Vyondにおける差別化の終着点
動画制作のフリーランスとして活動しているだいすけといいます。
動画制作に関するブログも持っているのですが、ブログに投下するほど有益なものでもなく、かといって140文字制限のTwitterで収まる思考でもなかったので消去法的にnoteになった次第です。
なのであまり深く考えずラフに書いてます。
表題の通り、このnoteの内容は「Vyond」強いては「Vyondクリエイター」についてです。
現在私はAfterEffectsで動画の制作をしております。ただ元々はゴリゴリのVyondクリエイターです。
実際にVyondで多くの企業案件を制作してきましたし、VyondについてのBrain教材も販売しセレクションにも選ばれております。それくらいVyondについては精通しておりました。
そんな私が、Vyondについて感じることを気の向くままに書いたのがこのnoteです。
前置きが長くなりましたが本題に移りたいと思います。
Vyondクリエイターの進化
先にこのnoteで話す内容の結論をお伝えします。
それは「Vyondクリエイターは進化の末に一周回って差別化がなくなった」ということです。
で、誤解を招かないように言うとこのnoteの趣旨は「Vyondで企業案件は難しいだろう」ということではないです。というかむしろ逆で「Vyondで企業案件を取れることがスタンダードになってきた今」について自論を語っていく次第です。
これは決して上から目線で偉そうなことをほざくスタイルではなく、「AfterEffectsでの制作が主になりVyondをより客観的に見れるようになった人間の単なる個人的なたわごと」なので鼻をほじりながら見てください。
それを踏まえてつらつらと書き綴っていきたいと思います。
まずVyondクリエイターには、そのVyondという非常に差別化を生み出しにくい特徴から【いかに差別化を図るか】という部分に重点を置いて苦悩を重ねた進化の歴史があります。私は比較的新参者ですので認識に間違いがあるかもですがこれから綴る流れは大方合ってるかと思います。
とりあえず何も考えずテンプレで通用していた黎明期
5Gだの動画2.0時代だの言われ始めていた動画需要加速時代に「え、こんな簡単にアニメーションが作れるツールがあんの!?アニメーションってそれ専門の学校でたり制作会社に5年くらいいないとできないんじゃないの!?ファンタスティック!」と副業、フリーランスを目指す人たちの心を鷲掴みにし、まるで遅れてやってきたヒーローの如く後光を射しながら我が物顔で浸透しだしたツール。それがvyondです。
おそらく2019年とかだと思います。(Vyond自体がビジネス向けサブスクリプションサービスを開始したのは2013とかですが日本に到来して流行り出したのは比較的最近だと思います。)
先行者利益から、一切何も考えずテンプレの数珠繋ぎでアニメーションを作ってもそれ自体に価値がついていた時代かと思います。たまーにネットでも「その頃の制作物だろうな」というものがちらほら落ちてたりします。(このころまだ私はVyondの存在を知りません)
スカッと系などのYoutube案件として使われ出す過渡期
テンプレとの差別化を図るため1コマの作り込みに重点を置き始めた過渡期。スカッと系などのYoutube需要に沿ってクリエイターの腕も進化していった時代。おそらく2019~2021にかけてこのYoutube需要にのっかりVyondを使った副業勢が一斉に増えた時期かと思います。間違ってたらすいません。(私はここでもまだVyondの存在自体知りません)
差別化を図るためにデザイン要素を入れ始めた発展期
スカッと系などの影響でVyondに対して安っぽいイメージが浸透してしまった中「いやいやまだYoutube案件で消費してるんですか」と言わんばかりに企業案件のマーケットに突っ込んでいった猛者が現れた時代。デザインを学びVyondに落とし込むという「デザイン✖️Vyond」で差別化を図った時期。
今もVyondをやってるかわかりませんが、本格的にVyondにデザインを落とし込み、HPをしっかり作りVyondで超高単価企業案件をぶん取りにいったクレメアさんなどがTwitter上で名を上げてました。
過渡期の「足して足して足しまくる差別化」から「引く、整える、デザインする差別化」の道ができた発展期。おそらく2021~2022にかけてこの「Vyondで企業案件を取る」という道に方向転換した人が多かったかと思います。(私はこの2021に初めてVyondを知って足を踏み入れた者です)
さらなる差別化を図るために外部素材を融合させた成熟期
発展期のスタンダードだった「Vyondで企業案件」=「デザイン」。
そこからさらに差別化を図るために進化した成熟期では「デザイン+外部素材」がスタンダードに。
多分これに関しては僕が最初なんじゃないかなと思ってます。(間違ってたらダサイんで先に謝っておきます。すいません)
僕からしたらAeに対抗するための苦肉の策だったのですが、
このCHOKINというポートフォリオを出した後にVyondクリエイターが一斉に外部素材を使ったポートフォリオを作り始めたのを覚えています。
Vyondにはイージング機能が備わっていないので(備わってはいるが現時点では使い物にならないレベル)、AfterEffectsのなめらかな動きには及びませんがそれでも「デザイン+外部素材」を使うことで大きく企業案件獲得に近づいた時代かと思います。
Vyondにおける差別化の終着点
このように差別化のために工夫と進化を重ねたVyondクリエイター。
さてここから本題ですが、このnoteの表題にもあるとおり私は現在の「企業案件を取るためのVyond動画の差別化スタイル」が工夫と進化の終着点に到来したと考えています。
これは良い悪いとかではなく、スキルで差別化できる手段はもうなくなったということです。言い方を変えれば「もうこれ以上の型はできない」ということ。
その理由はVyondというツール自体がAfterEffectsに比べ多機能ではないからです。ツール自体にゴリゴリのイージング機能などが実装されない限り、クオリティアップのためにこれ以上やれることがないという頭打ち状態なわけです。
となると新規参入者はこの正解の型に向け一直線に駆け上がり、古参者はこれ以上差別化できることがないので「企業案件獲得のための正解を会得したVyondクリエイターが飽和する」といった状態になります。
これこそまさに冒頭でお伝えした「Vyondクリエイターは進化の末に一周回って差別化がなくなった」という状態、つまり「Vyondで企業案件を取るための正解を会得したにもかかわらず、同じ型を知っている人間が多すぎて自分のところに企業案件が回ってこない」という状態なわけです。
Vyondクリエイターの進化にVyondの機能が追いついていないせいで差別化が頭打ちになってしまっているのです。
というかVyondは「日本のVyondクリエイターが企業案件を取るための有能な機能を実装する」などは1ミリも考えないと思うので追いついていないというよりかは「よりVyondらしさを追求するために我が道を行く」と言った方が正しいのかも知れません。
現に革命的な新機能実装より素材の追加の頻度が明らかに多いと思います。新機能実装も不便だったものが便利になったという方向性のものがほとんどです。
そう考えると「これからもしVyondが新機能を実装したらまた差別化図れるもんね」の希望は限りなく0に近いわけです。現に今までの差別化の歴史もVyondの機能とは全く無関係のところで進化しています。
話をまとめるとこんなイメージです。
これからのVyondクリエイターの目指す道
じゃあどうすりゃ良いんだよってことになるんですが、私が考える道は3つです。
①営業力をつける
②専門性を上げる
③独自性を上げる
順番に説明していきます。
①営業力をつける
「Vyondで企業案件を取るための1つの正解の型」=「デザイン+外部素材」これを会得すれば企業さまが納得できる内容を表現することは可能かと思います。
ですがその正解の型というものを知ってる人が多い今、企業案件レベルに通用することと自分のところに企業案件が回ってくるのは別です。
となるとどこで差別化を行うかといえばVyondに依存しないフェーズになるんですが、その1つであるデザインでの差別化要素は頭打ち。
ならばもっと別のフェーズ、その一つが「営業」かなと考えます。営業といっても別にオフラインの対面だけではないです。例えばHPを作ることも営業ですし、Twitterにハイペースでポートフォリオを投下するだけでも十分営業としての差別化は図れます。
「さーてポートフォリオ1個作ったしあとは茶でも飲んで寝転がって依頼でも待ちますか」といった心持ちで案件が獲れるという事はありません。
なんにせよスキルで差別化を図れなくなった今、案件を獲る力というものがより一層必要になったんじゃないかなと思ってます。
企業案件の正解の型を身につけたらさっさと独り立ちして自分で外に飛び出して営業しまくることが一つの正解なんじゃないかなと思います。
ただ誤解してほしくないのは営業をやるにしてもデザインスキル等をしっかり身につけていることが前提です。
しっかりと相手を満足させるスキルがないのに営業に精を出すのは、クライアントからすれば路上のキャッチに半ば強引に連れてこられた先がぼったくりバーでしたってのと変わりません。
依頼を制作する力と別に依頼を獲ってくる力、これは営業テクニックとか心理学とかそういうのじゃなく要はジャングルでのサバイバルのように場数を踏んで自信と経験をつけ依頼を獲ってくる力を養うことが差別化につながっていくと思います。
②専門性を上げる
差別化には2種類あると考えていて、1つは広げること。つまり動画制作以外でHPも作れます的に間口を広げることでライバルをなくすといった差別化。
もう一つは逆に縮めることだと思います。つまりよりニッチな範囲に絞ることで自分の専門性を上げることです。
例えばVyondでPR動画作りますではなく、「SNS広告の画角に特化したアニメーションを20秒専門でやってます」など。これならAeのようななめらかな動きはいらないですし外部素材とデザインで成り立ちます。
その道に特化してシナリオライティングを極めてそのうち「20秒で動画を作る時の50の型」とかBrainに出したらその道の権威性も出るのではないでしょうか(無責任に適当なこと言ってる感じですがなくはないと思います)
その他、例えば美容クリニック専門でPR動画、施術説明動画を専門的に取り扱うなどのニッチな活動がその道の専門家として目を引く可能性があるのかなと思います。
③独自性を上げる
Vyondは「デザイン性と外部素材」の融合を突き詰めると「AfterEffectsの下位互換になってしまう」というジレンマが存在すると思っています。
つまりVyondでライバルとの差別化を図るためにクオリティを上げすぎたが故に今度は敵がAfterEffectsになるという恐ろしい事実。。
例えるなら、強豪校に入ったバスケ大好き高校生が「部員多すぎて試合に出れない」と渡米したが渡米先の練習でバチボコに叩きのめされると言うようなイメージです。
それならば同じバスケというものを軸にしながら少しだけズラして「ストリートバスケ」や「バスケパフォーマンス」といったものを突き詰めた方がその道で芽が出る気がします。
このように同じVyondを使ってもやることに独自性があれば差別化につながるのではないかと思います。
例えば「人形劇風にしてVyondのキャラの手足に棒をつける」であったり
紙芝居風のVyondを作ったり
誰かVyondで絹枝にパンをぶちこんでもらえませんか
これはちょっとおふざけがすぎましたが、一周回ってVyondらしさと言うかVyondの良さを発揮できるような形が新たな差別化につながる気がしています。
クリエイター同士はライバルではないという考え方
ここまで読んで「差別化差別化うっせーわ。あなたが思うより仲良しです」と思った方もいるかも知れません。確かにおっしゃる通りです。むやみやたらと敵を作ったところでいいことなんて一つもありません。むしろマイナスです。
ですが若干の危機感を感じここまで読み進めてくれたあなたならこうも思いませんでしょうか。
そのためにも腹の中では常に周りの一人一人がライバルと思い、差別化を意識して独自の道を切り開き傷だらけの体になりながら、その上で仲間に情報をGiveし合うのがWinWinというものだと思います。
無責任で投げっぱなしな文章になってしまったかと思いますが、おそらく現Vyondクリエイターの中にも私と同じような危機感を感じている方はいるはずです。
スキルは絶対的に必要ですが、スキルで差別化できるVyondの時代は終わったと思ってます。逆にスキルで差別化できる時代は終わったからと言ってスキルを学ばない人は超ナンセンスかなとも思います。ゆーてスキルはありきです。
せっかくこんなに優秀なVyondクリエイターさんがたくさんいるんですから気づいたらYoutube案件で叩き売りされるなんてことはあって欲しくないと思ってます。
なので誰か革新的なアイデアでゴリゴリと新たな道を開拓するような方がいたらいいなと思い執筆しました。(なんという他人任せ)
1日で書き上げたせいでお粗末で無益な文章になりましたが動画制作界隈、Vyond界隈がもっと盛り上がっていけたらと思ってます。
今後ともTwitterでもよろしくお願いいたします🙇
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