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下部消化管(大腸)を攻める 後編

前編の続きです。前編のリンク貼れてるかな? 

https://note.com/daisukemuller/n/n1103b6f5cdee


解説イラスト

④  下行結腸を同定する

王道の攻め方としては、横行結腸から連続で追っかけていくのですが、その場合は、左の肋間を跨ぎながら脾弯曲部まで到達します(③→④)。ただ、これもなかなか難しいので、④'の方法(下行結腸から逆走)をおすすめしています。

横行結腸を同定できて、そのまま心窩部〜左季肋部で追えるとこまで追うことができたら、先に下行結腸を同定します(④')。脾弯曲は一旦保留です。下行結腸も上行結腸の時と同様に、最外側、最背側の動かないガス像をメルクマールに探します。ここで少し注意点。

* 下行結腸を探すコツ
1.  上行結腸は便が溜まっていることが多いが、下行結腸は内容物が少なく虚脱している場合が多い(元々径も違う)。上行結腸を探す感覚で行くと見つけにくい。
2. 最外側、最背側にない場合がある。最外側が小腸である場合があり、その場合最背側の動かない腸管を探す。最外側・最背側をきっちり判定するためにも同定するまでは正面から垂直にお腹にプローブを当てる

下行結腸を同定できたら、今度は保留にしていた脾弯曲を探しに、口側方向に逆走します(④'-1)。下行結腸を見つめたまま、そのままプローブをスーッと頭側にスライドさせていくと、左の12番肋骨に当たり、物理的に脾弯曲に到達できなくなります。ここから先も以下の2パターンあり、

④' -1 -1  左肋間に沿って、1肋間ずつ上行していく。浅いところに下行結腸が出てくるのでリニアプローブ推奨。
④' -1 -2 左肋間に進まず、12番肋骨下縁に接している状態で患者さんに深吸気をしてもらう。そうすることで大腸が足側に降りてくるので、肋骨の下をえぐるようにプローブを寝かして見え上げるような感じで迎えうつ。すると腸管(輪)が短軸(ハウストラ)から長軸に変わるので、そこが脾弯曲。

どちらのパターンでも大丈夫ですが、大事なことは脾弯曲を同定した後、しっかり横行結腸との連続性があることを再確認することです。それぞれメリットあるので、大体は両方の方法を試みることが多いです。

⑤  S状結腸を追っていく

下行結腸から追いかけていくと腸腰筋と交差する部分があり、この辺りがSD junctionになります。このポイントは比較的体表浅いところにあり、場所も当てやすいので、治療モニタリングしやすい部位と思います。

S状結腸のポイントは
1. S状結腸は固定されていないので、走行にバリエーションがある。
2. したがって、壁の連続性を意識しながら丁寧に追跡していくことが重要。
3. 浅いところから深いところへ向かっていくので、自分の消化管ガスで被って走行がわからなくなることがある
4. これらのことから、ある程度の限界はある

なかなか追跡が難しいということで、S状結腸憩室炎などがある場合は、「脂肪織肥厚(高エコー)」といった壁外情報に気がつくことも重要です。

⑥  直腸を諦めない

直腸は基本的に蓄尿時に見るということが一番重要です。肛門から追っていけば比較的追跡しやすくなります。コンベックスプローブによる評価になるので、過小評価しがちになるので、小さな評価に気がつけるように普段から意識しましょう。逆に蓄尿さえできれば音響窓が取れやすくなるので、十分検査対象になるはずです。

まとめ

ということで、大腸の見方を2回にわたってまとめてきました。倫理的配慮や個人情報保護の観点から実際のエコー画像を載せるのは控えていますので、実際のテキストなどを見ながら読んでもらうとイメージしやすくなると思います。

by みけ☺️

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