十四番目の月
コンビニに行こうと外に出たら、月がものすごく明るかった。
調べたら,明日が満月。
ということは、今日は十四番目の月だ。
十四番目の月,で思い出すのは
『さよならみどりちゃん』という映画だ。
今では日本を代表する男優の1人となった西島秀俊がクズ男ユタカ役。ユタカに恋をする女の子ユーコを、かつて金八先生の娘だった星野真里が演じている。
ユタカにみどりちゃんという恋人がいることを知らないまま,体の関係を持ってしまったユーコちゃんは、そのままヅルヅルと都合のいい女になっていく。
どんなに利用されて、酷い扱いを受けても、ユーコちゃんはユタカから離れられない。
最低男と愚かな女のストーリーに,嫌悪感を感じなかったのは、やはり抗えない魅力を放つ若かりし西島秀俊と、えげつないシーンを演じても清潔感を失わない星野真里のキャラクターの力かな、と思う。
それどころか、たまらなく愛しい。ユーコちゃんがどこまでも愛しすぎる。
バカだなぁ、と思いつつも,心の奥の方で「わかるよ」と呟いてしまう自分がいるのは、同じようにバカな恋愛にハマった経験があるからだろうか。
後悔、はしている。
自分も他人も、いっぱい傷つけてしまった。
恥ずかしくて穴があったら入りたくなる。
当時の自分をなぐってやりたいと思ったりする。
でも、その過去をなかったことにしたいとは思わない。
だって、今ここにいる自分は,あの経験の結果だ。
過去が消えたら、今の自分も消える。
きっと今より少しだけ面白みのない自分になる、気がする。
ユーコちゃんは、映画の最後にユーミンの「十四番目の月」をカラオケで歌う。私はこの歌をその映画で初めて知った。
信じられないくらい下手くそな星野真里の「十四番目の月」を聞いて、私はこの歌が大好きになった。
月を見ていたら、久しぶりに「十四番目の月」を歌いたくなった。
彼が帰ってきたら「来週の平日休みはカラオケにしよう」と言おう。
カラオケに行ったら,かつてユーコちゃんだった自分を抱きしめながら、十四番目の月を思いっきり熱唱しよう。