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推し活により1年足らずでカナダからロシアまで6カ国8都市行ってしまった話 / 沼にハマったオタクの熱量は恐ろしい
衝撃を受けた日
2019年3月30日、私はさいたまスーパーアリーナにいた。
仕事先の同僚が2枚チケットを当てたので誘ってくれたのだ。
NCT 127という、韓国、日本、アメリカ、カナダという多国籍のメンバーで構成されたグループだ。彼らの所属事務所である韓国のSMエンターテイメントは、初めてアイドルという存在に出会うきっかけとなった東方神起が所属している。
NCT 127の音楽もデビュー当初から聴いていたが「推す」と言えるほどメンバー個人に思い入れがあるわけではなかった。その当時、アイドルを推すことから5年くらい離れていた時期でもあったので尚更だ。
彼らの音楽は私が元々好きだったジャンル(テクノやハウス、HIPHOP、現代音楽etc)に近く、この曲は本当にアイドルの曲?と疑問に思うようなあまり大衆的な曲調ではなかったところが好きで、MVやアートディレクションのセンス、NCTの世界観やコンセプトも好みだった。
ライブのステージで彼らのパフォーマンスを見るのは、この日で4回目くらいだったと思うけど、どれも合同イベントで数曲や、トーク込みのショーケースのようなもので、3時間超のフルステージを見るのはこれが初めてだった。彼らにとってもデビュー後初のツアーで、このさいたまスーパーアリーナの公演の後は、ワールドツアーでアメリカやアジア、ヨーロッパの各国を巡る予定になっていた。
この公演の帰りの電車の中で、私はNCTzen※ になり、北米ツアーの日程をスマホで調べ始めていた。
※NCTのファンダム名(呼称シズニ):Neo Culture Technologyという概念のNeo Cityの市民(CITIZEN)という意
NCT 127のメンバー
SMエンターテイメントのアーティストは皆、実力がとても高い。
特に歌唱力が高いことはKPOP界でも有名な話だ。どのグループにも数人のメインボーカルがいて、とんでもなく歌が上手い。喉からCDとか、音源より生歌の方が上手いなどと言われている。サブボーカルでもメインボーカルを務められるレベルの人が少なくない。NCT 127も例外なく、とんでもなく歌の上手いメインボーカルがいるがラッパーのレベルも同様で、アイドルラッパーの域はとっくに超えていた。ダンスのスキルや表現力も素晴らしく、メンバー皆個性的だ。全員の高い才能と個性がぶつかり合いながらも、チームとしての調和が素晴らしい稀有なグループだ(と私は思っている)。もう推して7年目になるが、熱が冷めるどころか推しが増えてチーム内に3人も推しがいる始末だ。今は個人活動で見せてくれるそれぞれの音楽性も楽しみのひとつでもある。
ライブ鉄板の1曲。この曲で締めくくらないとライブが終われない。
沼るとはまさにこのこと
この日、2018年に追加メンバーとして加入したジョンウのパフォーマンスを初めてライブのステージで目にすることになった。ライブが始まってすぐジョンウに目を奪われ、最後までずっと彼のパフォーマンスを見逃すまいと目で追っていた記憶がある。一目惚れだった。
まずとても美しい容姿(私にとって重要なポイントの一つ。ルッキズム反対と言われてもモネの美しい絵画を見るのと同じ感覚で、上品で調和のとれた美しい人や動物が好きなのでどうしようもない。これについてはまたいつか書くことにする)そして透明度の高い歌声、ダンスは指先や首の角度まで神経が行き届いた美しさで、髪の毛さえも爽やかに踊っていた。私にはジョンウが発光して見えたのだ。
沼りたてのオタクの熱量ははかりしれない
そのさいたまスーパーアリーナの公演は日本ツアーのオーラスだったため、その後このステージを観たいと思ったら、欧米やアジアに出向くしかなかった。
それまで海外までコンサートに行った経験は、上海とソウルしかない。まさかコンサートのために欧米まで行くことになるとは想像もしていなかった。
しかし、オタクの沼りたての熱量は恐ろしい。自分でも信じられない行動力を発揮する。即座にTwitter(当時)にアカウントを作り、5月のバンクーバー公演に行く日本人を探し、カナダのチケッティング方法を調べ、フライトを予約、バンクーバーでホテルをシェアする人を見つけた(ここまで1週間程度)普段の人付き合いではホテルの部屋をシェアするまでにはそれなりの関係を築く必要があるが、推し活となると途端にそのハードルが下がる。不思議だ。そしてほとんど初対面に近い相手とも朝まで推しの話で盛り上がれるのだ。
10ヶ月間で巡った国々
5月のバンクーバーを皮切りに、現地で初めて会った中国に駐在していた日本人のオタク仲間と一緒にその後のワールドツアーを巡った。バンクーバー、バンコク、サンクトペテルブルグ、モスクワ、シンガポール、LA、サンノゼ、それらの合間に月1でソウルにも通っていた。さらに日本国内ツアー7公演ももちろん行った。
この年は自分の仕事の方でも新たな活動を始めて、買い付けのために海外に行く予定を組んでいたため、ロシアやシンガポールでは買い付け日を設けて仕事も一緒にしてまわった。一石二鳥だった。
その翌年にはコロナ禍になり、海外遠征がしばらくできない現場オタク暗黒期に突入したわけだが、だからこそ2019年のタイミングで沼落ちしてラッキーだった。2018年に5年付き合った彼とお別れしたのを機に、人生の恋愛に終止符を打ったのもちょうど良いタイミングだった。恋愛と推し活は両立が難しいからだ。私にとって2019年にジョンウにハマったのは運命だったと思う。(オタクはなんでも推しと運命を結びつけたがる)
国によってオタクのファッションやライブの鑑賞スタイル、不思議な慣習など様々で、推しが地球規模のアイドルだということを実感する。ロシアで出会った、日本人メンバーの悠太くんの顔写真がプリントされたTシャツを着て、推しの母国語を理解したいという思いで日本語を勉強していた女の子は今どうしているだろうか。