BiSHにハマり続けた一年半のこと
2023年6月29日、BiSHというグループが東京ドームでのライブを以って解散した。
この「楽器を持たないパンクバンド」を称するアイドルグループに、三枝は約1年半ひたすらにハマり続けた。
自分の中でもここまで「推す」みたいなのは人生初のことであり、その気持ちを成仏させて昇華させるために、書き残しておこうと思う。
(言ってしまえばオタクのキモい呟きでしかないので、全然読まなくてもいいです)
BiSHとの出会いと、沼へハマるまで
そもそもBiSHは、2015年1月に結成されたグループである。8年の歳月を経て解散したことを鑑みれば、自分のファン歴はクソ短い。
そんな自分のBiSHとの出会いは、忘れもしない2021年10月10日に放映された関ジャムである。
普段テレビを見る習慣がないため、たまに何もない夜にてきとーにつけているくらいのテレビ流れていた関ジャムから「唯一無二のボーカリスト」という名目で3人くらいアーティストが出ていた。
それがアヴちゃんとmiletと、そしてBiSHのアイナ・ジ・エンドであった。
正直アヴちゃんは全く覚えていなかった(これを書く時検索して「出てたんや!」ってなったし、そもそも出てたはずなのに誰か分からないw)。
miletもその時初めて知って、なかなかに衝撃を受けた。素敵な表現力と、曲と歌詞もとても好きだなあと思った。
ただ、何故かは分からないが、その時のアイナに絶大な衝撃を受けた。ライブの映像などか何個か流れた記憶があるが、その中でもYouTubeで企画されていたファーストテイクの『オーケストラ』の映像と歌い方が、とてつもなくツボに入ったのだ。
放送が終わってたから、ひたすらにYouTubeのファーストテイク映像を見ていた。他のアーティストと比べても、歌のうまさや表現力がある人たちはもっともっといるだろう。
ただ本当に何故かはよく分からないけど、とにかく自分にはめちゃくちゃヒットしたようで、繰り返し見続けていたのを覚えている。
BiSHにハマっていくプロセス
暫くは、YouTubeでアイナ・ジ・エンドが歌っているのを見ていた。
その頃は別にBiSHに興味を持っていたわけではなかった。別に特段アイドルというものが好きというわけではなかったし、アイナがよかったからといってグループ全体がいいかは分からんなあとか思っていた気がする。
とはいえやはりYouTubeでBiSHのライブ動画とかを見て徐々に「なんかいい気がする」ということを思い始めていたりした。
そんな中、三枝の推しを崖から突き落とし急転直下にハマりまくる出来事があった。
以前より清掃員(BiSHのファンの通称)を公言していた友人に「最近、BiSHいいかも…」と口にしたら「DVD持ってくわ」と言われ、ライブDVDを3枚と、DVDプレイヤーがない我が家のために、何故か再生機器まで持ってきてくれた。
貸してもらってから実際見るまでは2週間くらいかかったろうか。時間があるときに「まあ見てみるか」くらいのテンションで多分見たのだと思う。
これもまた忘れ得ない、幕張メッセで行われた「THE NUDO」のDVDだったはずだ。stereo futureから始まりNON TiE-UPで終わる、花道中央ステージありフルオーケストラのライブ(今でも「ああ、この頃からBiSHを知っていたかった」と悔やまれる)だ。
その衝撃たるや。
曲の格好良さもさることながら、その格好よさを最大限引き出すパフォーマンスに、ライブの間ずっと魂を燃やし続けるが如く全力を出し続ける。その姿に衝撃を受け心打たれ。
逃れ得ぬ沼にズブズブとハマる、自分の足元からする音がしっかりと聞こえた。
その刹那に発表されるまさかの解散宣言。月日こそ明言なされなかったが、2023年に解散する旨を2021年末に発表、軽く絶望した。
ファンクラブ加入と初のライブ参戦
ちょうどその頃、コロナ禍でも歌舞音曲の類を、感染リスクを減らしながら開催する流れが来ていた。
BiSHも例に漏れず、2022年4月3日山梨を皮切りに今までライブを開催したことない14都市15公演を行うCOLONiZED TOURが開催された。
ファンクラブチケットが1月初めにセールになったがその当時はファンクラブに入る気はなかったしライブがあることも知らなかったので、特にスルーをしてしまったが、ライブ映像を見ながら着々と「現場に行きたい」欲求が高まり、また清掃員の友人2人もライブに行くとのことで「いやもうこれはなんか行かねばならん」という決意がふつふつと込み上げ…
チケットをなんとか入手するとともに、ファンクラブへ加入。
いよいよ腰あたりまで沼に浸かる準備が整った。
そして迎えた4月3日。
友人2人と車で山梨へと向かう。山梨県立県民文化ホール開催で、あまりライブとかこれまで行ったことはなかったのだけど、あの運動量のライブを文化ホールでやるとかマジで想像つかねえ…と思いながら、グッズ購入のため数時間前に会場到着。
グッズもまだ販売してないのに長蛇の列ができており、並ぶ日並ぶ人みんなBiSHのグッズを身につけていて、楽しみな気持ちもありつつ「果たしてついていけるのか…」という不安が襲ってくる。びっくりしたのは、女性の多さ。アイドルグループとかおっさんばっかりなんちゃうんかという予想を覆すほどには、女性ファンも多くいて驚きだった(とはいえ、マジョリティとしては勿論おじさんw)。
グッズを無事に購入し、長野県にないためどうしても食いたかった天下一品を食い、信玄餅工場にておっさん3人で信玄餅ソフトを食らい、ホール近くの昔やっていた美容室を改修した渋い喫茶店でコーヒーを飲み、入場の時間に。
基本的にいい感じの席は1名予約しかできないため、席は当然ながらバラバラ(三枝は1階21列10番)。ライブのルール的なものやどんな雰囲気なのかネットで適当に調べはしたものの、そもそもライブにあまり行かない、ましてアイドルのライブとかテレビとかのイメージでしか見たことない中、一人で放り出される心細さ・・・隣の人がめっちゃ玄人で、なんやねんこいつみたいに思われたらどうしようみたいな不安を抱えながら、着席してスタートするのをひたすら待つ・・・
BiSHのライブで初めて聴いた曲は「FiNAL SHiT」という、BiSHが解散するにあたって掲げたプロミスのうちの一つ「2022年に12カ月連続で新曲をリリースする」というキャンペーンの、最初にリリースされた曲でした。
薄くて黒い緞帳(?)の後ろでメンバーが歌いながら、その緞帳に歌詞が表示されていくといったスタイルで、解散発表の1曲目にふさわしい歌詞が視覚的にも見えるような演出設定と、そして初めて生で見聞きできるBiSHの姿に、「いや、それはキモすぎるやろ」と一部の方から言われまくる自覚はありつつ、なんかよくわからないけど目頭が熱くなって思わず泣いてしまった。
あの1曲目の感情の奔流は、ずっと忘れられない気がする・・・
そんな感じで、うろ覚えだった曲、知らなかった曲、振りがわからなかった曲とかもありつつ、さすがだなーと思うのは初見でもなんとなくのれるように振りを作っていて、見よう見まねでそれなりに楽しめたこと。
そして、生で聴きたくて聴きたくて仕方がなかった曲も聴けて、それは1曲目と同様に嬉しすぎて涙が溢れてきたり・・・
終わってみればとっても楽しく、そしていろんな感情がごちゃ混ぜになり、言語化が全くできないような感情の状態でホールから退場。
山梨からまたおっさん3人乗った車で塩尻へ向かい、ライブのことについて話したりしながら、それでも整理や言語化や表現できない何かを抱えながら、帰宅。
感想を語る自分に冷ややかな視線とコメントを投げかける妻に大いなる同調をしつつ、また行きたくてたまらない気持ちを抱えて、初のライブは終了した。
2022年に参戦したライブたち
そんなこんなでハマってしまった三枝は、2022年合計5回ライブに参戦。
なんとなく振り返ってみる。
5月29日MONSTER biSH 2022 〜最後にもう一度!絶対に出たいぞモンバス!!〜@さぬき市野外音楽堂テアトロン(香川県)
まさかの香川、2回目のライブにして、遠方の香川へ。
ファンクラブチケット取ったらなんと1列目(A列13番)で、これは行かざるを得ないと、自分でもアホやなと思いながら行くことに。
前日が大学院の対面講義だったので、長野市で講義受けて夕飯食って家に帰ったのが21時くらい。そこから準備して出発が23時。ノンストップで草津SAまで走り、仮眠を取って出発、淡路島を6時くらいに通過するという、なかなかに自分でもドン引きするくらい無茶苦茶な行程。
途中、香川の実家(=前職の同期の実家で、同期がいなくても両親を訪ねて飯食ったり泊まったりする家)に連絡して、朝飯を食わしてくれるということで香川県の綾川町に7:00くらい到着。朝食をいただき、あと何故か米と玉ねぎをいただき、香川の実家で情報収集して、その時ちょうど開催していた第5回かがわ-山なみ芸術祭を見に行こうと、会場となっている廃校で地元のフラダンス集団の音楽を聴きながら、カレーと餃子を食らいつつ、高松の奥座敷さぬき温泉で湯を浴み会場のテアトロンへ。
テアトロンは駐車場がないため、少し離れた徳島文理大学に車を停め、そこからバスで会場へ。会場には結構前の時間に着いたものの既に多くの人がいて、前日にもライブがあったためかTシャツは既に売り切れ。チッチ手書きのなんかかわいい感じだったのに売り切れでちょっと悲しみに包まれつつ、前日夜通し移動した眠気もあって、ギンギンの炎天下の中で芝生で昼寝をしながら待つ・・・
16時前に会場、瀬戸内海をバックにしたこじんまりした屋外音楽堂に、マジでテンション上がりまくり。MONSTER baSHという四国で別で行われているイベントのオマージュということで、BiSH単独ではないライブ。LONGMANと緑黄色社会の2バンドがパフォーマンスを行い、最後にBiSHという流れ。
BiSHがスタートしたのが18:30くらい、瀬戸内海が夕暮れに包まれるというムード的にはめちゃくちゃテンションが上がる時間と気候のなかで、1時間くらいかけて10曲をパフォーマンスしてくれた。
1列目という近さの割にはコロナもあり、あまり前に出てきてくれなかった残念さはありつつ・・・それでもスマホのカメラ向けたらバチバチカメラ目線で写ってくれたりして、1列目の素晴らしさを体感。
何よりロケーションが本当に最高で、正直1曲1曲がどうだったかより、あの日あの場所あの空間でライブが堪能できたということが、その時の情景も含めて忘れられない思い出。ああ、遠征っていいなあ・・・
BiSHが最後に清掃員と写真撮影したのをTwitterに載せたのですが、三枝が写っているとの連絡がきて、なんとも嬉しいものだなあと・・・!あと写真撮影の時に「ちんぽ〜」というのを、緑黄色社会のボーカルのお姉さんに遠慮して言わないのを突っ込まれまくるチッチもめっちゃいいやりとりでめっちゃ和む。よきよき。
夜中に香川を出発し、徳島のネカフェでシャワー浴びて夕飯を食い、深夜の大阪で同僚を拾って、岐阜で降りて下道北上して飛騨山脈を横切って帰ってきたのも、良き思い出。
10月2日 OUT of the BLUE @富士急コニファーフォレスト(山梨県)
MONSTER biSH終了後、その当日22時がファンクラブの先着チケット販売日だったため、徳島のネットカフェを探し当て、滑り込みギリギリで確保したライブ(そのために徳島で高速途中下車するというアホな行為に・・・)。
元々は7月30日に開催予定だったが、メンバーのコロナ感染が発覚し延期となり、代替日程としてこの日となったライブ。
ちょうど会場も富士急ハイランドの横ということで、家族で富士急で遊びながらライブに参戦するというプランが素敵ということで、行きは家族で車で行き、帰りは友人に乗せて帰ってもらうという最強の行程を編成。
昼前に着いて、家族+清掃員の友人という謎の4人でトーマスランドを楽しみ、途中グッズ販売で抜けながら乗り物に乗ったり、トーマスのお皿に乗った昼食を食べたり、観覧車に乗ったりしながら、富士急という家族やカップルの行楽地にアイドルの服を着た黒い集団がいる違和感を楽しむ。
14時くらいに家族が帰宅、開場時間までハイランドの真ん中くらいにある人工芝で寝っ転がったりハイボールを飲んだりしつつ、16:30くらいに開場。
徐々に暗くなっていく空の中、2万人規模の人数のなかでライブがスタート。
席は左袖のかなり前の方(A-9ブロック49番)だったので、舞台真ん中にいるときは少し距離はあったものの、左袖まで来てくれることも多く、そのときには本当に目の前にメンバーがいてテンション爆上がり。
青の衣装もライブのタイトルっぽい感じでとても素敵で、アンコールの赤い衣装もまた違うニュアンスで、このライブは衣装がとても記憶に残っている。
合計19曲をパフォーマンス、みんなでのれるような曲を集結させた感じで。このライブくらいから、ようやくなんとなくBiSHのライブのノリが分かってきて、「合わせなけりゃ!」じゃなく、素のままで楽しめる感じになってきた気がする。
2016年に日比谷野外大音楽堂で開催されたLess Than SEX TOUR FiNAL “帝王切開”というツアーの映像をYoutubeで見て、野外単独ライブの熱量や盛り上がりをとてもとても楽しみにしていた中での、単独野外ライブ。
もうバイブス上がりまくりで脳汁ダラダラ。メンバーもアンコールの時に泣いていたりしたのを見てちょっともらい泣きしたり、これも感情が込み上げてくる、素敵なライブであった。
なお、ライブ以外でも「富士急ってそんなに時間かからず行けるんや」ということに気づき、トーマスランドに味を占めた娘の希望で11月に親子二人で朝の思いつきで富士急に再度行くことに。いい副次的効果!
11月4日 BiSH RHYTHM LiVE '22@横浜アリーナ
4回目の参戦は横浜アリーナ。
数年前にPerfumeのライブに妻と行って依頼の横アリ、懐かしみを感じる場所。
今回は平日に一人参戦で、しかも場所が横浜ということもあり、あまり前後で色々行ったりとかはなく・・・今振り返ると、東京でやると交通の便としてはいいけど、そういった楽しみはあんまりなかったりするなあと。
翌日から行われるBUZZ RHYTHMライブに呼ばれなかったBiSHが前夜ジャックするという謎企画にちなみ、ジャック・スパロウ的な衣装で登場。席はめっちゃセンター&割と前の方で見れてハッピー(センター12列34番)。ライブとしては前後のに比べてスタンダードな印象でしたが、DiSTANCEやNON TiE-UPなど聴きたかった曲がパフォーマンスされて嬉しかったなと。
思えば、東京付近で開催されるBiSHのライブはこれが初めてで・・・ただでさえ人が多い東京で、さらに人が集まってくるヤバさを実感。東京大変、人多いの苦手。。。
12月20日 BiSH FES@代々木第一体育館
2022年最後を飾るのは、年の瀬も迫る12月20日に開催されたBiSH FES。この日も仕事だったので、休んで参戦。
清掃員の友人も一緒だったため、八王子まで車で行ってそこから電車で代々木まで。渋滞を避けつつ日帰りで帰ってこれるルートを取り、昼くらいに出発して都へと向かう。
BiSH FESは解散までの4つのプロミスに掲げられたのを現すように、なんちゅーか、マジで「やりたいようにやったよ!」感が強く、忘れられなすぎるライブだった。
まず、FES前に「出演アーティストの発表」をTwitterでやっていたが、日を変えて動画メッセージを公開した4組出場全てがBiSH。衣装とキャラを変えて意気込みを述べるというマジで意味不明な演出。意味が不明すぎましたが逆に「いやこれは行くしかない」と思い、とりあえずチケット申し込んだら取れてしまって、前回参戦よりそこまで日にちも開かない中で参戦を決意。チケットもアリーナA4ブロック122番という、結構センター前あたりのいい席であった。
ライブは事前のTwitterでの予告通り、4部構成。もちろん全てBiSHだったが、それぞれ趣向も衣装も変えてのパフォーマンス。衣装は1部のエセスク水とアンコールのZUTTOプロモーションビデオの衣装を除いては、ファン投票で選んだ過去の衣装という演出。
第1部の出だしは、ライブの定番『BiSH-星が瞬く夜に』という曲。とりあえず加速度的に盛り上がる曲で、会場はいつもながらの盛り上がりを見せる。1曲目が終了して2曲目がかかるが、まさかの再び『BiSH-星が瞬く夜に』。客席がどよめきながら2回目の『BiSH-星が瞬く夜に』が終わり、流れる3回目の『BiSH-星が瞬く夜に』。そんな感じで、第1部は合計6回の『BiSH-星が瞬く夜に』を流し、うち1曲はひたすら全員でヘドバンをするという狂った感じで終了。楽しすぎてクッソ忘れられないセトリでございました。
第2部〜第4部も趣向を変えながら、それぞれ世界観を映像やセトリの構成で表現。第2部はハシヤスメ・アツコさんの幻(?)の曲「ア・ラ・モード」に面くらい、「Am I FRENZEY?」のリンリンの傘パフォーマンスに興奮し、大好きな「MORE THAN LiKE」がバックにPV付きで流れて興奮し、アイナが解散に向けて書き下ろした「ハッピーエンドじゃなくても」の初披露で歌詞に泣いてしまい、「スーパーヒーローミュージック」の怪獣が全揃いで特に楽しそうなモモコに癒され。
第3部は映像演出付きで、「Marionette」が格好良すぎて、「スパーク」でほっこりしたテンションになり、「FREEZE DRY THE PAST」の狂気的な終わり方に驚き。
第4部はいつものBiSH感で、定番のアガる曲をゴリゴリ披露。
なんか演出も何もかもが色々頭おかしく、でも「やりたいことを全部詰め込んでやったぜ!」的な感じで、ライブの内容的には、一番記憶に残るものだった気がする。とりあえずめちゃくちゃ楽しかった。
2023年に参戦したライブたち
2023年は解散ライブ含めて3回参戦。解散が近づく寂しさ、もっともっと見ていたいという欲求が渦巻き、複雑な気持ちで毎回参戦していた。
3月12日 PUNK SWiNDLE TOUR @ 長野市ホクト文化ホール
5月2日 PUNK SWiNDLE TOUR @ 新潟県民会館
最初2回は、同じホールツアーに参戦。
ホールツアーのいいところは、舞台と客席が近いことだと、山梨以来のホールツアーで実感。どうしてもアリーナや野外設営ライブだと客席と遠いのだが、ホールだと手を伸ばせば届きそうな距離でパフォーマンスをしている。
長野市は舞台向かって左の袖の辺りで、最後に袖まで来て手を振る時とかマジで近すぎてチビった。新潟は中央やや左の3列目くらい。やばい、クソ近い。
3月は地元にBiSHに来てくれるということで、久しぶりに友達の清掃員3人で参戦。ライブ前から近くのスーパーでお酒を買い、会場周辺で飲みながら待機し、終わったらライブで消費したカロリーを摂取すべくデブ活。
5月は地元の小野神社で開催される6年に1回の御柱の前日にも関わらず、一人で新潟へ。祖母の家が新潟にあるが時間がないため立ち寄らず、ライブ終了後に帰宅した頃には0時を越していて、翌日の祭りに耐えうるかドキドキしたのを覚えている。
この頃になると曲も振りも身体に馴染んできて、またこれまで使わなかったサイリウムもガンガン使って推しジャン(推しの歌うタイミングで推しの色をサイリウムでつけてジャンプすること)も自然とできるようになってきた。いい意味で慣れてきたし、慣れゆえに初期ほど感情の動きは減っていきつつ、でもあとは解散ライブだけなのだという悲しさが大きくなっていた。
6月29日 Bye-Bye Show for Never @ 東京ドーム
いよいよやってきた解散ライブ。
友人の清掃員3名と朝5:30に集合して東京へ向けて出発。立川に宿をとったため、立川駅周辺に車を置き、あとは電車へ東京ドームへ。物販に並び始めたのが9:00くらいで、一人はサイリウムを購入し号外の新聞をゲットし、コンビニで酒を買い合流。6月の東京はクソ暑く、日差しが照りに照りつける中でやっとこさ購入できたのが15:00くらいで、グッズの半分くらいは売り切れていただろうか。平日9:00並びでこのくらいなのだから、清掃員の狂気が伺い知れる。
やっとこさ購入できたあとは、ラーメン屋で乾杯し、それぞれの席に向かう。
解散ライブの席はC16ブロックの5番。前から3ブロック目、ステージ向かってかなり右側の最前列であった。通常のライブだとまあまあ近いのだろうけど、さすがの東京ドーム、本当に米粒くらいな感じであった。花道と中央ステージも設立されていたが、なかなかの遠さ。だが、アリーナ席だからまだ近い方だったのだろう。
正直メンバーの姿をしっかりみることはできなかったけど、とりあえず最初から最後まで何回泣いたかわからないライブだった。というか、自分よりも隣の兄ちゃんがクッソ泣きまくってて、それに釣られて自分も結構泣いていた。特に「LETTERS」はずっとライブで聞きたかった曲で、もう前奏に入った瞬間くっそ泣きまくってた。冷静に考えるとキモいおっさんなのだが、泣けるって幸せだと思う。そして清掃員の自主企画で、最後に来るであろう「Bye-Bye Show」の落ちサビで、ピンクのサイリウムで会場を桜色に彩ろうというのも、清掃員有志がピンクサイリウムを配りまくったおかげで会場全体が桜色になり「ああ、これで終わりなのか。。。」という印象に拍車をかけ。
気づけば、あっという間に終わってしまった。
終了後、人混みをかき分け、立川駅に戻り、鳥貴族で飲みながら、おっさん3人で溢れる感情をさらけ出しまくる。その後おっさん3人でホテルの同室に泊まり、相変わらずさらけ出しまくる。幸せなおっさん達だ。
このライブDVDは初回限定版を購入してしまい、今でもたまに観る。娘も観たがるので、一緒に見る。観ながら「サラバかな」の「この手を離さないで」でメンバー全員が映る場面でやっぱり泣きそうになるし、「beautifulさ」でチッチが泣き崩れてたりアユニがサビ歌う時に泣いて歌えない場面でやっぱり泣いてしまう。これからもやっぱり泣いてしまうのだろう。
BiSHをハマった日々を振り返って
改めて書き出してみると、なかなかの熱量で推しまくりライブに行きまくっていた。仕事もあり、会社を共同創業して、大学院にも通い、家庭もある中で、「え、ただでさえ大学院とかでいないのに、BiSHにもいくの?」という妻の冷ややかな反応に懇願をしながらも、何故ここまでハマってしまったのだろうか。
冒頭にも記載したが、好きなアーティストとかはいるはいるが、ここまでの情熱を込めて推しまくることはこれまでなかった。ファンクラブに入ることもなかったし、ライブに自らチケットをゲットして行きまくることもなかったし、ライブDVDやグッズを買い漁ることもなかった。BiSHが解散してこれを書いている1年間も、相変わらずBiSHほどハマることはない。
何故、こうまでハマってしまったのか、本当に謎だ。
別にビジュアルがめちゃくちゃいいわけではない。正直坂道グループの方が一般的にかわいいと言える人たちは揃っている気がする。歌もバチバチに上手いわけではない。というか下手じゃねーかとしか言えないメンバーもいるし、声が出てないこともたまにある。ダンスもバチバチに上手いわけではない、アイナは経験者だけあって身体の使い方とか上手いけど、他のメンバーはダンス経験者はいない。むしろ「運動神経絶対悪いやんけ!」という動き方のメンバーもいる。
何が、ここまで自分を惹きつけたのか。
なんとなく言語化するとしたら「歪さを、歪さそのままに、表現している」ということ。そして、その「歪さ」をそのまま表現する中で生まれるお互いの相剋を乗り越えて、BiSHの6人にしか出せないものを表現しているからじゃないからかなと思う。
アイドルに詳しいわけではないからよくわからないが、一般的にアイドルグループって、そのグループのコンセプトに自分を合わせていき、グループとして一体感や統一感を表現している気がする。そのコンセプトに合う人を選考して、それに合うような練習を繰り返して、アイドルになっていく、みたいな。
でも、BiSHはそもそもが違っているように思う。それぞれが持っている歪さ、何かしらのコンプレックスだったり、できないことだったり、そもそもアイドルに対する違和感的なものだったり、そういうものを「グループのコンセプトに合わして歪さを減らしていく」のではなく、「むしろ尖らせていく」方向で進んでいっているように感じるのだ。
そしてその歪さを持つ6人が、数万人の人を熱狂させるだけのエネルギーを持ってパフォーマンスを行うことに、たまらなく惹かれているのだと思う。自分自身の中に抱える、世間でいう普通さにはどう足掻いても馴染めない、逃れようのない歪さがあり。でもその歪さを尖らせて表現に変えることで、多くの人を惹きつけ熱狂させるエネルギーが生まれる。そのプロセスがたまらなく好きなのかもしれない。
自分の中にも、そういった歪さはあると思う。もしかしたら、誰もがそういったものを持っているのかもしれない。でも、大抵は社会で生きていくために封じ込めたり、「普通であること」をサイレントに求めるマジョリティの中で染まっていったり、同調させていく。でも、そうしなくてもいい、そうしないからこそ生み出せるものがある。そのことは、自分にとってもすごく希望であると思う。
また、BiSHのリーダーであるチッチがずっと「悲しい時、つらい時、憤りを感じた時、このライブを思い出して、頑張ろうって思えるような。そんなライブをみんなと作っていきたい」と、ライブで言っていた。自分はこの言葉がすごくしっくりきたし、多分本当にそう思って欲しくてライブを作っているのがなんとなく感じ取れた。だからこそ、ライブに行き続けたいなあと思ったし、解散した後も、思い出しては寂しさと共に、頑張ろうという気持ちになってくる。
解散後、それぞれのフィールドで、メンバーは活躍している。Xでフォローしているのでそれを見て喜ばしく思ったりしつつ、どうしてもまだ、ファンクラブに入ったり、それぞれの活動を追ってみるといった行動には移れていない自分がいる。
それはやはり、歪さを抱えるひとりひとりが、その個性を発揮したときにチームの中で発生する相剋を乗り越えて、単なる足し算ではないパワーを発揮してきたという、グループとしてのBiSHが好きだったからなのだろう。
何故あそこまで惹きつけられたのか、言葉を尽くしても言語化できない。でも、「〇〇だから好き」という定義と言語化ができてしまうと、それはもうそれ以上にならないのだろう。言葉にできないから、ハマってしまうのだ。そしてこれからも、その言葉にならなさについて考え続けるために、BiSHのことを思い出していくのだろう。
解散1年経った今も、他のアーティストの曲は、娘がダンスでハマったTWICEくらいしかあまり聴いていない。Spotifyで気まぐれに夏やドライブのプレイリストを流したり、特定の気分の時に特定の曲を聞くが、アーティスト単位で「敢えて聞く」と言えば、やはりずっとBiSHだ。もはや病気だと思うが、致し方ない。多分これからも、1年半を思い出しながら、聴き続けるのだと思う。