小児の小腸小腸重積 Benign small bowel intussusceptions (Benign SBI)
今回の内容は小児腹部エコーに携わる医療従事者向けです
こんばんわ。みけです。腸重積のスペルを間違えずに書ける人は尊敬します。
さて、皆さんは小児の腹部エコー検査する機会ありますか?回腸結腸型は治療適応というのはわかるとして、小腸小腸型の解釈に悩んだことはないですか?
今回はちょっと古い論文ですが、個人的に良いと思ったので、紹介です。2004年の論文で、キムさんなので、韓国の方でしょうか🤔
小腸小腸重積をどう扱うか?
結論から述べますと、小腸小腸重積はよーく観察すると、実は結構存在してて、自然整復されているということなんですね。私も経験上、非常に同意です。日本のDoi 先生は次のように述べています。
良性腸重積と呼んでもいいのではないかということです。この言葉は一般臨床には受け入れられてないかもしれませんが、理解としては分かりやすいですね。しかしながら、外科的介入の必要性がある小腸小腸重積もその中に紛れ込んでいる可能性もあるので、そこをどう鑑別するかがポイントになってきます。(ん?じゃあ対義語は悪性腸重積?こっちはちょっと言葉の破壊力がありすぎますね💦)
良性腸重積と診断するポイント
結果と取りまとめると、筆者が述べたいことは以下のところに集約されるみたいです。
つまり、
1. 重積部の外径が小さい (2.5cm以下)
2. 重積範囲がショートセグメント (3cm以下)
3. 重積部腸管に蠕動がある
4. 特異的(病的)先進部がない
というわけです。なるほどなあ。確かにそうだなぁ、と納得。1と2はある意味関係してて、ショートセグメントであるが故に、内筒にリンパ節や腸管膜などが巻き込まれないということでしょう。回腸結腸型とは全くサイズ感が違います。
腸重積はなぜ起きるのか?
腸重積の要因としては、先進部形成、腸管の非協調性蠕動、管腔径差の不一致、解剖学的要因などが言われています。
(ここからは個人的な解釈でエビデンスに基づかない仮説です) こういった一過性の可逆的小腸小腸重積をみていると、ウイルス性腸炎に合併していることが非常に多いように感じます。小腸小腸型なので基本的に口径差はないはずですから、ウイルス性腸炎による非協調性蠕動に、子供ならではの腹腔スペースの小ささが影響しているのではないかと思っています。エコーでお腹の中を見ていると内臓脂肪もないので腸管は密に配置されており、その限られた逃げ場のないスペースで腸液による偽性の一過性口径差と腸炎による非協調性蠕動で緩やかに陥入するんじゃないかと。私の勝手な仮説ですね。
まとめ
大切なエコー所見はショートセグメントの小さな重積であり、病的先進部を伴わず、内筒の蠕動が確認可能ということです。検査中に自然解除される例も多いですし、翌日フォローで消失を確認したりします。
いかがでしょうか?検査のポイントはわかっていただけたと思います。元論文には画像もあるので、一度見てみるとよいですね☺️
元論文はこちら↓↓
https://www.kjronline.org/DOIx.php?id=10.3348/kjr.2004.5.3.178