏角類」と言う。
(※3)小顎:節足動物に見られる、顎に変化した脚に近い器官。原則として2対あるが、昆虫では外側の1対が融合して特異な構造になっている。
(※4)大顎:節足動物に見られる、顎に変化した脚に近い器官。関節がなく、牙として機能する。
(※5)側眼:頭の左右に配置されている目。多くの生物では、最低1対の目が配置されているが、目を放棄した系統の生物もいる。
(※6)中眼:頭頂眼とも言い、頭の正中線上に配置されている目。一部の節足動物と、一部の脊椎動物に見られる。
(※7)プロングホーン:学名アンティロカプラ・アメリカナ。偶蹄目プロングホーン科。北米大陸中西部の荒野に生息する。アンテロープとシカの中間のような角を持ち、時速80キロで何キロも走る体力を持つ。
(※8)顎肢:ムカデの1本目の脚が変化してできた器官。先端に毒腺があり、相手に突き刺して毒を注入する。
・胴体
非常に細長い胴体は、蛇のように長いため、とぐろを巻くことができます。これはジムカデやゴカイに似た特徴です。ゲジやヤスデのように体高が非常に高く、胴体断面は台形になると考えられています。
胴体上面と側面は、鱗のような構造物で覆われています。この鱗が何から変化したものかは不明です。背板(※1)が癒合してこのような形態になった可能性があります。この鱗は節足動物の鱗(※2)とは形態が大きく異なり、むしろそれは脊椎動物の有鱗目(※3)の鱗に非常によく似ています。
胴体下面は、ムカデの体節に似た外骨格からなります。本来は全ての体節に1対ずつ脚があったと見られますが、既にかなりの数が千切れて欠損しています。
脚は6節からなり、実際のオオムカデの脚よりも1節少ない以外は非常に形態が似ています(※4)。総数は不明ですが、ムカデは必ず奇数対の脚を持つため、同様に奇数対の脚がある可能性があります。
曳航肢(※5)の形態は描写がないため不明ですが、後述の2代目が変身する守護神蟲態では、先端が鉤爪になった5節の太長い曳航肢が確認されています。
翼は極めて特異な形態をしており、昆虫の翅とはおよそ形態が似ていません。どちらかというと脊椎動物の翼に形態が似ています。一本の腕と、そこから後方に伸びる複数の枝によって皮膜を支えています。これに一番近い構造の翼はコウモリが持っていますが、枝が櫛状に生えている様子は鳥の羽軸(※6)のようにも見えます。昆虫ではハサミムシの後翅が近い形態をしていますが、ハサミムシの後翅には肘の関節はなく、枝が一箇所から放射状に生えています。
体のかなり前側に1対だけあることから元々飛行性能はなかったと思われ、牽制(※7)や威嚇などのディスプレイに使う程度のものだったようですが、現在は皮膜に無数の穴が空いています。
(※1)背板:節足動物の胴体背面にある板状の外骨格。装甲の役割を果たす。
(※2)節足動物の鱗:昆虫の鱗は、体表の毛が変化した鱗粉である。鱗粉に酷似した鱗をウロコムシなどの環系動物も持っている。このような鱗は瓦のように重なって付いている。
(※3)有鱗目:爬虫類のうち、トカゲ、ヘビ、ミミズトカゲの三亜目の総称。タイル状の鱗を持つ。
(※4)脚は6節からなり、実際のオオムカデの脚より1節少ない:ただしオオムカデの脚の第1節と第2節は非常に短いため、1続きになっているように見える場合もある。もしかすると、ナイドホグルの脚も7節あるのかもしれない。
(※5)曳航肢:ムカデの脚のうち、最後の1対。触角のようにも見えるため、偽の頭として威嚇などに使われる。先端の爪で刺すこともある。
(※6)羽軸:鳥の羽の中心付近を貫くように伸びる、一本の軸。
(※7)牽制:この大きさの翼であれば、羽ばたきによる突風を攻撃などに使える可能性もある。
能力(ナイドホグル(初代))
ナイドホグルは多様な能力があることが判明しています。しかし、そのほとんどを使わないまま力尽きたため、想定されていない未確認の能力が存在する可能性は否定できません。
・眷族生成能力
ナイドホグルは、その体から眷族と呼ばれる害虫を生み出すことができます。多種多様な眷族が確認されており、その総数はわかっていません。これまでの戦いで相当数が討伐されたはずですが、最近の情報によると、まだ外園には多数の眷族が生き残っているようです。
ナイドホグルの眷族は、高い知能と優れた戦闘能力を兼ね備えた、ナイドホグルに絶対忠誠を誓う、極限指定級害虫~古代害虫クラスの超強豪害虫です。統率された動きで行動することが可能で、ナイドホグルの命令でどのようなことも行います。ナイドホグルにとっては部下であり戦力です。
・異空間生成能力、異空間維持能力
スプリングガーデンをぐるりと取り囲む異空間「外園」は、内外からの進入を頑なに拒む閉ざされた異常空間です。この空間は、ナイドホグル、ミズウォルム、フラスベルグの守護神蟲全種の力で創られ、その血が全て途絶えない限り、存在し続けるとされています。この異空間によって、スプリングガーデンの内外では物質の出入りがほぼなく、スプリングガーデンを事実上の鎖国状態にしていました。
・認識改変能力
後に公式の4コママンガで、ブロスが1度だけ使用した認識改変能力と酷似した能力です。ナイドホグル、ミズウォルム、フラスベルグは、この能力を使い、スプリングガーデン内の存在が、スプリングガーデンの外について考えられないように情報統制を行い、スプリングガーデン内の存在を閉じ込めていました。
ただし、世界花にこの術が効いていたかどうかは不明です。
・分身体生成能力
自らと記憶を共有する分身体を、眷族とは別に生み出す能力が2023年になって発見されました。この能力はミズウォルムの能力と酷似しており、また世界花の能力とも似ています。
ナイドホグルはこの分身体を外園にのみ配置し、スプリングガーデン内では一切使用しなかったために、ごく最近までその存在は知られていませんでしたが、おそらく遥か以前から存在していた能力と思われます。
・掘削能力
文字通り、地面を掘る能力です。牙と角によって掘られていると思われますが、具体的な方法は不明です。
強力な牙と角で、硬い岩盤を掘ることができるものと思われますが、劇中ではほとんど使用しなかったため、あまり穴を掘るのは得意ではないのかもしれません。
・火炎放射能力(未使用)、火球発射能力(未使用)
ナイドホグルのメインウェポンとされる火炎と火球ですが、はっきり確認できる範囲では描写がなく、未使用と思われます。この能力は、後述の2代目が使用したことで判明しました。
・瞬間移動能力(未使用)
眷族だけでなく、ナイドホグル自身も瞬間移動が可能だと考えられますが、これまで使用は確認されておらず、「千の足の方舟計画」の際は、精霊の力でワープしていました。この能力も、後述の2代目が使用したことで判明しました。
・言語能力(未確定)
同種、異種問わず、他の生命体の言語を使い、会話をする能力です。言語を使い会話する能力は、高い知能の証明にもなります。
ただし、劇中で眷族と直接会話するシーンはなく、唯一確認された上記のシーンも、まだナイドホグルという名前ではなかった頃のもののため、現在ナイドホグルが言語能力を有しているかどうかは、はっきりとはわかっていません。
しかし、外園騎士ナイドホグルとは、何らかの方法で意思疎通を行っている様子が確認されています。
諸元(ナイドホグル(2代目))
名:ナイドホグル
別称:「外園騎士」
分類:守護神蟲
身長(怪人態):推定約2メートル
全長(怪人態):推定約5メートル
全長(守護神蟲態):推定200メートル以上
翼開長(守護神蟲態):推定約6メートル
体重(怪人態):不明
体重(守護神蟲態):測定不能
出身地:バナナオーシャン沖外園(発見場所)
先代ナイドホグルがスプリングガーデンの大地に還りつつあるため、最期の力を使って生み出した分身体の一体であり、事実上のナイドホグルの後継者です。以後特記ない限り、本個体は「外園騎士ナイドホグル」と呼称します。
2023年現在、花騎士と最後に戦った守護神蟲です。大きさも姿も初代とは似ても似つきませんが、能力は先代のそれに匹敵、あるいはより強力な能力を持ちます。
劇中では終始怪人態のみが確認されていますが、攻略サイト等によると、先代に似たムカデの怪獣の姿(本稿では守護神蟲態と呼称する)に変化することができるようです。本来なら守護神蟲態のみで現れるはずだったようですが、外園騎士ナイドホグルは怪人態の方が本来の姿のようです。ただしこの姿には先代の遺志が強く反映されているらしく、また違う真の本来の姿が存在する可能性は、現在完全には否定できていません。攻略サイトによると、「守護神蟲の白」というセリフがあるらしく、先代の益虫化態に似た体色の形態も存在する可能性があります。
形態学的特徴(ナイドホグル(2代目))
外園騎士ナイドホグルの形態学的特徴については、上記攻略サイトにて記載された、足先まで確認できる立ち絵を参照します。
なお、外園騎士ナイドホグルの劇中での守護神蟲態は確認できていないため、今回は原則として怪人態のみの分析に留めます。
・頭部
赤く毒々しいボブヘアと、3対の黒い角が特徴です。顔の形態は人間に酷似しており、各部の構造が人間そっくりになっていることが確認できます。
顔の各器官は、先代とは異なり人間そっくりです。鼻や口の外形は人間のそれに似ており、見分けるためには内部構造を調べる必要があるかもしれませんが、口腔内構造の情報はほとんど開示されていません。数少ない情報を基に推測すると、大顎や小顎は見られず、上顎に歯のような器官があることから、口腔内も脊椎動物に酷似するものと推測されます。
目は左右1対のみで、中眼はありません。目の構造も脊椎動物に似たカメラ眼(※1)になっており、瞼(※2)の存在が確認されています。瞳は濃赤色です。
髪が生えていることや、眉の存在から、体毛が生えていることがわかります。毛は瞳に似た赤色で、何かで染色していない生まれながらの色だと思われます。
頭頂部に、先代のそれに似た3対の角が確認できます。頭部側面の角は、先代では顎肢の可能性がありましたが、外園騎士ナイドホグルでは完全に角になっています。後頭部の角の構造は不明です。これらの角の機能はわかっていません。
耳の形態は不明です。耳介の存在は確認されていません。高い言語能力があるため、高度な聴覚器官の存在が想定されますが、詳細は明らかになっていません。
(※1)カメラ眼:カメラと同じ構造の目。ピントを調節するレンズ、光量を調節する瞳、光を受容する網膜からなる。
(※2)瞼:「まぶた」と読む。脊椎動物にのみ見られる構造で、開閉することで目を保護する。
・胴体
外骨格以外に、明らかに脊椎動物に似た内骨格の存在を示唆する形態をしています。
外骨格の形状は大幅に変わり、鎧のような形態に変化しています。鱗状の部位や翼は確認できていません。背中側の構造は不明です。
胸部には、頭部とほぼ同じ大きさの、巨大な球形の器官が確認できます。外園騎士ナイドホグルの性別は不明ですが、もし雌だった場合、これは哺乳類の乳房に相当する器官である可能性があります。ナイドホグルの繁殖形態を知る、重要な手掛かりになる可能性があります。
腹部は外骨格由来の鎧に被われていますが、下腹部に1ヶ所だけ、鎧がない部位があります。鎧の端にうっすら影のようなものが見えますが、先代ナイドホグルの形態から、これは臍ではないと考えられています。ナイドホグルは原則、胎生ではないと考えられていますが、外園騎士ナイドホグルの繁殖形態ははっきりしていません。
外園騎士ナイドホグルの1対目の脚にあたる腕は、人間のものに構造がよく似ています。外骨格由来の装甲で被われ、上腕や肘に鋭い棘が見られます。また、指先は鋭い鉤爪になっています。
真の力を解放すると、腰の外骨格から、5対の脚状棘突起が飛び出します。これは先代の脚の名残だと思われますが、これと言った機能は確認されていません。推定可動範囲は非常に狭く、ほとんど飾りとしての機能しか持っていないものと思われます。
腰は外骨格由来の鎧に被われ、排泄孔(※1)の構造は不明です。生殖器は確認できていません。そのため、前述の通り外園騎士ナイドホグルの性別は現在不明です(※2)。何かこの部位についてご存知の方がいましたら、ぜひお教えください。
外園騎士ナイドホグルの2対目の脚の鎧は、大腿部では退化的です。膝から下腿部の外骨格には、上腕や肘同様鋭い棘が見られます。
脚の形態は人間のそれに似ており、下腿部より先の構造は四足動物特有の構造をしています。
足先の構造は、ハイヒールを履いているかのような形態をしています。人間で言う踵からはヒール状の蹴爪(※3)が伸びており、爪先とこの蹴爪で体を支えています。蹴爪の根元に鋭い棘が見られます。
足の指は一本だと思われます。足の爪は靴の先端のように先端が鈍く、カンガルーやチーターの爪、もしくは蹄に似ています。速く長時間走るための適応と見られます。
足がザリガニの歩脚のようなハサミである可能性もありますが、指に対して蹴爪が細すぎること、指の幅が左右に広すぎること、指の途中に最低一つの関節が見られることから、足首より先の構造は、四足動物特有の構造に酷似すると考えられます。
(※1)排泄孔:肛門、排尿孔、生殖孔の総称。ムカデには生殖孔がなく、尾部内部に生殖器が内蔵されている。
(※2)外園騎士ナイドホグルの性別は現在不明:ただし一部サイトでは「雌」とされている。しかしこれらに劇中描写に由来する明確な根拠は一切なく、ただ本作のゲーム性にのみ由来する、いわば「メタ読み」の範疇に留まっている。
(※3)蹴爪:四足動物に見られる、手首や足首から生えた棘突起。踵の骨や退化した足指であることがほとんどで、外園騎士ナイドホグルのような巨大な蹴爪はほとんど知られていない。
・尾部
尾部は、人間で言う尻から延びています。これは外園騎士ナイドホグルの体幹が、背中を通じていることを示しています。
尾部の形態はムカデの体に似ており、21~29対の脚が確認できます。これらの脚は退化して、棘突起に変化しています。
尾部先端には剣状棘突起が確認できます。これは曳航肢が変化したものと思われます。威嚇のみならず、実際に攻撃力があるかもしれませんが、今のところそのような描写はありません。攻略サイトによると前述の通り、守護神蟲態になると曳航肢の形態が変化するようです。
能力(ナイドホグル(2代目))
外園騎士ナイドホグルの能力は、先代のナイドホグルと比較してかなり多彩です。先代では未確認の能力も見られます。一方、先代では確認できていた能力を使用していないこともあり、想定されていない未確認の能力がある可能性は否定できません。今後、新たな能力が発見される可能性もあります。
・武器:炎熱と宵闇の蛇腹剣
自身の尾部を元にした、鞭状の武器です。通常は青く光っていますが、真の力を解放すると赤く光ります。数百メートルまで伸ばすことができ、大地を抉ることも可能です。
・熱波放出能力
ナイドホグルの体温は非常に高いですが、外園騎士ナイドホグルは、その体温を攻撃に転用しました。バーニングゴジラ(※1)の大技「熱線体内放射」に非常によく似た能力で、怒りや覚悟などの激情のままに灼熱の衝撃波を解き放ち、半径数キロの気温を急上昇させる危険な技です。その威力は足元の草木を自然発火(※2)させ、大地を焦がし、周囲の存在を無差別に炙り焼きにします。一度熱波を放つと、感情が収まるまで熱波を放ち続けるため、周囲の気温は時間とともに上昇し続けます。
公式設定によればその熱波は、最高で実に数千ケルビン(※3)という超高温に達し、セラミックスや金属でも容赦なく融かし、大地をマグマの海に変えてしまいます。(※4)
理論上は初代のナイドホグルも使用可能と思われますが、現時点では不明です。
(※1)バーニングゴジラ:映画「ゴジラVSデストロイア」にて登場した、怪獣王ゴジラの最終形態。体内の放射性重金属が臨界状態となり、体が融けて核爆発寸前の危険な状態になっていた。
(※2)自然発火:何らかの形で引火することなく、物質の燃焼が自動的に始まる現象。自然発火が始まる温度を発火点と言い、木材や木炭なら250℃~300℃、米やコーヒー豆でも400℃~450℃である。
(※3)ケルビン:絶対温度。セルシウス温度を元に、量子物理学に基づき決定された温度の単位。0ケルビン(·=.-273℃)は絶対零度と呼ばれ、全ての原子は運動を停止する。数千ケルビンというと、低く見積もっても2000ケルビン以上、高く見積もると8000ケルビン以下ということになる。
(※4):最も融点の高い金属は、タングステンの3670ケルビン。炭素の昇華点が約3900ケルビンで、融点もしくは昇華点が全元素中最も高い。「数千ケルビン」の具体的な数値は不明だが、理論上外園騎士ナイドホグルは、タングステンですらも融かし、炭素をも昇華させられる可能性が示唆されている。
・黒煙放出能力(未確認)
攻略サイトによると、キャラクターストーリーにて存在が示唆された能力のようです。熱波とは逆に、ひどく落ち込むと同時に黒い霧のようなものを全身から放ち、局地的に夜のようにして気温まで下げるとされています。こちらも気が済むと放出を止めるようですが、黒煙はしばらく残り続けます。
初代のナイドホグルが復活した際、空が赤黒く染まった現象や、外園が常に暗く曇天なのと関係がある可能性がありますが、詳細は不明です。毒性などについてもわかっていませんが、公式設定によると目眩ましなどに転用するとされ、毒性はないものと考えられます。
外園騎士ナイドホグルは負の感情によって様々なものを放出するようですが、喜びや楽しみなどの正の感情で何を放出するのかは描写されていません。正の感情では特殊なものを放出しない可能性があります。また、熱波や黒煙を、感情に関係なく放出できる可能性も示唆されています。
・瞬間移動能力
この能力も、初代のナイドホグルでは未確認の能力です。現在、外園騎士ナイドホグルのみ使用が確認されており、外園からスプリングガーデンまで、一瞬で移動することができます。
世界花の瞬間移動能力に酷似しており、おそらくブロス同様他者への応用も可能と思われますが、現在までにその形での確かな描写はありません。ただし眷族を外園に移動させた際に使用している可能性はあります。
・言語能力
他の生命体の言語を理解し、使用する能力です。外園騎士ナイドホグルは現在、自身の眷族、ミズウォルム、覚醒竜センティ、世界花、そして人類との会話が確認されています。複数種類の言語を問題なく使用できるため、相当知能が高いものと思われます。
初代のナイドホグルでは未確定の能力でしたが、外園騎士ナイドホグルでは、人間の言い回しを使用するなどの高度な言語能力が確認されています。
・加護補強能力
先代のナイドホグルには見られなかった、外園騎士ナイドホグル固有と思われる能力です。外園騎士ナイドホグルは自らの権能を使用し、周囲の存在が持つ世界花の加護を、ある程度補強することができます。
世界花の加護は、花騎士の持つ魔力や戦闘能力を強化し、害虫化の呪毒を浄化する強力な力です。世界花以外でその加護を補強できるのは、現状外園騎士ナイドホグルただ一体のみです。
・空中浮遊能力
この能力も、先代が持っていない、外園騎士ナイドホグル固有と考えられる能力です。劇中描写はありませんが、戦闘画面では上空高く飛び上がってから火球を発射しており、守護神蟲態になると常に空中に浮いています(※)。
浮遊方法はわかっていませんが、運動エネルギーによる飛行能力ではないようです。
(※):公式設定によると、怪人態でもわずかに浮遊しているらしい。
・火炎放射能力(守護神蟲態のみ)、火球発射能力
ナイドホグルのメインウェポン、火炎状光線と隕石様の火球です。火球は両方の形態で確認されていますが、上空高く飛び上がって放つため、正確な発射方法はわかっていません。一方火炎は守護神蟲態のみ使用歴があり、口から発射しています。怪人態での火炎放射能力については不明です。
威力は火球の方が高く、とどめとして使用することもあります。どちらも、まだ劇中での使用描写はありませんが、戦闘では使用してきます。
熱波の詳細がはっきりしたため、これらの温度も推測できるようになりました。現在、これらの火炎や火球は、太陽フレアに匹敵する、約1000万ケルビン(※)に達する可能性もあります。まともに食らえば、即死どころでは済まされないでしょう。
(※):火球の方がより高温とも推測されるが、詳細は不明。火球の方が高威力なのは、火球には質量があるからという可能性もある。
・眷族生成能力(未確定)、眷族維持能力
外園騎士ナイドホグルも、眷族を運用することができます。ただしそれは、先代のナイドホグルが生み出した眷族ばかりであり、現在確認されているナイドホグルの眷族は、全て害虫です。
後述しますが、仮に「千の足の方舟計画」以降新たに生まれた眷族がいた場合、それは益虫の眷族であると考えられるため、益虫の眷族がいない以上、外園騎士ナイドホグルが新たな眷族を生み出したと考えられる例は一件も確認されていません。
そのため、今までと変わらぬ忠誠を誓い続ける、先代からの眷族を運用することは可能ですが、外園騎士ナイドホグル自身は新たな眷族を生み出せない可能性があります。本件の情報は決定的に不足しているため、今後大幅に更新される可能性があります。
・異空間生成能力(未確認)、異空間維持能力
外園は、守護神蟲自らが解除でもしない限り、守護神蟲が存在する限り永遠に存在し続けると考えられています。そのための能力は、守護神蟲の分身体などにも受け継がれていると考えられ、当然外園騎士ナイドホグルにも同じ能力があると考えられています。
ただし、外園以外で守護神蟲が生み出した異常空間が確認されていないため、外園騎士ナイドホグルに、新たな異常空間の生成能力があるかどうかは不明です。
なお、異常空間を発生させられる存在は、守護神蟲(外園)、世界花(根源の世界)、覚醒竜センティ(封印の空間)以外では賢人エダ(禁書空間)のみが確認されています。
・認識改変能力(未確定)
先代のナイドホグルが保有していた認識改変能力については、外園騎士ナイドホグルでは現在確認されていません。意図的に使用していないだけなのか、それとも本当に持っていないのかは不明です。
・分身体生成能力(未確定)、生殖能力(未確定)
今のところ、外園騎士ナイドホグルには、新たな分身体を生成する能力は確認されていません。外園騎士ナイドホグル自体が他の分身体とは大幅に異なる形態をしているため、この能力の有無は不明です。
また、その形態から、脊椎動物同様の交尾による有性生殖の能力を有している可能性もありますが、定かではありません。
その他の個体
その姿が直接確認されているわけではありませんが、実はナイドホグルの分身体は他にもいることが示唆されています。しかし、外園騎士ナイドホグルとは異なり、それらはムカデの怪獣の姿しか持たないと見られています。
また、エイプリルフールなどの特殊なイベント限定の害虫として、「ナイドホグル団長」と呼称されている個体が知られていますが、ナイドホグル団長は実在の害虫ではなく、初代のナイドホグルを元にした想像上の害虫として扱われているようです。関連イベントは全て「夢の中の話」として扱われています。
2.ナイドホグルの正体
ここまで、ナイドホグルの詳細を見てきました。特に能力面でお気づきの方もいるかとは思いますが、ナイドホグルには、加護の補強、時空への干渉など、世界花に似た、およそ既知の生命体らしからぬ人智を超えた特殊能力が複数見られます。
さて、それでは、ナイドホグルの正体とは、何なのでしょうか?
ナイドホグルの正体については、今なお多くの謎が残されています。しかし、比較的最近の描写から、いくつかナイドホグルの正体に迫る驚くべき情報が集まって来ました。
ナイドホグルの正体は、世界花や覚醒竜センティと同じ、高次元の生命体です。この存在を表現する一番簡潔な単語は、「神」です。
ここで言う「神」とは、人智を超えた超常的な存在、あるいは、世界の理の具現化である、と考えてよいと思います。
それでは、ナイドホグルは、何を司る神なのでしょうか。
一つ目は、世界花同様スプリングガーデンの地主神であり、スプリングガーデンの大地の守護神だとされています。それは同時に、ウィンターローズの地主神としての側面も併せ持っているものと思われます。
二つ目には、火山神だと思われます。ナイドホグルが封印されたウィンターローズと、復活の直前、初めてナイドホグルの眷族が姿を現したブロッサムヒルの国境付近には、スプリングガーデン唯一の火山(※1)がそびえています。また、ナイドホグルはかねてより、「炎熱と宵闇の化身」と呼ばれていました。溶岩のような血液を含めて考えると、ナイドホグルが火山神として扱われるのは、自然なことだと思われます。
三つ目は、災害神だと思われます。火山は時に、噴火によって大きな災害をもたらしますが、ナイドホグルもまた、災害のような存在です。ナイドホグルの呼称にある「宵闇」とは、火山灰や火山ガスが空を覆い尽くす「火山の冬」と呼ばれる現象を指しているものと思われ、前述のようにそれを示唆する能力も存在が示唆されています。
このうち、スプリングガーデンの地主神としての側面は、根源の世界花アルカとの契約によるもの、火山神としての側面は根源の世界花の加護に由来するものと思われます。災害神としての側面は、火山神としての側面のおまけとして付随したものと思われます。
一方、根源の世界花との契約や加護とは関係なく、ごく最近になって外園騎士ナイドホグルが申し出てきた、新たな側面があります。
それは、花騎士の守護神としての側面です。
従来、守護神蟲は、花騎士も害虫も積極的に守ることはなく、世界花すらも守っているのかどうか怪しい側面がありましたが、ここに来て始めて、精霊、フォス、世界花らが考えていたような、「スプリングガーデンの生命にとっての守護神」としての側面を持ったことになります。
ただし、この事象の際、同時に別の要件も進行しており、その事象がこの後、劇中、ユーザー間ともに、大きな問題の火種となりました。
(※1)スプリングガーデン唯一の火山:ワールドマップなどでは「霊峰」と呼ばれている独立峰。現在、スプリングガーデンに存在する火山はこの山だけであり、火山活動は見られないものの、付近から多数の温泉が発見されている。一方、温泉はベルガモットバレーからも発見されており、かつてはベルガモットバレーに別の火山があった可能性がある。
(※2)産土神:「うぶの神」と読む。その土地に生まれた者の守護神。世界花にも近い要素が見られるが、世界花の場合は花騎士の子孫にも花騎士になる者が多く、シギラリアなど代々花騎士の加護を受けやすい家系もあることから、どちらかというと氏神としての側面もある。一方、外園騎士ナイドホグルには、今のところ氏神の要素は見られない。
ナイドホグルの真名と本来の姿
前述の通り、ナイドホグルには、別の名前があったようです。本稿ではこの名前を「ナイドホグルの真名」と呼称します。
実は、「ナイドホグル」という名前は、根源の世界花アルカとの契約の際、世界花の加護とともにアルカによって与えられた名前であることが、外園騎士ナイドホグルの回想から判明しました。その際ナイドホグルは、我々のよく知る怪獣の姿になったとされています。
では、本来ナイドホグルは、どのような姿で、何という名前だったのでしょうか?
現在、これらはナイドホグルに関する大きな謎の一つとして扱われています。
まずは、ナイドホグルの真名ですが、これは日本語カナ8文字であること以外、何もわかっていません。現在、様々な説が囁かれているようですが、いずれも決定打に欠けます。またそれ以上に、ナイドホグルはかつての名前である真名を名乗ったことがないため、そもそも契約の際に真名を捨てている可能性も否定できません。
同様に、ナイドホグルの本来の姿も、現在全くわかっていません。というより、そもそも根源の世界花と契約したナイドホグルと、先代のナイドホグルが同一個体であるという証拠は、どこにもありません。
4部4章ラストや、サイドストーリー「氷霜のリトルソーン」には、ナイドホグル平原の様子が何度か描写されていますが、ナイドホグルの脚が数本、並んで埋まっている様子が確認できます。このことからこの下にはあのナイドホグルが埋まっていると考えられ、外園騎士ナイドホグルが、従来確認されていたナイドホグルとは別個体であるという、明確な論拠となっています。
後に外園騎士ナイドホグル自身が語ったように、ナイドホグルとその分身体は「同一にして異質の存在」、すなわち分身体とは無性生殖個体であると考えることができます。さらに前述の通り、外園騎士ナイドホグルには、先代のナイドホグルの記憶が引き継がれています。
同じことが、先代のナイドホグルにも言えるかもしれません。便宜的に本稿では、先代のナイドホグルを「初代」、外園騎士ナイドホグルを「2代目」として扱っていますが、アグレッサとスプリングガーデンの戦争が勃発した1000年前よりも前、まだ記録が残っていなかった時代に、今回のような代替わりが起きていた可能性は否定できません。
シギラリアと賢人ダインを例に考えましょう。1000年前に生きていた賢人ダインは男だったようですが、シギラリアは女です。性別も、生きていた時代も違います。シギラリアの何代前がダインだったかもわかっていませんが、ダインの遺伝子を受け継いでいる限り、ある意味シギラリアとダインには、同一存在としての側面があります。
そのダインは、遥か何代も未来の子々孫々に至るまで、自らの最期の記憶を「夢」として遺し続けていました。そこにははっきりと、アグレッサとダインの最期の会話の様子が記されていました。
いかに超人とはいえ、ダインは人間だったはずです。そのダインは、血脈を使って、未来の子々孫々に記憶を共有することができていました。
ダインができたことを、スプリングガーデンにとって超常的な存在であるナイドホグルができないはずがありません。実際に外園騎士ナイドホグルは、先代のナイドホグルの記憶を、自らの記憶として詳細に持ち続けています。さらに前の代のナイドホグルが同じことをしていたとしても、不思議ではありません。
原初のナイドホグルの本来の姿は、おそらく外園騎士ナイドホグルと、根源の世界花しか知りません。敢えてそれを話題にしない以上、外園騎士ナイドホグルにとって、原初のナイドホグルの元の姿は、言う必要のないことなのかもしれません。
それは同時に、先代のナイドホグルや外園騎士ナイドホグルには、原初のナイドホグルの姿に変身する能力がない可能性を示しています。ダインやフォスが憑依したからといって、シギラリアやナズナが彼らの姿になれないように、外園騎士ナイドホグルは、原初のナイドホグルの姿にはなれない可能性があります。
3.ナイドホグルの生態
ここからは少し寄り道して、ナイドホグルのプライベートなどについて触れていきます。
初代のナイドホグルと、外園騎士ナイドホグルは、形態が大幅に異なりますが、生態についてはある程度共通項があると思われます。しかし、その詳細はいまだ不明点が多く、謎に包まれています。
食性
ナイドホグルの食性は、はっきりとはわかっていません。ムカデは本来肉食動物ですが、ナイドホグルが何かを捕食する様子は確認されておらず、外園騎士ナイドホグルも、劇中ではこれまで何かを食べている様子は描写されたことがありません。
ただし、攻略サイトによると、外園騎士ナイドホグルは自作チョコレートの味見をしたことがあるようです。また一度だけですが、セントポーリアが外園騎士ナイドホグルをお茶会に招待しようとしたことがあります。この他、一部ブログには、SDの外園騎士ナイドホグルがあんぱん(あるいはドーナツ?)のようなものを食べている旨の記述も見られました。以上から、外園騎士ナイドホグルは、人間に近い雑食である可能性があります。
成長
攻略サイトによると、外園騎士ナイドホグルは脱皮をするようです。ただし外園騎士ナイドホグルには、前述の通り脊椎動物のものに近い内骨格系の存在が示唆されています。そこから外園騎士ナイドホグルの脱皮は、節足動物の脱皮(※1)のようなものとは異なり、爬虫類の脱皮(※2)に近いものと思われます。
先代のナイドホグルは、復活の際かなりの傷を負っており、最終的に全身の損傷が再生することなく力尽きたため、脱皮をするのかどうかは不明です。
(※1)節足動物の脱皮:節足動物は、成長のために脱皮をする。それまでの外骨格を全て脱ぎ捨て、新しい外骨格を形成する。そのため、一定期間ごとに定期的に脱皮をする。欠損した部位は脱皮の過程で再生する。一方、一度脱皮すると、しばらくは体が軟らかく動きも緩慢になるため、その時間は大きな弱点となる。
(※2)爬虫類の脱皮:脊椎動物は、組織代謝の過程で不要になった表皮外側を捨てるために脱皮をする。そのため不定期に脱皮し、脱皮頻度も定まっていない。哺乳類の垢は爬虫類の脱皮殻に相当する。
生殖
ナイドホグルは無性生殖(※1)によって、眷族や記憶を共有する分身体を生み出します。外園騎士ナイドホグルはいきなり現在の姿で現れたらしく、卵生ではない可能性がありますが、どのように生まれたのかはわかっていません。
ムカデは原則、無性生殖をしません。これもナイドホグルとの違いと言えます。
外園騎士ナイドホグルの性別は、前述の通りわかっていません。外園騎士ナイドホグルが、ナイドホグルの中でも特異な存在であること、外見上の形態が脊椎動物に酷似している一方、節足動物に似た守護神蟲態を持つこと、そもそも生殖器の形態が不明なことなどが理由です。
ムカデは有性生殖をする時、雄は生殖器から精包という精液のカプセルを出し、雌に渡します。ナイドホグルが有性生殖をする場合、同じように生殖する可能性がありますが、外園騎士ナイドホグルの外見は、どちらかというと交尾による生殖を前提としているようにも見えます(※2)。
(※1)無性生殖:他個体の細胞を使うことなく行う生殖方法。生殖細胞が単独で自動発生を始める単為生殖は広義の無性生殖に含まれる。一方、親の体の一部から新しい個体を生み出すこともできる。ナイドホグルの場合、眷族が無性生殖によって生まれている。
(※2)交尾による生殖を前提としているようにも見える:四足動物の有性生殖は、原則として雄の生殖器を雌の体内に入れて行う交尾によって行われる。ただしこれは、外園騎士ナイドホグルが雌だった場合の話であり、雄、もしくは無性別の可能性は否定できない。
性格
先代のナイドホグルの性格は不明です。人間の言葉を使う描写がなく、対話の可能性を示す描写も見られなかったからです。
一方、外園騎士ナイドホグルに関しては、ある程度性格が判明しています。
通常、外園騎士ナイドホグルの性格は暗く、物静かで、口数も少ないです。一見すると、無感情にすら感じるほどです。
しかし実際はむしろ非常に感情的で、簡単に感情を剥き出しにします。さらに感情の起伏とともに、激昂すれば熱波を、落ち込めば黒煙を放出するため、一度感情を顕にすれば、第三者が制御することはほぼ不可能です。
外園騎士ナイドホグルが激情を顕にした際、世界花であるブロスは偵察部隊の緊急離脱を決断して全ての権能を総動員し、同じく世界花であるウィンですら一撃で敗北しています。世界花でも止めようがない状態になるため、感情を顕にした外園騎士ナイドホグルに近づくことは極めて危険です。
見た目からは想像できないほど感情的な上に、感情を顕にすれば災害をもたらし得るという危険性を備えています。これを「かわいい」と思える特殊な御方々にはちょうど良いのかもしれませんが、外園騎士ナイドホグルの望み通りに、外園騎士ナイドホグルを実体を持つ花騎士の守護神として随伴させるには、少々気がかりな特徴でもあります。これに関しては後述します。
ただしごく最近、外園騎士ナイドホグルが、自発的に感情を制御しようと試みている可能性が示唆されています。今後の展開次第では、この問題が解消されるかもしれません。
他にも外園騎士ナイドホグルには、ウィンに対する反応などから、「かわいいもの好き」である可能性が示唆されています。そしてその性格を限界まで突き詰めた先にあるとされているのが、過剰な過干渉です。この性格は、先代以前から受け継がれている可能性があります。
そしてこれは、外園のスプリングガーデン側にも、何者も近づけないシステムが組み込まれている理由、そして守護神蟲が情報統制までして、スプリングガーデン内の生命体に、スプリングガーデン外を考えられないようにしていたこととも関係してきます。これらは全て、スプリングガーデン内の生命体が、危険な外界に出ていかないようにするために行われていた行動だったようです。
ただし、これが他の守護神蟲にも当てはまるかは不明です。現在、ナイドホグル以外の守護神蟲が、情報統制に参加していた理由はわかっていません。
もはや情報統制を行う必要がなくなった現在、外園騎士ナイドホグルは過干渉な方針を変え、念願だったらしき花騎士との交流を謳歌しようとしているようですが、攻略サイトによると、世界花やセントポーリアらの意に反して、やはり外園騎士ナイドホグルを警戒する花騎士も少なくないようです。
目的
ナイドホグルがスプリングガーデンの守護神蟲となり、スプリングガーデンに外園という異常空間を生み出していた理由は、スプリングガーデンの土地を守るという、根源の世界花アルカとの契約によるものであることが、最近になって判明しました。しかし、守護神蟲がスプリングガーデン外に出ようとする存在を「脱走者」と呼び、外園に内側からも接触できないよう細工を施し、情報統制までして、頑なにスプリングガーデン内の存在を閉じ込めていた理由は、長らくわかっていませんでした。
しかし、外園騎士ナイドホグルのみ、その真意が明らかになりました。
ナイドホグルが、スプリングガーデン内の存在を閉じ込めていた理由は大きく2つ。1つは、前述の通り「スプリングガーデン内の存在に対する極端な過干渉精神」。そしてもう1つは、「スプリングガーデン内の存在に対する不信感」でした。
1つ目の理由である「スプリングガーデン内の存在に対する極端な過干渉」とは文字通り、どんな手を使ってでも、スプリングガーデン内の存在を外界に触れさせないようにしようという意図です。ナイドホグルは、根源の世界花と契約し、加護と引き換えにスプリングガーデンを守ることを約束したわけですが、いつからかその「守る」という内容に、「スプリングガーデン内の存在を、外界に行かせないようにする」というものが加わってしまっていたようです。
それだけ、アグレッサが攻めてきた時の外界が危険な世界だったのかもしれませんが、フォス、ウィン、ミズウォルム・シロ、そしてこの外園騎士ナイドホグルと、何度も触れられているにもかかわらず、当時の詳細についてはほとんどわかっていません。1000年以上前のことなので、「死にゆく世界」という言葉だけが独り歩きして、実際の記録はほとんど残っていないのかもしれません。
そしてもう1つの理由「スプリングガーデン内の存在に対する不信感」は、大きく2つに分かれるものと考えられます。一つは、「スプリングガーデン内に最後にやって来た外界人への不信感」、もう一つは、「外界の脅威に容易く敗北するスプリングガーデン内の生命体の弱さへの不信感」であるとみられています。
スプリングガーデン内に最後にやって来た外界人、と言えば、外園騎士ナイドホグルが始めて現れた際には、1000年前の七賢人、そしてそれとともにやって来たアグレッサのことを指します。後述しますがアグレッサは、長らくその正体も目的も偽り、七賢人についてスプリングガーデンへとやって来ました。そしてアグレッサは外界から害虫化の呪毒を持ち込み、生物兵器として運用した挙げ句、守護神蟲とその眷属を害虫化して、スプリングガーデンを滅ぼそうとしていました。そういう意味では、ナイドホグルはこの事件の被害者でもあります。一度そのようなことをされた以上、二度と外界人を信用できなくなったものと考えられます。
そして、アグレッサが持ち込んだ生物兵器によって容易く害虫化した益虫たち、そんな害虫に抵抗虚しく喰い殺されていく精霊や人間、それらを自らの眷属をもって見てきてしまったナイドホグルにとって、人間が外界に行くことなど到底考えられなかったのでしょう。
寿命
1000年の時を経てなお、ナイドホグルが花騎士を信用できなかった理由として、ナイドホグルと他の生物の時間の感覚の差異が考えられます。
ナイドホグルの寿命は不明ですが、一般的に知られるどんな生物よりも遥かに長いです。アグレッサが攻めてきた時から1000年、その長い時間すらも、ナイドホグルから見ればごく一時期に過ぎないようです。
この感覚はどちらかというと人類史の時間感覚ではなく、地質時代の時間感覚に近しいものです。人間の基準で「一時期」とは数ヶ月から数年、長くても10年もいかないでしょう。この基準で考えると、逆算してナイドホグルの寿命が推測できます。
ここから推測されるナイドホグルの寿命は、短く見積もっても10000年、長く見積ると数十万年以上にも及びます。もちろん、神に相当する生命体ですので、もっと長い可能性(※1)もあります。
もちろん、ナイドホグルの正確な単体寿命はわかっていません。これまでに、何回単為生殖で世代交代したか、詳しいことが何もわかっていないからです。しかし、同一遺伝子を有する生命体としては、実在する最も長寿とされる植物(※2)よりも長寿の可能性があります。
(※1):後にアグレッサによって、スプリングガーデンが約6500万年の歴史があること、白亜紀末大量絶滅後にスプリングガーデンができたことが語られたが、この話の真偽は不明。そもそもアグレッサは、何度も述べたように諸悪の根源に相当する黒幕であり、この話もでたらめの可能性は相応に高い。
(※2)実在する最も長寿とされる植物:諸説あるが、現在確実に最も長生きしているとされる植物は、ドイツトウヒの樹齢約9500~9600年。しかし地中海に生息するポシドニア・オセアニアという海草が、約10万年以上生きる可能性が示唆されている。
4.ナイドホグル(初代)と花騎士の戦い
さあ、本題に戻りましょう。ここからはいよいよ、ナイドホグルと花騎士たちの、これまでの戦いについてまとめていきます。
戦いが起きている時系列に沿って解説しますが、各々の戦いの詳細について、見落としや私の思い間違い等あるかもしれません。悪しからずご了承ください。
1000年前の戦い(本編開始以前)
現在までに確認されている最も古い戦いは、物語開始から遡ること約1000年。全ては、夫ウォダンの死を嘆き悲しむコダイバナ女王に、アグレッサが七賢人の一人のふりをして接触したことから始まります。
ウォダンは外界から来た七賢人の一人で、自ら国王になることで国を発展させ、世界花の力を増そうと考えていたようです。ウォダンと同じ外界人、それも七賢人とともに現れたアグレッサを、コダイバナ女王は側近に迎え入れ、国政に加えました。
アグレッサはこれ幸いとばかりに、コダイバナ女王に外界との接続の儀式をさせると、コダイバナ首都郊外にあるクレーターの中に異空間ゲートをこじ開け、密かに集めていた「害虫化の呪毒」という不定形生命体をコダイバナに解き放ちました。
その後アグレッサはコダイバナ女王を謀殺し、クーデターを起こしてコダイバナを乗っ取ると、残りの七賢人を片っ端から暗殺するためにスプリングガーデンを旅しました。
害虫化の呪毒は、やがて守護神蟲を蝕みはじめました。その詳細は不明ですが、ナイドホグルとフラスベルグが殺し合うようになったのは、この頃からではないかと言われています。
その後も途方も無い戦いが続く中、一人の男が世界花に語りかけ、巫女たちにその加護を降ろす術を編み出し、アグレッサを倒すために立ち上がりました。この人物はコダイバナ王子で、死んだウォダンの息子でした。彼は世界花の加護を使うことで、害虫に立ち向かう戦力を生み出し、いつしか「勇者」と呼ばれるようになりました。彼の本名はわかっていません。
守護神蟲が本来害虫ではなかったことを知る「勇者」は、殺し合うナイドホグルとフラスベルグの戦いに割り込むと、自らの権能「極陽の力」による光線「太陽の剣」によって、ナイドホグルとフラスベルグを力尽きさせ、これを封印しました。
「勇者」はその後、フォスと結婚したようで、子どもももうけたようです。その誰かが、現在の団長の遠い遠い祖先だとされていますが、それが誰だったのか、「勇者」が何人子どもをもうけたかはわかっていません。また、フォスの子どもの中には、現在のナズナの遠い遠い祖先もいたようですが、それが誰だったのか、「勇者」との子どもだったのかなど、詳しいことは一切わかっていません。
アグレッサと「勇者」の戦い、そしてアグレッサ自身については、後日詳しく語りたいと思います。
ナイドホグル再封印戦(メインストーリー1部29章〜終章)
それから、1000年の時が流れた現代。ついに守護神蟲にかけられた封印が綻び始め、守護神蟲の眷属が目覚め始めました。その中で、真っ先に動きが見られたのが、ナイドホグルでした。
メインストーリー1部30章、ブロッサムヒルとウインターローズの国境近くに、突如ナイドホグルの眷属が現れ始めました(追記:ナイドホグルの眷属自体は、29章で初めて確認された。この時はまだフヴァの氷結湖付近の無人地帯にのみ知られており、しかも出現から日が浅かったために、その正体はわかっていなかった)。それまで一度も姿を現さず、もはや言い伝えの中の怪獣となり、存在そのものが疑問視されつつあったナイドホグルが復活しかけていることが判明し、スプリングガーデンは大きな混乱に陥りました(同38章)。
それまで知られていた、スプリングガーデン最大の生命体は、今は亡き監獄島のマザーでしたが、ナイドホグルはそれを大きく上回る巨体を誇るため、直ちにスプリングガーデン中の花騎士がかき集められました。流石に現実離れした事件のため、中にはマロニエやパフィオペディラムのように、変なテンションのまま戦いに参加した花騎士もいたようですが。
その後、かつて行われた封印の構造と方法が判明し、蘇りつつあるナイドホグルを再封印するための戦いが始まりました。以降この戦いを「ナイドホグル再封印戦」と呼称します。
ナイドホグルを再封印するためには、ウィンターローズの国土の半分に及ぶ、超巨大な封印の陣形を敷く必要があります。長径は監獄島の10倍以上にも及びますが、これでもナイドホグルはとぐろを巻いている状態です。ナイドホグルが目を覚ませば、ウィンターローズはもちろん、リリィウッドやブロッサムヒル、ベルガモットバレーにまで直接的被害が及ぶことになります。状況は一刻を争っていました。
スプリングガーデン各国は花騎士を総動員し、古来からウィンターローズに伝わる封印の秘石「シャインクリスタル」の楔を、ナイドホグル平原の全域に打ち込みました。そして、楔の魔力同士を繋ぎ合わせ、超巨大な封印の陣形を構築していきました。
しかし、元あった封印を補修し、再封印しようとした直前、封印の魔力の衝撃により、ついにナイドホグルが目を覚ましてしまいました(同47章)。既に封印が起動し、不完全復活だったとはいえ、このまま封印が破られることがあれば、スプリングガーデンは一巻の終わりです。
悩んだワレモコウは、最終手段として、ナイドホグルの体内で直接封印を起動するという、危険な作戦に打って出ることを決断しました。アブラナ率いる特別攻撃部隊は、残りのシャインクリスタルをクジラ艇に搭載すると、ナイドホグルの口腔内めがけて特攻しました。
ナイドホグルの体内は、まるで溶岩が流れる溶岩洞のような世界でした。気温が高く、酸素が少ない、人間にとって厳しい環境であるこの場所で、ワレモコウが計画したのが、ナイドホグルの「核」と呼ばれる器官を全て封印する作戦です。
この「核」が何であるかは、はっきりとはわかっていませんが、脳もしくは神経節ではないかと考えられています。少なくとも、これがナイドホグルの急所であり、全て封印されれば、ナイドホグルといえども復活はできないものと見られていました。
クジラ艇による急襲とヒットアンドアウェイ戦法により、眷属害虫の攻撃を掻い潜り、ついに全ての「核」にシャインクリスタルを打ち込むことに成功した特別攻撃部隊は、最後にクジラ艇の主砲「ホエイルカノン」を最大出力で放ち、ナイドホグル体内の封印を起動しました。
封印が完成し、力尽きてウィンターローズ地下へと沈みゆくナイドホグル。その口腔から脱出したクジラ艇から、最後のとどめとして、団長の「太陽の剣」が放たれ、ナイドホグルは抵抗する力もなく、地底へと崩れ落ちていきました。
ナイドホグル益虫化計画(メインストーリー2部8章〜3部4章)
ナイドホグルを討伐、封印し、その後ミズウォルムとの全面戦争を繰り広げていたスプリングガーデンですが、根源の世界花を支配しようとしたミズウォルムとの戦いに難色を示す精霊が現れ、その際「守護神蟲」という言葉と、「害虫化してなおスプリングガーデンの何かに関わっている」という言い伝えの存在が明かされました。しかし花騎士たちは、眼の前で起きている事態こそスプリングガーデンの危機であると精霊を説き伏せ、花騎士たちは根源の世界花をミズウォルムから奪い返すべく、地下深く、根源の世界へと進撃しました。以降この戦いを「根源の世界花争奪戦」と呼称します。
根源の世界花争奪戦に勝利した花騎士たちですが、ミズウォルムを根絶やしにすることを拒絶された以上、ミズウォルムに完全に勝利したわけではありませんでした。
そしてその中で、花騎士たちを更に震撼させる、真っ白な体色の新種のミズウォルムが発見されました。
後に「ミズウォルム・シロ」と命名される、ミズウォルムの突然変異益虫化個体です(2部7章)。
従来、一度害虫化してしまった存在を、益虫に変化させることは不可能でした。しかしミズウォルム・シロは、再生する過程で「太陽の剣」の光に適応する突然変異を起こし、なんと元々体内に持っていた害虫化の呪毒を排泄して、益虫へと変異してしまったと考えられています。
益虫化した以上、前述の花騎士の定義に当てはめるならば、花騎士はミズウォルム・シロとは戦えません。しかもミズウォルムは、ミズウォルム・シロを含む全ての個体が記憶を共有するため、当然花騎士のこの定義についても知っています。ミズウォルム・シロが花騎士たちを襲わなかったことは、不幸中の幸いと言って過言ではないでしょう。
さらに、ミズウォルム・シロは益虫化する過程で、元あった洗脳能力に加えて、新たな能力まで手に入れていました。数種類の光の衝撃波を放ち、他の存在が持つ害虫化の呪毒を浄化する能力です。この能力で、他のミズウォルムをミズウォルム・シロへと変異させ、さらに他の害虫を操り沈静化することもできています。
そして、その力を調べたウルシとカラタチは、とんでもないことを思いつきます。それは、あのナイドホグルをミズウォルム・シロの力で手駒にするという、一つ間違えばスプリングガーデンを一瞬で灰にしてしまう極めて危険な計画でした。
通常であれば、このようないかれた計画が通ることはなかったでしょう。しかしこの時、コダイバナ奥地にフラスベルグが現れ、何かを捜してコダイバナ首都跡地上空に陣取っていました。
今フラスベルグと直接戦えるのは、ナイドホグルしかいない。そう結論付けられた結果、ナイドホグルを益虫化してスプリングガーデンの最終兵器にする、禁断の計画が始動しました。以降この計画を「ナイドホグル益虫化計画」と呼称します(3部4章)。
計画が決定すると、直ちにウィンターローズに連絡が飛び(※)、同時にミズウォルム研究所からミズウォルム・シロが搬出されました。ウィンターローズ政府は計画のため、ウィンターローズ西部の広範囲を避難指示区域に指定、カイコウズを派遣し、カラタチ率いるミズウォルム・シロ搬送部隊と合流させました。
(※)ウィンターローズへの連絡:ただし、この連絡の様子は一切描写されておらず、どのように連絡したのかは不明。しかし少なくとも、ウィンターローズ政府には、何らかの方法でこの計画の連絡を行っていたことは判明している。
精霊の協力により、ナイドホグル体内に突入した益虫化計画部隊は、ナイドホグルの最も強力な封印がかけられた急所、「核」にミズウォルム・シロの光の衝撃波を浴びせることで、ナイドホグルを確実に益虫化することを決定しました。
ナイドホグルの「核」に辿り着いた益虫化計画部隊は、ミズウォルム・シロの発光に反応して集まってきた眷属害虫軍団を相手に、ミズウォルム・シロを守る態勢で輪形陣を敷き、眷属害虫を迎え撃ちました。
戦いの末、ミズウォルム・シロは一際強い衝撃波を放つと、凄まじい勢いで眷属害虫軍団を蹴散らし、ナイドホグルの体内を吹き飛ばしました。
再び沈下と崩落が始まったナイドホグル体内から、精霊の協力で脱出した益虫化計画部隊とミズウォルム・シロでしたが、衝撃波を生き延びた眷属害虫の1体が後を追って現れました。しかしそれは、幸いにも花騎士を追撃するための追手ではありませんでした。
眷属害虫はミズウォルム・シロと戯れると、精霊とミズウォルム・シロに対して謝辞を伝えました。それは、たった今まで究極の脅威だったナイドホグルが、そしてその眷属害虫が、史上初めて、花騎士とともに戦うことを決意した瞬間でした。
こうして、荒唐無稽にも思われた禁断の作戦、ナイドホグルをクジラ艇空母にして、花騎士とナイドホグル軍が共闘してフラスベルグ軍と戦うという、前代未聞の奇想天外な計画が、実行に移されることとなりました。以降、このナイドホグルと花騎士の共闘計画を「千の足の方舟計画」、そのためにナイドホグルをクジラ艇空母にする作戦を「千の足の方舟作戦」と呼称します。
なお、これ以降新たな眷属は発生していません。また、眷属が益虫になることはついにありませんでした。よってこれ以降ナイドホグルは益虫、その手下である眷属は害虫、という組み合わせになります。
千の足の方舟計画(メインストーリー3部4章〜終章)
今ここに、花騎士、害虫、守護神蟲が、互いの立場や理念を超えて共闘する、最初で最後の戦いが幕を開けました。目的はただ一つ、フラスベルグを撃破することのみ。ただその唯一の目的のために、これまでのあらゆる怒りや怨みや因縁全てを横に置いておき、呉越同舟の戦いを繰り広げることとなります(3部5章)。
フラスベルグは、かつて全力のナイドホグルとほぼ互角に渡り合ったという極めて強大な怪獣です。常に空高く飛び、遠距離攻撃を得意とするフラスベルグを倒すためには、クジラ艇だけでも、ナイドホグルだけでも足りません。
ナイドホグル口腔内に格納されたクジラ艇には、フラスベルグ特別攻撃部隊が編成されていましたが、なぜかラベンダーが密航してきていました。ナイドホグルの左右を花騎士団や各国軍からなる地上部隊が固め、フラスベルグに味方するミズウォルムや古代害虫らを片っ端から迎撃して進撃します。
計画では、ナイドホグルがフラスベルグに接近し、接敵する寸前でクジラ艇を離陸し、ナイドホグルとフラスベルグが戦っている間、クジラ艇でフラスベルグの翅と装甲を破壊し、最後は「太陽の剣」でフラスベルグを滅ぼし、これを完全に討伐、もしくは封印するというものでした。
フラスベルグはこれに抵抗し、「天雷の使徒」という眷属害虫型の誘導光弾を無数に放って来ました。それらは一つ一つが眷属害虫のように振る舞いながら、フラスベルグの必殺光線「天雷」を誘導し、天雷の直撃とともに大爆発を起こすという危険なものでした。
多くの部隊が「天雷の使徒」の犠牲となる中、特別攻撃部隊はナイドホグルの眷属害虫や精霊の力を借り、ナイドホグルの背中を駆け巡り対空戦闘を繰り広げました。
そしてついにナイドホグルが、フラスベルグに接近し、クジラ艇とナイドホグルがフラスベルグを挟み撃ちにしました。既に満身創痍のナイドホグルは最後の力を振り絞り、遥かな因縁の決着を付けようとしていました。
クジラ艇もまた、巨大な魔法陣を展開し、クジラ艇本体と花騎士、両方の攻撃をもって、フラスベルグの翅を破壊して回りました(3部終章)。
千の足の方舟作戦によって、見事にフラスベルグに最大戦力を叩き込んだ花騎士―ナイドホグル連合軍は、フラスベルグの翅を全て破壊し、大地に引きずり落としました。最後は計画通り、最大出力の「太陽の剣」が放たれ、フラスベルグは丸焼きにされました。
しかし、まだ戦いは終わっていませんでした。
コダイバナ最終決戦(メインストーリー3部終章)
果たして、一体誰が、このような展開を予想できたでしょうか。
フラスベルグがコダイバナで捜していたもの、それは約1000年前に息絶え、害虫化の呪毒と一体化して、呪毒の源泉となっていた、アグレッサの怨霊だったのです。そのアグレッサの怨霊が突然目覚め、猛烈な闇をもって、フラスベルグ、ナイドホグル、ミズウォルムを片っ端から飲み込み、復活してしまいました。
何が何やらわからないまま不時着したクジラ艇でしたが、突然ナズナにフォスが憑依し、過去の真実、すなわち、前述の1000年前の戦いについて語り始めました。
そして、アグレッサがこのまま守護神蟲を皆殺しにすれば、スプリングガーデンの存亡に関わると力説するフォスとともに、今度こそ本当にアグレッサに引導を渡すべく、特別攻撃部隊の最後の戦いが始まりました(3部終章)。
フォスはその力でナイドホグルとミズウォルムを救出し、ついにはフラスベルグをも救出して、元々封印されていた場所に送還しました。すなわち、ナイドホグルはウィンターローズの地底へ、ミズウォルムとミズウォルム・シロはリリィウッドの外郭の地下へ、フラスベルグはベルガモットバレーの峡谷の底へと、それぞれ送還され、そのまま力尽きました。
これを最後に、初代ナイドホグルは屍の如く眠りにつき、その後の調査でも全く動く様子はありませんでした。最終的に大地へと還りつつあります。
ナイドホグル、ミズウォルム、フラスベルグの力を失ったアグレッサの怨霊は、守護神蟲を追って源泉の根源までやって来た特別攻撃部隊に、最後の力を使って襲いかかって来ました。
フォスはアグレッサを確実に消し去るべく、残る全ての力を世界花の加護に変え、1000年越しの最終決戦に臨みました。
アグレッサとフォスの最後の戦い、ミズウォルム、フラスベルグ、フォスについては、後日詳しく語りたいと思います。
5.ナイドホグル(2代目)と花騎士の戦い
ナイドホグルが力尽き、フォスの力でウィンターローズ地底へと送還され、これを最後にナイドホグルとの戦いが終わった、誰もがそう考えていました。実際、初代ナイドホグルはそのまま朽ち、大地へと還りつつありますが、大精霊、覚醒竜センティとの決戦に勝利し、さらに世界花ブロスをも仲間にして、いよいよ害虫化の呪毒を生み出した真の黒幕を滅ぼすために外界を目指していた花騎士たちの前に、突如消えたはずのナイドホグルが襲いかかって来ました。
ここからはいよいよ、2代目である、外園騎士ナイドホグルと花騎士たちの、激戦の様子を見ていきます。外園騎士ナイドホグルが何者かについては前述の通りで、先代の記憶と血を受け継ぐ2代目のナイドホグルです。
世界花の化身ブロスとウィン、覚醒竜センティについては、後日詳しく語りたいと思います。
外園迎撃戦(メインストーリー4部序盤)
外園で目を覚ました外園騎士ナイドホグルは、眷属害虫を全て外園に呼び寄せると、外園の処理を始めたようです。そんなある日、約1000年ぶりに突然現れた外界人ケペラとシルキトを殺すため、外園騎士ナイドホグルが、眷属害虫とともに迎撃に現れます。
ケペラとシルキトが、どうやって外園内に突入してきたかは、まだ明かされていません。しかし、外園騎士ナイドホグル曰くケペラやシルキトには特別な力はないらしく、ケペラやシルキトの話も組み合わせると、何者かの手引きがあったとみられています。
戦いは、一瞬の隙を突いたケペラと配下のスカラベたちによる目眩ましにより、ケペラとシルキトが退却したことで一時終息しました。しかしこれ以降、外園騎士ナイドホグルはケペラとシルキトを確実に殺すため、眷属害虫を外園中に散開させました。
この戦いには、花騎士は関わっていません。しかし、ほぼ同じ頃に、アブラナが花騎士の定義について疑問を抱いており、物語が急激に核心に近づいているタイミングでした。
外園威力偵察(メインストーリー4部4章〜5章)
その後、外園を偵察する計画が実行され、封印術技師シギラリアをはじめ、歴代の精鋭がクジラ艇に乗り込み、バナナオーシャンから南方へ、外園を目指し出撃しました。この計画を以降「外園威力偵察計画」と呼称します(4部4章)。
世界花ブロスの記憶やシギラリアの持つ情報を元に、外園は不毛な土地が広がるだけの、特に何もない土地であると結論付けられていました。ブロスは、「守護神蟲であるナイドホグル、ミズウォルム、フラスベルグが管理している」とも語ってはいましたが、その守護神蟲は全て力尽きたため、そもそもいないものとして考えられていました。
しかし、いざ外園に突入してみると、そこはナイドホグルの眷属害虫で溢れかえっていました。そして眷属害虫軍団と戦う偵察部隊の前に、追手から逃げていたケペラが現れ、偵察部隊とともに戦いはじめましたが、まもなく現れたシルキトは花騎士への敵意を顕にし、偵察部隊に襲いかかって来ました。
花騎士への見解の相違で争い始める蟲使いの外界人たち。状況がわからず混乱する偵察部隊。そこに突然、とんでもない化け物が襲いかかって来ました。
「それ」はあっという間にシルキトをねじ伏せると、ケペラと偵察部隊の目の間で殺そうとしました。ケペラの抵抗をも意に介さず、シルキトの首をねじ切ろうとする、その圧倒的な強さに見惚れたスイカズラは思わず「それ」に襲いかかると、「それ」を突き飛ばし、嬉々として殴りかかりました。
衝撃で解放されたシルキトはケペラと合流し、一度引き下がりましたが、「それ」はスイカズラを「思ったより大したことない」と言い放ち、逆にスイカズラをクジラ艇まで投げ飛ばしました。
そして決定的な出来事が起こります。
「それ」は突然、「花騎士には手加減しないといけない」と呟きながらも、標的をスイカズラに切り替えると、偵察部隊をまるごと抹殺しようと、ゆっくりと近づいて来ました。その目の間に突然ブロスが飛び出し、こう叫びました。
この瞬間、「それ」が、消えたはずのナイドホグルであることが確定してしまいました。
ブロスは、「ナイドホグル」に話しかけようとしますが、混乱した「ナイドホグル」は、全くブロスの話を聞くことなく、全てまとめて殲滅しようと、ものすごい勢いで暴れ始めました。
ブロスはクジラ艇に偵察部隊をかき集めると、全ての権能を総動員し、クジラ艇は外園から緊急脱出しました。
クジラ艇はそのまま、最大出力で外園を離脱すると、胴体着陸するようにバナナオーシャン沖の無人島に不時着して大破しました(4部5章)。
またこの時、蟲使いの外界人たちも撃退され、しばらく行方不明になっていましたが、ケペラはその後リリィウッド郊外で発見され、シルキトも後にカレンサス砂漠で発見されました。
この「ナイドホグル」こそが外園騎士ナイドホグルであり、外園騎士ナイドホグルはスプリングガーデンの隔絶が目的であるため、誤ってケペラがスプリングガーデン内で遭難してしまったことは外園騎士ナイドホグルの手違いと言えます。そのため、外園騎士ナイドホグルは、直ちに眷属害虫を追手に出し、ケペラの確実な抹殺を狙います。
一部サイトなどで「ナイドホグルのやらかし」などと呼称されているのは、この件です。
外界人の蟲使い、ケペラとシルキトについては、後日詳しく語りたいと思います。
外園の決闘(メインストーリー4部5章〜6章)
ケペラはその後、ミズウォルム研究所で保護され、リリィウッド元老院の監督の元に騎士団預かりとなりました。一方、ケペラを追撃していたナイドホグルの眷属害虫はウィンが食い止め、これ以上ケペラを追撃しないようにと通告しました。
そしてウィンは騎士団に接触し、外界での花騎士たちの計画を添削した後、唯一にして最後の問題である「ナイドホグル」の問題を解決するため、「ナイドホグル」の誘いで、密かに外園に乗り込みました。
以降、この花騎士と世界花による外界の遠征と攻略の計画を「外界遠征計画」と呼称します。
一柱(※)外園にやって来たウィンは、うなされる「ナイドホグル」を起こし、外園を視察しながら会談を始めました。
「ナイドホグル」が自己矛盾を抱えて悩んでいることを見抜いたウィンは、花騎士たちの外界遠征計画について話し、「ナイドホグル」の説得を試みます。しかし、頑なに折れようとしないどころか、再び力づくで追い返そうとする「ナイドホグル」についに痺れを切らし、最終手段として武力行使に出ます。
(※)一柱:「柱」は神や天使などを数えるための正式な数詞。日本では古くから木や柱に神が宿ると考えられてきたため、神を数える数詞に「柱」を使う。他にも、山に宿るとされることから「座」、全てまとめて「体」、人の姿をしている場合は「人」などが使われることもあるが、今回は木の姿である世界花が本体であるため、本稿ではブロスやウィンは「柱」で数える。
猛烈な冷気で「ナイドホグル」を封印しようとするウィンに抵抗し、激昂して雄叫びをあげた「ナイドホグル」は、猛烈な熱波を放ち、ウィンと激突しました。
勝負は一瞬のうちに決着し、ウィンは敗れましたが、それに動揺した「ナイドホグル」は突然攻撃を止め、ついに真意を語りました。
「ナイドホグル」は他種族との接触を望む一方、花騎士が外界に出ることには不満を漏らしていました。その結果、「ナイドホグル」は、花騎士の外界遠征計画を認めるために、自らとの決着をつけさせる、という条件をつけました。
会談が終わった「ナイドホグル」は先代に対して宣告し、以降「外園騎士ナイドホグル」と名乗ると宣言しています。
外園最終決戦(メインストーリー4部6章)
2024年2月現在、これが花騎士と守護神蟲が直接戦った、最後の記録となります。
ウィンの報告を受け、全ての花騎士がクジラ艇により外園に集結し、外園騎士ナイドホグルとの最後の戦いに臨むことになりました。外園騎士ナイドホグルはこれを待ち構えると、スプリングガーデン中からかき集めたありったけの眷属害虫の大軍団を控えさせ、自ら花騎士軍の前に出ると、真に強いのはどちらなのかを決めると宣言して、岩山の山頂にワープしました。
それを合図に、ナイドホグルの眷属害虫軍団は一斉に動き出し、花騎士たちもまた、最高司令官たる団長の司令により、一斉に眷属害虫軍団めがけて突撃を開始しました(4部6章)。
以降この戦いを「外園最終決戦」と呼称します。
仮にここで、花騎士が外園騎士ナイドホグルを倒すことができれば、スプリングガーデン最強の生命体(※1)の座が人類に変わることになり、もはや他の守護神蟲は口出しできなくなります。そうなれば、花騎士の外界遠征計画を妨害する存在は一切無くなり、花騎士は永遠の悲願である、害虫との戦いの終結に向けて、途方も無い大きな一歩を踏み出すことができます。
当然ですが、もしここで花騎士が負ければ、待っているのは死のみです。いくら外園騎士ナイドホグルがそれをすることに抵抗があると自称しているとはいえ、以前シルキトがそうされかけたように、花騎士たちも木っ端微塵にされ、骨も残らず焼き尽くされてしまうでしょう。そうなれば、スプリングガーデンにはほとんど花騎士はいなくなり、人類は害虫に対する防衛能力をほぼ喪失してしまいます。
この戦いに、人類と、スプリングガーデンの未来が懸かっていると言っても過言ではありません。絶対に敗けられない、最終決戦の火蓋が切られました。
凄まじい戦いが始まりました。
眷属害虫は、一体一体が極限指定級害虫以上の力を持ち、古代害虫よりも遥かに強力な種類もいます。それが、数え切れないほど集結し、波状攻撃で花騎士軍に襲いかかって来ます。
対する花騎士は、実装されているだけでも700人以上。未実装含む総数は数万人に及ぶと考えられていますが、数では眷属害虫軍団には勝てません。それでもその多くは、これまでの激戦を勝ち抜いてきた、歴戦の勇士たちです。同時に全ての眷属害虫を相手にするわけではないことを利用して、片っ端から殲滅していきます。またこの戦いでは、花騎士側にブロスとウィンがついており、常にその権能で花騎士をサポートし続けます。
そして、ついに眷属害虫軍団をあらかた殲滅した花騎士軍は、岩山へと雪崩込みました。そこで待つのは、これまでの眷属害虫軍団の戦いを観てきた外園騎士ナイドホグル。外園騎士ナイドホグルは、花騎士たちの高い戦闘能力に半ば驚きつつも、今度こそ本当の決着をつけるべく、猛烈な熱波とともに、ついにその真の力を解放しました。
熱波の中で放たれる外園騎士ナイドホグルの猛烈な攻撃は、その全てが即死レベルの威力を持ちます。それは岩山を砕き、大地を抉り、装甲を破壊して、花騎士たちをまとめて弾き飛ばし、焼き尽くします。
次々に花騎士が力尽き、炎と血の海の中に崩れ落ちていきました。それでも、猛烈な攻撃の合間を縫い、数々の花騎士たちが、外園騎士ナイドホグルに襲いかかりました。その一つ一つが、やがて外園騎士ナイドホグルを消耗させていきました。
最後に残った花騎士が、誰だったのかはわかりません。しかし、外園騎士ナイドホグルが最後の花騎士を撃破した直後、全ての花騎士の意志を宿し、1000年前の「勇者」のそれに限りなく近しくなった、史上最大出力の「太陽の剣」が、外園騎士ナイドホグルを焼き尽くしました。
戦いは、ほぼ相討ちに終わりました。花騎士は世界花の権能とジュズダマの能力(※2)で死ななかったとはいえ、もはや生きていることが不思議な状態になっていました(※3)。一方、外園騎士ナイドホグルもまた、一時は走馬灯を見る(※4)ほどに生死の境を彷徨っていましたが、ブロスとウィンによって蘇生し、一命を取り留めました。
もはや完全に戦意を喪失した外園騎士ナイドホグルは、ついに花騎士の強さに折れて、花騎士の外園通過と、外界遠征計画を認めました。
こうして、花騎士と守護神蟲による、1000年に及ぶ戦いが幕を閉じました。
(※1)スプリングガーデン最強の生命体:従来、スプリングガーデンで最強の生命体は、1000年前の戦いの様子からナイドホグルであり、次点でフラスベルグが強いとされてきた。そして外園騎士ナイドホグルは、前述の通り初代ナイドホグルよりも攻撃的な能力を多く披露しており、劇中描写だけならば少なくとも初代よりも強い。もしここで人間である花騎士が外園騎士ナイドホグルに勝てば、人類の方がナイドホグルよりも強いと認識され、同時にフラスベルグやミズウォルムよりも強いものとして扱われることになる。
(※2)ジュズダマの能力:最古の古代花騎士ジュズダマには即時無制限回復、即時無制限再生能力というとてつもない能力があり、これは範囲無制限で自分を含む味方に適用可能である。これがある限りジュズダマは事実上不死身であり、この力が適用されている限り、適用された存在も同様に不死身となる。
(※3)生きていることが不思議な状態:劇中ではナズナに「寝込んでしまった」と濁されているが、実際には世界花の加護だけで辛うじて生きている状態である。本来、数千度という熱波を掻い潜って外園騎士ナイドホグルを傷つけることは、世界花の加護とジュズダマの能力がなければ不可能に近いことだが、そのジュズダマすらも力尽きており、ジュズダマ本人はさておき他の花騎士は本来死んでいてもおかしくない。
(※4)走馬灯を見る:臨死の時、人は生前の記憶をコマ送りのような夢で観ると言われており、これが影絵をコマ送りアニメのように回して観る「走馬灯」という器具に似ていることからこう呼ばれる。
6.ナイドホグル加入事件
序文でも長々と警告しましたが、ここからは、ナイドホグルに関する、最も難しい問題について取り扱います。ほとんどのサイトは特に掘り下げることもなく概ね賛成で記述されていますが、実際は本件には現在も局所的に激しい賛否があり、ごく最近まで賛成派と反対派、および元反対派による序文のような衝突が複数のサイトやSNSで確認されています。また本件により、サービス終了間近だったTwitterのトレンドに、突然「ナイドホグル」が浮上したことも記憶に新しいです。
ここでは、当時どのような問題が発生し、具体的に何が問題で、その後どうなったかについて取り扱います。
事件発生(メインストーリー4部6章〜7章)
外園最終決戦の直後、花騎士の外界遠征計画を認め、引き下がろうとした外園騎士ナイドホグルを、突然ブロスが呼び止め、外園騎士ナイドホグルを騎士団に勧誘したことから事件は始まります。
ブロスとウィンの突然の勧誘に困惑した外園騎士ナイドホグルは、スプリングガーデンと人類への贖罪の希望を口にしながらも、それでも騎士団勧誘に関しては結論を出せず、「少し考えさせてほしい」と言い残して外園から姿を消しました。
それから数日後、辛うじて回復したアブラナ、セントポーリア、ギンラン、ワレモコウ、シギラリア、ポトスの6人は、ナズナの引率でブロッサムヒル郊外で巡回を行っていました。当時はこの6人に加えて、ブロスとウィンの世界花二柱が、対害虫のスプリングガーデン最大かつほぼ唯一の戦力でした。
その巡回部隊の前に、突如覇気を失った外園騎士ナイドホグルが現れます。しばらくスプリングガーデンの様子を見ていたという外園騎士ナイドホグルは、不意にこう口にしました。
問題は、ここから始まります。ブロスはそれを聞くと、嬉々として花騎士たちに仲間入りを求め始めました。そして間髪入れずにセントポーリアが賛成で反応、結果、アブラナ以外の花騎士とナズナが外園騎士ナイドホグルの騎士団入りに賛成もしくは同意し、結局団長も外園騎士ナイドホグルをあっさり受け入れ、唯一アブラナのみが答えないまま、外園騎士ナイドホグルの騎士団加入という、花騎士の概念そのものを揺るがす、極めて重大な話があっという間に完結してしまいました。
以降この事件を「ナイドホグル加入事件」と呼称します。
本件における世界花の真意については、後日詳しく語りたいと思います。
ナイドホグル加入の問題点
では、今回の事件の問題点は、どこにあるのでしょうか。
私が劇中描写を観る限り、この事件の問題点は、大きく次の3点に絞られると考えています。
・花騎士という概念の定義
・害虫を運用する上での政治的調整
・外園騎士ナイドホグルの運用上の制限
順番に見ていきましょう。
問題点1.花騎士の定義の問題
序盤に語った、花騎士の定義の話は覚えていますでしょうか。改めて振り返ってみましょう。
花騎士とは「世界花の加護を受け、害虫と戦う者」と規定されています。たとえ世界花の加護を受けていても、害虫と戦わない存在は花騎士とは呼ばれず、またたとえ害虫と戦っていても、世界花の加護がなければ花騎士ではありません。
では、これが人類と精霊以外の存在ならばどうでしょう。
まず世界花の化身たるブロスとウィンは、自らに自らの世界花の加護があり、同時に害虫と戦う力をもち、その力で害虫と戦うため、広義には花騎士と呼ぶことができます。
一方、実はナイドホグルにも、根源の世界花の加護があることは既に述べた通りですが、外園騎士ナイドホグルは、これまで害虫と戦った記録がほとんどありません。唯一の例外はフラスベルグですが、それは「害虫だから」ではなく「フラスベルグだから」戦ったまでです。そのため、ナイドホグルは害虫と戦う存在ではありません。
もちろん、花騎士でなくても騎士団に出入りして、加入することもできます。かつては益虫も加入していた可能性があるだけでなく、オンシジュームのペットのマイドアリや、前述のケペラもまた、十分に対害虫戦の戦力となり得ます。
しかし、ナイドホグルにはもう一つ、「害虫を眷属として従えている」という問題があります。害虫と戦った経験がないだけでなく、倒すべき害虫を手下にしているのです。常に戦力として害虫を使役しているため、従来の定義では、外園騎士ナイドホグルは花騎士とは言えません。
さらに、害虫の眷属という問題は、外園騎士ナイドホグルを加入させた場合、騎士団全体の問題となります。所属する全ての花騎士は、ナイドホグルの眷属害虫を攻撃できなくなるからです。
花騎士でありながら、敵対することが許されない害虫ができてしまうことになります。そうなればその騎士団は、最悪「害虫に味方する騎士団」という解釈をされる可能性もあります。もはや、何のための花騎士かもわからなくなってしまいます。
花騎士の目的を見失えば、当然、その定義も曖昧になってしまいます。ただでさえ目的もなくモチベーションの低い花騎士もいる中、一度戦う目的を失った花騎士のモチベーションを維持することは極めて困難です。
ナイドホグルの眷属害虫が問題になるのには、理由があります。4部7章、ついに始まった外界遠征ですが、外園通過の際、世界花と外園騎士ナイドホグルが挨拶をするシーンがありました。そしてその中で、外園騎士ナイドホグルが眷属害虫の存在を示唆したのです。
外園最終決戦以降も、外園にはナイドホグルの眷属害虫が大量に生息していたということです。もし個別に繁殖しているのであれば、やがて外園最終決戦時以上の眷属害虫が外園に溢れかえることになるはずです。
外園騎士ナイドホグルの運用には、ナイドホグルの眷属害虫の問題が常に付き纏います。そして、一度外園騎士ナイドホグルが加入すれば、原則として騎士団の花騎士はナイドホグルの眷属を攻撃できません。
この状況は、害虫と戦う使命を持つとされる、花騎士の定義そのものを揺るがすものですが、どのような対策が行われるのでしょうか?
問題点2.政治的調整の有無
前述の通り、外園騎士ナイドホグルの加入は、花騎士の定義を揺るがすものですが、同時に外園騎士ナイドホグルは守護神蟲であり、その扱いは国家規模の課題でもあります。世界花ですら敗退し、全ての花騎士をかき集めてようやく引き分けるかどうかという程の存在です。そして前述の通り、理由はどうあれ自らの意志で花騎士たちの玉砕すらも辞さずに襲いかかったという実例や、害虫を運用しているという特徴もあります。そのような存在を運用すれば、何かが起きる度に、大きな社会的混乱を招く危険性もあります。
当然、混乱の沈静化には、責任の所在が必須となりますが、そのためには、各国との慎重な調整が必須となります。これまでにも、ナイドホグル再封印戦、根源の世界花争奪戦、ナイドホグル益虫化計画、千の足の方舟計画、ケペラの事件、外園最終決戦と、いずれも各国との慎重な調整の様子が描写されています。
しかし、ナイドホグル加入事件においてだけは、そのような描写は一切ありませんでした。それどころか劇中で調整されているのは外界遠征の人選のみであり、ナイドホグルのナの字もありません。いつの間にか、外園騎士ナイドホグルが騎士団に当たり前のように在籍している前提で話が進んでしまっているのです。
当然ですが、外園騎士ナイドホグルの騎士団加入という話は、ディープ・レコードや世界花経由で各国に伝わっている可能性があります。そうなれば、外園騎士ナイドホグルの運用に関する混乱が起きてもおかしくありません。しかし7章終盤の外界遭難時、外園騎士ナイドホグルが巻き込まれて遭難し、団長の指揮下に入った際、なぜか大きな混乱が起きている様子はありませんでした。ということは、この調整期間に何らかの調整が行われていた可能性があります。
この間に、一体何があったのでしょうか?発生したであろう混乱は、誰がどのように解決したのでしょうか?
問題3.ナイドホグル自身の運用上の制限
ここまで、ほとんど眷属害虫の問題ばかり扱って来ましたが、外園騎士ナイドホグル自身にも、運用上の問題があります。
外園騎士ナイドホグルは、前述の通りかなりの気性難です。しかも、外園騎士ナイドホグルの気分次第では、至近距離で熱核兵器が起動したのと同等以上の被害をもたらし、局地的な大災害が起きる可能性もあります。
挙げ句、ナイドホグルを簡単に怒らせる方法は、既に確立してしまっています。そう、フラスベルグの話をすることです。
まずこの時点で、絶対に会わせてはならない花騎士が一人いることにお気づきの方も多いと思います。最古の古代花騎士、ジュズダマです。彼女の異能はフラスベルグの攻撃を受けた際に偶然発現したらしく、以降彼女はフラスベルグを崇拝し続けています。その熱意は凄まじく、かつてリリィウッドに巨大なカルト教団を作ってしまう程の求心力があり、復活してからもヒサカキを闇堕ちさせるなど、かつての求心力は健在です。
そんなジュズダマが、万が一外園騎士ナイドホグルと同じ部隊になれば、必ずどこからかジュズダマとフラスベルグの話が出てくると推測されます。そうなれば、怒りと困惑でパニックになった外園騎士ナイドホグルが、突然ジュズダマと乱闘を始めてしまう危険性があります。
他にも、害虫相手に良くない過去を持つ花騎士も少なくありません。そうした花騎士の中には、いまだに深いトラウマを抱えた花騎士もいます(※)。それらの花騎士を前にして、外園騎士ナイドホグルは冷静でいられるかはわかりません。一つ間違えば、双方の士気に大きな影響を与える可能性もあります。
(※)害虫相手に良くない過去を持ち、深いトラウマを抱えた花騎士:害虫に命を奪われかけたり、親友や身内を奪われた花騎士が少なくない数確認されている。ミントやアルストロメリアのように、最近までにトラウマを克服した花騎士もいる一方、バニラやスターチスのように、今なお深いトラウマを引きずり続けている花騎士もいる。このような花騎士はセリフで見分けることができ、時折害虫への怨みや憎しみを仄めかしている。
外園騎士ナイドホグルは、その不安定で危険な感情を自制できるのでしょうか?そして、同じく不安定になった花騎士のケアまで、気を回すことができるのでしょうか?
花騎士は、外園騎士ナイドホグルのご機嫌取りに終始することにはならないのでしょうか?
各問題点の解決
以上、ナイドホグルの加入することで起こる問題点について見てきましたが、その後これらの問題点はどのように扱われたのでしょうか。ここからは、2023年10月までの情報を元に、これらの問題点がどう解消されたのかについて考えていきます。
問題1の解決策
1つ目の問題の解決策ですが、その後はっきりした描写は見られません。しかし、カレンサス砂漠でスイカズラを始めとする花騎士が外園騎士ナイドホグルに戦いを挑まないなどの描写が見られることから、一つの可能性が考えられます。
それは、花騎士の定義が改訂された、というものです。
考えられる現在の花騎士の定義は、「世界花の加護を受け、害虫化の呪毒と戦う者」であるとみられます。この定義であれば、外園騎士ナイドホグルが眷属を全滅させる必要も、また今後花騎士が、いちいち外園に眷属害虫の討伐や封印をしにいく必要もなくなります。さらにこの定義であれば、害虫だった過去がある外園騎士ナイドホグルやミズウォルム・シロの運用に、これ以上の制限はかからなくなります。
もっとも、これを決定づける描写は、2024年2月現在まだありません。今後のメインストーリーの進行により、これを示すより確実な描写が登場することを祈ります。
問題2の解決策
2つ目の問題の解決策は、ナイドホグルの加入が世界花の推薦である、と公表したものである可能性が高いと考えられます。世界花は神に相当する存在であるため、各国政府では王室よりも地位が上になります。その世界花二柱の推薦ならば、ほとんどの人は文句は言えません。
では、全てが世界花の一存になったかというと、そうではないと考えられています。例えば、ウィンは当初、外界遠征計画に反対していましたが、これに対してロイヤルプリンセスがウィンに意見し、女王ノヴァーリスもウィンの説得を試みています。結果、ウィンは考えを曲げ、外界遠征計画の添削まで行うようになりました。
この描写から読み取れることは、少なくとも女王とその周辺は、世界花の政治的発言に意見ができるということです。
特にナイドホグル関連は、ウィンターローズと深い関わりがある要件です。仮にウィンターローズ政府でナイドホグル加入に反対する者がいた場合、ノヴァーリスが直ちに動き出し、騎士団長執務室のど真ん中で問答が始まっていた可能性があります。
それがなかったということは、ノヴァーリスは外園騎士ナイドホグルの騎士団加入に関する混乱を、ウィンターローズ王室と政府の名の下に沈静化させたことになります。ノヴァーリスの人間性から考えると、その方法は徹底して平和的な手段だったとみられます。
ウィンターローズ王室の反応は、他国政府の行動にも影響を与えたと考えてよいと思います。そしてこれは、スプリングガーデン各国は、人類と外園騎士ナイドホグルの平和的共生を目的に行動し、共同で外界遠征に取り組むという展開を迎えたと考えられます。
それが極めて迅速だったため、7章ではカットされたと考えられます。事後報告なのはあまり良い事ではありませんが、国民の混乱を各国政府が責任を持って静め、万が一外園騎士ナイドホグル関連の問題が起きた場合、各国政府が責任を取る、という協定が結ばれているならば、外園騎士ナイドホグルに関する政治的調整の問題は解決したものとみてよいと思います。
一方、別の可能性もあります。
世界花ブロスには、守護神蟲と同じ認識改変能力の存在が示唆されています。これが使われていたら、話は別です。そうなればスプリングガーデン全土で言論統制が行われ、そもそも誰も異論を唱えられなくなるからです。
登場当初から、ブロスは非常に友好的な世界花として知られていましたが、一方で、天然でお人好しな側面も見せていました。もちろん、今までは特段問題にはならなかったのですが、こと渦中の存在であるナイドホグルに肩入れしているとなると話は別です。
結果的な推論ではありますが、もしかするとブロスは、既にこの頃からナイドホグルの加入を計画していたのかもしれません。ブロスの発言力や、常に花騎士の近くにいる状況を考慮すれば、この計画をウィンが止めるのは極めて難しかったでしょう。
本件はこの問題の中核に位置する内容ですが、7章の調整が早々に終了した以上、今後新たな情報が公開される可能性は極めて低いです。実際に何らかの協定が結ばれているのかどうか、あるいはブロスによる処理が行われたのか、いつか何らかの形で明らかになることを祈ります。
問題3の解決策
4部9章において、3つ目の問題がついに現実に起きてしまいました。
砂漠の洞窟に取り残されているカレンサスの民を救出するための部隊に、よりによって外園騎士ナイドホグルとジュズダマが同時に編成されてしまったのです。編成当時はなぜか全員そのことを忘れてしまっていたのですが、いざ出撃すると、あっという間に問題が発覚してしまいました。
しかし、ここで特筆すべきことが起こります。外園でミズウォルムにフラスベルグの話題を出された際には激昂した外園騎士ナイドホグルでしたが、カレンサス砂漠ではそれが見られなかったのです。
かなり気まずくなっていましたが、少なくともジュズダマと1戦交えたという状況ではなかったため、外園騎士ナイドホグルが自身の感情を抑え込もうとした可能性があります。
同じく9章では、もう一つ特筆すべきことが起きています。救出部隊結成の少し前、久しぶりに外園騎士ナイドホグルとシルキトが顔を合わせ、その際外園騎士ナイドホグルが、シルキトを殺そうとしたことを謝罪したのです。
前述の通り、シルキトはスプリングガーデンの侵入を目的に、何者かの手引きで外園に入ってきた上、外園騎士ナイドホグルと死闘を繰り広げました。当然、外園騎士ナイドホグルにとっても、シルキトにとっても、互いに因縁のある相手です。
そのシルキトですが、スプリングガーデンで遭難したケペラのその後を見たことで、ついに花騎士に心を開き、外界遠征部隊との共闘を決断しました。その樣を見た外園騎士ナイドホグルは、シルキトとの顔合わせの際、自らシルキトに謝罪しました。
以上の描写から、外園騎士ナイドホグルは現在、自らの気性難を治そうとしていると考えられます。フラスベルグの因縁など、まだ完全に解決したとは言い難い状況ではありますが、徐々に改善の可能性は高まりつつあります。
また、実際の部隊運用においても、外園騎士ナイドホグルが暴走する様子は、現在確認されていません。部隊も、スイカズラなど相性の良い花騎士で固められており、とりあえず外園騎士ナイドホグルが暴れる可能性は、低くなっていると考えられます。
今後着目すべき課題
以上から、外園騎士ナイドホグルの運用上の問題点は、徐々に解消されつつあると考えられます。
一方で、「花騎士の新定義」や「外園騎士ナイドホグルを運用するための協定」については未描写のため、この点がどのように扱われているのかは、今後の一つのポイントになると思われます。
また、気性難の解消に関しては、現在新たな問題が現れつつあります。カレンサス砂漠に突如現れた正体不明の不審人物、自称「旅の道化師リコ」です。この人物が団長を狙っていることは確からしいのですが、それが何を目的としているのか、そもそも「リコ」が何者なのか、現在ほとんど何もわかっていません。
その「リコ」は現在、花騎士とカレンサス人の絆を引き裂こうと躍起になっています。その真の目的は不明です。
「リコ」には気まずそうなジュズダマと外園騎士ナイドホグルの姿を見られてしまっている可能性が極めて高いため、今後「リコ」が、ナイドホグルとフラスベルグの因縁を利用しようとする危険性があります。
「リコ」の妨害が始まるまでに、どこまで過去の因縁を解消できるのか、花騎士がその力をどこまで制御できるのかが、外園騎士ナイドホグル運用の最大の課題であると考えてよいと思います。
この「旅の道化師リコ」については、後日詳しく語りたいと思います。
7.これからの花騎士とナイドホグル
ここからは、これからの花騎士とナイドホグルの関係について考えてみたいと思います。
遥か大昔、ナイドホグルは純粋に「スプリングガーデンの守護神」だったようです。アグレッサが攻めてくる前の時代は、ナイドホグルも縄張りに住むスプリングガーデン人と良好な関係を築いていたのかもしれません。
しかし、アグレッサのテロにより、全ては一変してしまいました。ナイドホグルは害虫化し、恐怖の象徴と化してしまいました。
そして現代。再び益虫化したナイドホグルは、外園最終決戦を経て、人類との仲直りと、スプリングガーデンとの和解を望んでいます。
その願いを汲んだ世界花は、強硬手段ではありながらも外園騎士ナイドホグルを騎士団に勧誘し、結果外園騎士ナイドホグルが加入したことで、物理的に距離が近くなった花騎士と外園騎士ナイドホグルが、直接接触する機会が増えています。
外園騎士ナイドホグルは花騎士との交流を望み、一部の花騎士を中心に、徐々に花騎士に外園騎士ナイドホグルの受容の動きが現れつつあるように見えます。
これからの時代は、外園騎士ナイドホグルが、アグレッサが攻めてくるよりも前の時代のように、いやそれよりもさらに親密に、人類と友好的な関係を結ぼうとする時代になるのではないかと考えられます。
我々は外園騎士ナイドホグルを受け入れ、運用すべきなのか。それは、今後の外園騎士ナイドホグルと、花騎士の関係を観てから判断しても、遅くはないかもしれません。
8.まとめ
以上、ナイドホグルと花騎士の、これまでとこれからについてでした。
ナイドホグル加入の賛否については、まだもうしばらく議論が続くと思いますが、どのような結末であれ、それが花騎士たちの前途に幸多からんことを祈るばかりです。
フラワーナイトガールは、2025年の1月に、夢の10周年を迎えます。メインストーリーはいよいよ佳境に差し掛かり、これから戦いはカレンサス、そしてさらにその先へと、遥かに続いていくと思われます。いつか、1000年の戦いに終止符を打つその時まで。花騎士たちの果てしない戦いは、これからも続きます。
今後の更新によって、さらなる改訂が加えられる場合があることは、最後にご了承願いたいと思います。また、今回解説を割愛したキャラクターも多数いるため、これらのキャラクターについても、また後日それぞれ語っていきたいと思います。
最後に、今回初めて40000字を超える大長文となりましたが、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。今後もこのような考察などを執筆しつつ、平行してピクシブでも小説を執筆していきます。今後も応援、よろしくお願いします。
今回は以上となります。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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