カムループス
カムループスは人口約10万人、かつてはゴールドラッシュと鉄道の往来で栄えた町でバンクーバーからハイウェイを使って車で4~5時間のところにあります。一次産業が主で、自然公園や湖畔のキャンプ場などは沢山ありますが全体の中で観光業がそこまで盛り上がっている印象はないです。
この地図を見たらわかりやすいですが、南BC州のほぼ真ん中に位置しています。車で3時間圏内のケローナ(Big White Resort)、バーノン(Silver Star Bike Park)といったマウンテンバイクが盛んな地域があり、ウィスラーへ行くにもバンクーバー経由か、直接山の中を抜けていくなどすれば半日で行ける距離です。
カムループスには町の要所要所にトレイル網があることはもちろん、目的地(desitination)になるような場所はいくつかあり、町の中心からは少し離れていますがリフトアクセスのあるSun Peaks Bike Park、自走で上がれる範囲で特大からビギナー向けまでのジャンプ天国でダウンタウンから車で5分くらいで自分が通い詰めていたKamloops Bike Ranch、ダウンタウンから車で20分くらいのところにあるHarper Mountain bike Trailなどがあります。
冬はもちろん雪が降りますが、中心地は西部劇に出てくるような荒涼とした気候が特徴的で他の山岳エリアよりもシーズンが長いです。たしか、早い時は4月初旬から10月の終盤まで乗れた気がします。
コアなところをあげたらきりがないのですが、一般的なビジターが訪れる場所と言ったらそんなところだと思います。
なんとなく町のイメージが湧くでしょうか?こんな条件だからこそ、観光で成り立っているリゾートではないにもかかわらずBC内ではウィスラーに次ぐ経済効果が見込まれるマウンテンバイクの町であるのは納得がいきますね。(pinkbikeの記事より)
フリーライドの世界では伝説的な場所であり、コアなライダーも多いカムループスですが一般的なレベルで町としてマウンテンバイクを盛り上げようと動き出したのは比較的最近のようです。
2015年にTourism kamloops(役所)とKamloops Bike Riders Association(バイククラブ)がパートナーシップを組んでマウンテンバイクツーリズムの動きが始まったようですね。公にレポートが公開されていませんが、同年にMountain Bike Tourism Symposiumが開かれています。(pinkbikeの記事より)
自分が初めてカムループスに行ったのが2014年でしたが、翌年の2015年にはKamloops Bike Ranchにベースのジャンプエリアに夜間用の照明が町によって設置され、夜の11時に自動で照明が切れる仕組みができ、バイククラブによるエアバックの設置なども行われていました。
町によってライトが設置されたことで分かるように、バイクランチは他のトレイルと同様に公共の施設です。町の中でバイクの施設にどのように予算が割り振られているのか詳しくは分かりませんが興味深いところですね。カムループスは地元のギャングの抗争などもたまにあり、治安が悪いエリアもある関係からかスケートパークと同様にバイクランチも青少年の健全な育成という観点からも予算が割り振られているという話も聞いたことがあります。
バイクランチのコース造成と日ごろの整備を行っているビルダーのブラッドの話では「シティーから各バイクショップにバイク振興の予算が下りてきて、名目上バイクショップからお金をもらって整備してるんだよ」とのこと。本来なら公共事業として競売にかけないといけない所ですが、他に担い手がいないからそういう形になったのかもしれませんね。今はどうか知りませんが。
「合板の仕事の方が儲かるし、俺のやりたいことに町が口を出してくるようならすぐ辞めてやるけどな!はっはっは!」と言っていましたが、そのおかげで無料で大きなジャンプが飛べる環境があるわけですね。
この土地はもともとはゴミ溜めで、ちょっと土が掘れるとすぐにゴミが出てきます。そこに創成期のハードコアたちが勝手にジャンプを作り出したのが始まりだそうです。話は変わりますがLooseFestの会場であるベルギーのFerme Libert Bike Parkももともとはゴミ溜めらしく、白馬、落蔵のSKDPもそれに近い状態だったのをこうへいさんをはじめ皆さんがきれいにしてくれた場所。自分はそういう場所に縁があるようです笑
話を戻しまして、pinkbikeの記事の内容を要約しますと。
(恐らく2015シーズン)年間を通して7300人のビジターがマウンテンバイクをしにカムループスを訪れていて、内61%がBC州から、27%が国外からの旅行者とのこと!先に述べた通り、フリーライドの世界では有名な場所なのでこの数字には納得がいきますね。
その他に
・全体の79%が男性
・全体の27%が25歳~34歳、18%が35歳~44歳、12%が45歳~54歳、8%が15歳~24歳
・全体の50%の年収が$100,000.(これはすごい…バイクランチにいると、金のなさそうな若者がほとんどでしたが、下の項目にもあるようにカムループスの立地を中心とした他地域も合わせたトリップをしている人が多いと考えると妥当かもしれません)
・うち多くのビジターが平均3.8日間のロードトリップの途中で平均2日間の滞在
・一日の平均支出が$76(はめを外さなければこのぐらいで十分楽しく過ごせると思います)
・満足度は10点中の9.1点(トレイルのクオリティーも高いし、マップ分かりやすいマップもあります。オープントレイルは看板も要所要所に設置されていたと思います。住んでいる時はもっと面白いグレーのところばっかり行っていたので正直あんまり知りませんが)
・84%の人が公認トレイルしか乗らないと言及(これは公共トレイルを広げたい立場の人からしたら大きな追い風ですね。ビジターであれば十分楽しめる数のトレイルはありますし、難易度も多様です)
ここからは自分の感想と意見ですが、豊富なトレイルを有していること、ウィスラー、バンクーバー、ケロウナ等マウンテンバイクの盛んな周辺地域の真ん中に位置していることに加えて、他の地域では味わうことのできない特殊な気候と土質(ほぼ砂漠)、雨が少ないのでビジターにとっては安心、リゾート地と違って一日当たりの必要コストが抑えやすいのでロードトリップで他の地域と合わせて訪れることができることなどが魅力だと感じます。
マウンテンバイク利用者のリスクへの対応ですが、これに関しては恐らく自己責任という言葉に対する感覚の違いがあるような、ないような…カムループスのトレイルヘッドやバイクランチにおいても「リスク管理しっかりしてるなあ」という印象はありません。「けがしたら自分の責任だろ、それが分かってやってんだよな」という感じのような。
マイナスだと思う所は、夏場の昼間は暑いです…砂漠なので非常に乾燥していて、日本での体感とは全く違いますが最高気温は35度近くにもなります。普通の人ならとても外で自転車に乗って汗をかくなどしようとは思わないですね、ただ夏の盛りは夜の9時過ぎまで明るいので昼間は涼しい山岳エリアの木陰でビールですね笑
あと、ノースショアエリアとダウンタウンの一部は治安が悪いことでしょうか、実質気を付けていれば大丈夫だと思うけど印象は良くないですね。
カムループスに関しては資料が多くないので、ほとんど自分の感想になりましたがローカル感の強い場所なのでそこまでする必要性を感じていないのかもしれませんね。それにしても個人的には良くも悪くも面白みに尽きないカムループスがこれからどうなっていくのか非常に楽しみですし、特殊性をいかした仕組みをどう作っていくのか興味が尽きないです。
次はクイーンズタウンについて書こうかと思いますが、クイーンズタウンやニュージーランドは住んでいた時に資料もたくさん調べたのでとんでもない長さになりそうですし、まだまだ知らないこともたくさんあります。
上手いことまとめられるかな~
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?