クイーンズタウン、ここがすごいと思いました。

この仕組みは素晴らしいな!と思った点は数えきれないほどありますが、あくまでも自分の知ってる範囲ですがクイーンズタウンのマウンテンバイカー向けの施設で個人的に「なるほど、これはすごいな」と思ったものは主に2点ありました。

・Queenstown Bike Parkの規模(小ささ)

・Dream Trackという最高にとがった設備の存在

です。

一つ目としてQueenstown Bike Parkの規模についてですが、Queenstown Bike Parkはバイクパークとしては面積がとても小さいんです。

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マウンテンバイカーなら普通は「大きい山で長いトレイル最高!」となりがちですが、狭い範囲で最高のクオリティのトレイルが幾重にもあったらどうでしょうか。

ゴンドラの標高差は400mほど、地図上で見るとゴンドラからアクセスできるトレイル網は約1.5㎞四方で収まる範囲にバラエティに富んだトレイルが10数本あります。

「ゴンドラアクセスなら山は大きく、トレイルは長く」というのが理想だと思いがちですが、この規模でこのパークが世界中の人から愛されている理由は単純にトレイルのクオリティの高さだと思います。

山の地形も比較的急峻で岩や根っこなども多いですが、そんな地形をもうまく活用しながらトレイルを作っています。

チケット料金はそれなりに高額で、シーズンパスで$850(クイーンズタウンマウンテンバイククラブQMTBCの会員になるとたしか$700)、1日券は$110です。バイクパークスタッフはおよそ10人ほどで、バイクスタッフはゴンドラスタッフとトレイルメンテナンススタッフがいてローテーションで回しているようでした。

ゴンドラの山頂は自走でも町の中心から30分かかるかかからないかくらいなのですが、ゴンドラ山頂からトレイルを乗り継いでRude RockやBen Lomondなどのトレイルにも行けますし、自分はいつもゴンドラに乗ってパーク内のトレイルを走りつないでDream TrackのあるWynyard Bike Parkに行っていました。

そういった周辺トレイルへのアクセスの中心にあるという見事な立地、小さな規模ながら非常にハイクオリティなトレイル網でみんなに愛されているバイクパークは素晴らしいと思いました。白馬岩岳バイクパークのスタッフとしても、学びたいことが山のようにあります。自分が今の立場になるとわかっていたらここで働いていたのに…


もう一つ、Dream Trackの存在についてなのですが。

10m級、最大で17mのジャンプが10個ほど続くこのラインはもともとフリーライド系のフィルムの撮影のために作られたようです。

とにかく、公共のジャンプとしては大きいです。

誰でもアクセスできる大きいジャンプとなると、当然それを管理する側としては大きなリスクを背負うわけですがここの管理責任は上述のQMTBCが担っているようで、補修作業はトップライダーのコナー君をはじめとしたローカルたちとQueenstown Bike Parkのクルーが担っています。自分が来たときはリニューアル造成の真っただ中で、コナー君の指揮のもとでビルド会社と共に作業をしていたのでちょこっと作業に参加したりもしていました。

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自分の求めていたものがビックジャンプだったのでこういう場所に巡り合ってきましたが、カムループスとクイーンズタウンのような高リスクで利用できる人が少ないビックジャンプ(普通に考えたらコスパ最悪、マウンテンバイクコミュニティーにとっては恐らく諸刃の剣)が公共に存在できる町にはその存在を支える仕組みと人がいるということなので、学べることが非常に多いです。

クイーンズタウンに関して特筆するべきは「洗練されたローカルクラブの存在」だと思いました。カムループスではあまり感じることがありませんでしたが、クイーンズタウンの肝はここだと思います。

彼らの仕事は自分の想像の範囲をゆうに超えていると思いますが、例として場所によってはクラブによって設置された看板には場所を特定する番号と共に、地元の救急への電話番号が直接書いてあります。これはクラブと救急の間に情報共有がなされていて、何かあった場合に直接救急から助けが来れるような状況と合意ができているということだと理解しています。

その状況を実現するには、地元の評議会、警察、消防、救急などとの連携をしっかりとったうえで、マウンテンバイクはその手間を相手にとらせるだけのメリットを町に提供できるということを上手に説得、実証できているのだろうと思います。

観光地として訪れた人に楽しんでもらって成り立つ町としての土地柄が大前提としてあるので特殊な事例ではありますが。お客さんが多い分、その責任も大きいので非常に多くの仕事を高いレベルでやってのけているのは想像がつきます。

どの地域でもトレイルネットワークを地域に溶け込ませるのは簡単なことではないと理解できますが、クイーンズタウンのトレイルは

・比較的小規模な範囲での濃密でハイクオリティなトレイルネットワークとそれを実現している計画性

・多種多様な観光客がいる中でのトレイルの存在感と多様なニーズを取り込むバラエティさ(ライダーではない人から世界のトップライダーまで)

が、ちょっと想像を絶するレベルの高さのように感じました。

クイーンズタウンのトレイルの成り立ちを知るためだけでも宝の山だと思うし、広くニュージーランドの仕組みを理解するためにはニュージーランドに住みたいと思わざるを得ないわけです。

次はクイーンズタウントレイルとその他のNgā Haerenga New Zealand Cycle Trailsについて。

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