32歳になったようだ。
2021年1月14日をもって、32歳になったようだ。
昨年はそんな記事を、1月28日に書いている。大体2週間後くらいに気付くのが相場になっているようだ。
相も変わらず特に節目も区切りとも感じていないのだが、花や月を言い訳に酒を酌み交わすが如く、年齢を言い訳に筆を走らせてみたいと思う。
特に、目次もクソもない、よしなしごとである。
31歳になった時に記事はこちらだ。
驚くほど、きちんと書いている。「きちんと書いてある」が故に、色々と面白い。
何が面白いかって、31歳で「とりあえずやりたいぜ!」と書いたが殆どできていないということだ。殆どできていないにも関わらず、31歳はいろいろあった気がするし、特にできなかったことを後悔しているわけでもない自分がいる。昨年のこの時には、予想もしなかった諸々がこの1年間で起きたように思う。
その一つは「COVID-19」であろう。
別に変種のウイルスが発生するくらい個人的には自然の中の一現象であるという認識だが、まさか社会というものがここまで大きな反応を示すというのがただただ驚きであった。未だに驚きを隠し得ないし、それらをいつかは言語化したいと思っている。思っていながら、こんな記事やこんな記事を書いたが、まだまだ言語化しきれない。頭の中を回っているテーマを、うまく吐き出し切れない。
場所を持つ身であり、行政という身であり、地域で生きる身として、その社会への影響の中で色々と変化や対応や行動やウニャウニャを試される1年であった感じがする。
「嫁の妊娠」と「それに伴う変化」も外せない。
何故か引っ越しもしてしまった。ひたすら便利な塩尻市大門から、塩尻市北小野へ市内移住。生活環境がゴロリと変わった。11月には娘も生まれた。未だ嵐の渦中なので何が変わったかよく分からないが、とりあえず1年前とは全く違った生活をしている現在。
と、32歳になったわけである。
この1年で様々な変化があった一方で、変わらない自分もいる。
COVID-19の影響で様々な人の思惑や思考が流れ込むことが増え、また社会の変化の濁流も早くなっていく一方で、変わらない自分もいる。
昨年の記事での「やってみるか」はDoであった。
最近は家で過ごす時間が多いせいかBeが頭から離れない。自身は何のために存在するのか。その来し方行く末について。
離れないが故に、こんな記事も書いたのかもしれない。
1日前に、数年ぶりに思い出した言葉があった。
ルネサンス期に生きたイザベッラ・デステの「夢もなく、恐れもなく」という言葉だ。この言葉と出会ったのは、歴史小説を手掛ける塩野七生の『サイレント・マイノリティ』という著書の中だ。何故かふと思い浮かんできたとともに、以前からそうであったように、自身にすごく馴染む言葉だということを改めて実感した。
慌てて『サイレント・マイノリティ』を読み返そうと思い家の中を捜索。ただ、往々にして「好きな本ほど家の中からなくなっていく」という自分のお気に入りの本を他人にあげたり貸したまま忘れる癖を遺憾なく発揮して(梨木香歩の『家守奇譚』なんか多分10回くらい買っているんじゃないか)見つからず。代わりに『男の肖像』を昨日から読み返している。
先日、私の敬愛する増村江利子さんがこんな事業をスタートした。
先般から話は聞いていたのだが、Webサイトを見て驚いた。
一つの製品に対して、ここまで「STUDY」と「FAQ」を設けるのかというのがひたすら驚きで。この驚きは愛をもってどこかで記事に書きたいのだけれど(ああ、どんどん書きたいものが溜まっていく。「積ん読」とはよく言うけど、これは何と言えば良いのか)。
何というか、その記載しているもの隅々に、増村江利子さんの思想と生活が染み渡っているような気がして。ごく単純に「ああ、この事業って、江利子さんの生き様なんだなあ」としみじみ感じ入ってしまったわけです。
『男の肖像』の西郷隆盛の項に、こんな記述がある。
男には、その生涯にどれほどの仕事をしたかによって存在理由を獲得する型の人物がいる。また別に、彼が存在すること自体に意味があり、それがその男の存在理由の最たるものになっている型の人物がいる。
塩野七生らしい解釈だなあと思う。
一方で、その2つは決して二律背反ではないとも思う。
いつか、私がBambooRollに対して感じたのと同じように「この事業は三枝の生き様そのものだよね」と言われてみたいと思う。
そのためには「自分の生き様」なる、未だ実態の掴めないものを、自身で向き合っていかねばならぬと思う。
変化していく世の中や、自分が身を置く環境の中で、それでも変えることができない自分の芯のようなものを。
「夢もなく、恐れもない」目線で見つめて、しなやかに体現していく。
その本当に一端の一端の手触りでもつかめれば、良い32歳であるように思う。
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