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町内放送

明日は終戦記念日。昨今は自然災害のニュースが多く、今も大型台風10号が猛威をふるっていて、つい無関心になってしまいそうだが、じわじわと危うい世の中の流れを思うと改めて戦争が起きないよう考えさせてくれる大切な日だ。私たちはこれから何ができるのだろうか…。

湯河原町には町内放送がよく流れる。私が育った静岡県内の田舎町もそうだった。当時は迷子のお知らせが多く、私が中1の時、祖母も捜索された事があった。祖母は認知症を患っていて行方不明になり、町内の迷子放送で捜索願いも出されたが、行方がわからない最中、足を取られたのか川に入ってしまい、結局亡くなってしまった。それをきっかけに町内放送は私にとって暗い思い出を引き寄せるものなのだが…、そんな感慨に耽る間もなく、湯河原町はどんどん放送を流すのだった。

町内の催し、各種の選挙の案内はもちろん、最近は「熱中症に気をつけて」と「振り込め詐欺に気をつけて」が専らメイン。遠くのスピーカーで一度聞こえ、近くのスピーカーでもう一回。どちらもハウリングして100パーセント聞こえた事はないので、この町の老人たちに届いてるかどうか…。

そして先週の6日、いつもより早い時間に放送が流れた。例によって聞き取りづらく、2回目の近場スピーカーに注意深く聞き耳たててみると「広島」というワードが聞き取れる。そうだ、その日は広島の原爆投下日。数分後、黙祷を促すサイレンが鳴り響く…。

あれから、この聞き取りにくい町内の放送が大切に思えるようになってきた。


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