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【社内報を作る】媒体を考える

 以前は紙の1択でしたが、最近はWEBが加わり、かなり複雑です。しかし、なんとなくWEBにすると失敗します。そこで今回は媒体の選び方について考えます。

前提 社内報は買わない

 社内報を作る際、お金を出してまで読まれるくらいのものにしろ、と言われましたが、それは理想論。実際は雑誌すら買わないご時世、社内報にお金を出す社員は、意識が高いほんの一握りの人だけです。つまり読まれない前提で考えなければなりません。

紙はプッシュ型、WEBはプル型

 でも社員は、配られた社内報を案外読んでいます。それは紙媒体で配られるから。紙媒体の場合、いわばデバイスごと配ることができ、操作性も格段に簡単。しかも手渡されるので、読者は受け身でいられる。そしてついペラペラめくってしまう。この特性から紙はプッシュ型の媒体と言われています。ちなみに発行告知もいりません。未だに紙が主流なのはこの便利さから離れられないのです。

 一方WEBは、読む側がPC、スマホからわざわざ見に行かないといけません。発行したことを伝えないと、アクセスされないなど読者に配慮する事項が多いです。この読者の能動的な行動に委ねることからプル型の媒体と呼ばれています。

 今はスマホの普及でアプリという選択肢ができました。とはいえ、わざわざダウンロードしてくれるでしょうか。工場などの製造現場では会社支給のパソコン、スマホもありません。個人のデバイスで見ることを会社が推し進めるのか。セキュリティをどうかけるのか。緻密な設計が無ければ、まだまだ簡単でないのが現状です。これが社内報のWEB化を阻害してきた要因です。

WEBの魅力は見える化

 しかしスマホの普及と、アプリの存在により、かなりWEB化のハードルが下がってきました。更新を伝えるプッシュ通知を活用すればかなりの課題が解決できます。そして紙にはない、WEBの魅力は大きく3つ。即時性、アーカイブ性、見える化。特に見える化は大切で、今まで読者アンケートに頼ってきた、いわば記事単位のエンゲージメントが正確に把握できるようになります。これはコンテンツの見直しはもちろん、社員の理解度、愛社精神など見えなかったインサイトも見える化でき、経営ツールとしての有用性が格段に上がります。WEB広告の世界では当たり前の技術ですが、そのアドテクの転用で緻密な社内マーケティングが実現するのです。この観点から、今後はWEB社内報がますます増えていくと考えられます。

重要なのはリーチ

 そう考えるとWEBの一択ですが、前述の課題は大きく、特に製造業を中心に紙媒体は根強く人気です。
 社内報は、見たい人だけが見るものではなく、経営ツール。全員に行き渡ることが前提です。紙でもWEBでも、それこそラジオ、YouTube、noteでも達成できればなんだって構わないです。しかし一部の人を置き去りにするようなことがあってはいけません。読まない人はいるかもしれませんが、読めない状況を生み出すことは絶対にさけるべきです。これを無視すると、読める人、読めない人で精神的な分断が起き、業績に悪影響を及ぼす危険があります。単に流行りの媒体、目新しさに気を取られるがあまり、本来の役割、全員に届けるということを見失わないようにしましょう。

今回の一冊

ゆうこす著
SNSで夢を叶える

モテクリエイターゆうこすこと、菅本裕子。彼女がニート同様の毎日から抜け出すべく始めたSNSの試行錯誤を記した一冊です。通常のビジネス本、ノウハウ本に感じることのない圧倒的な共感、謙虚さ。そして試行錯誤したからこその説得力が詰まっています。媒体戦略とはこう考えるべきなのかと思わず感嘆。彼女を知らなくても楽しめる一冊です。

社内報の作り方|創刊編 各記事はこちら

VOL.01 発行目的を決めよう
VOL.02 コンセプトって、どう決めるの?
VOL.03 媒体を考える
VOL.04 ルールを決める編集方針
VOL.05 デザインを決めよう
VOL.06 経営計画盛り込めていますか?
VOL.07 ページネーションを決めよう
VOL.08 コーナー企画は数が命?
VOL.09 協力者はいますか?
VOL.10 アウトソーシング①
VOL.11 アウトソーシング②
VOL.12 アウトソーシング③
最終回 誰が決めるの問題

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Connecting the Books
Connecting the Booksは、これまで培ってきたクリエイティブディレクター、コピーライター、編集者としてのノウハウを公開するとともに、そのバックグラウンドである「本」のレビューを同時に行うという新たな試みです。