イグアナの娘
萩尾望都さんの漫画が原作のこのドラマが放送されたのは、今から30年近く前のことか?
どっぷりハマって見ていたのだが、最終回の放送日は、私が東京から波照間島に移住する日だった。
その頃沖縄八重山では民放が二局しかなく、私はドラマの最終回を見ることができなかった。
このドラマの背景に流れている音楽も、私はとても好きで、サントラ版を購入し、本当に擦り切れるまで聴いて、ドラマの世界観に浸っていた。聴きながら目を閉じると、岩に打ち付けられて砕け散る波と、岩の上に立つ、誰かわからない人影がいつも浮かんだ。
先日、某配信サービスでこのドラマが見られることを知った。しかも終了まで一週間!!!
これは見るしかない!!!
1話から、待望の最終回まで一気見した。
いやーーー
色んな意味で感慨深かった。
主演の菅野美穂さん。当時から菅野美穂全開。梅小鉢の高田さんに、モノマネしてもらいたい!と思う場面がなん度もあった。
相手役の岡田儀徳さん。めっちゃタイプ笑。このまま正統派イケメン路線を走っていくかと思いきや、なかなか癖の強い演技派の俳優さんに成長されました🤨。当時から爽やかイケメンの役なのに、どこか影というか暗さがあり、そこも魅力だったが。
今は亡き川島なお美さん。とにかくきれい。本当に美しい。赤ワインが大好きな方でしたが、このドラマでもワインを飲まれるシーンがたくさんありました。
榎本加奈子さん。妹役でしたが、家族の中で一番演技が達者だったのでは?小悪魔という言葉がピッタリ。現在は大魔神とまで呼ばれた佐々木主浩さんの奥様なんですね。さすが!👍。
佐藤仁美さん。彼女が一番驚きました。出ていた記憶がなかったので。菅野さんや榎本さんのような派手さはないけれど、今の面影がしっかり見て取れる正統派美人さん。演技力、存在感◎。
私が最終回を見たかったのは、主人公がちゃんと愛する人と結ばれて幸せになるのを見届けたかったから。
でも、今回一気見して、一番注目したのは主人公の心境の変化。
鏡に映るイグアナから顔を背けていた彼女が、窓ガラスの中のイグアナに微笑みかけるシーンは感慨深い。彼女が笑うとウルトラマンに出てくる怪獣みたいなイグアナも微笑む。それがなんとも可愛らしい🥰。
「私、イグアナでいいの。イグアナのままで幸せになる。イグアナにだって、幸せになる権利はあるでしょう?」
フレーズだけ聞くとクスッと笑えてしまうけれど、そのままの自分を受け入れ、愛そうと決意する主人公の心意気が尊い。そして、一人一人のバックボーンを丁寧に描き、結局悪者が1人もいない岡田惠和さんらしい脚本は、本当に優しい。
最終話、主人公は母親の悲しみや恐れを理解し、自分を愛さなかった母親を赦す。
これは、現実ではなかなかできることではないと思う。若い時ならなおのこと。
でも、それができた時、世界が変わることも事実。
親を赦すことは、自分を赦すことだから。