カンフーだけじゃない!香港に恋する映画5選
幼い頃、香港ほど映画のイメージと密接に結びついた地名はありませんでした。現在、政治的イメージが強すぎるこの地の魅力を再度見つめ直す、今こそ観るべき香港映画をご紹介します。
青春時代がもし、社会の大きな変革期であったなら。1997年、中国に返還された時期の香港を若者の目線で描いた本作。そこに漂う漠然とした不安は現在の状況を示唆しているようで、今こそ観るべき映画です。何もかもが青く、未完成で、ダサさもあるのですが、それがまたなんとも言えない味になっています。
トニー・レオン、フェイ・ウォン、ブリジット・リン、そして金城武。世界中にその才能を、輝きを知らしめたオシャレムービーの傑作。香港の魅力が最大限に引き出された本作には、天使の涙という、こちらもまた傑作の続編があり、王家衛ワールド全開です。ぜひ2本続けてご覧ください。
3本目
アンドリュー・ラウ/アラン・マック
インファナル・アフェア
ハリウッドでもリメイクされたスパイ映画の傑作。007のような派手さはないものの、次の展開が全く読めない、心臓に悪い映画です。思い起こせば香港映画は警察を主役に添えた映画が多いですが、それだけ身近な存在なのでしょうか。それだけに昨今の状況には違和感がありますね。
4本目
ジョン・ウー
男たちの挽歌
香港映画の代名詞がジャッキー・チェンだった頃、友達の家でおばちゃんが観ていた映画をチラ見したのが、チョウ・ユンファでした。シリアスで怖い。それが香港フィルムノワールの傑作に対する幼心の記憶です。ジョン・ウーはフェイスオフでハリウッドの成功を手に入れたし、チョウ・ユンファも世界的なスターに駆け上がる第一歩を踏み出す。ここにあるのは、世界と勝負したいという若き野心。レスリー・チャンの輝きもまた魅力。
最後はまたまた王家衛。古き良き香港を焼き付けた、まさに香港に恋する映画です。大人とは何か、色気とは何か。今のようにカジュアルファッションが浸透する前の貴重な瞬間。東南アジア特有の湿気が漂う、匂い立つ映画です。欲望の翼と、2046が3部作となっていますが、単独でも十分に楽しめます。
いかがでしたでしょうか。今回は、香港映画の中でも、香港を舞台にした映画に絞ってみました。レコメンドを書くと、また観たくなる名作ばかり。カンフーとは違った香港の魅力を存分に味わってください。
今回の1冊
CUT (カット) 11月号 (2004年10月19日発売)
ロッキング・オン
「いまこそ、アジア映画に溺れる」
もう16年前なんですね…。当時好きだった雑誌CUTで、今でも残している数少ないバックナンバーの中の1冊。2046を中心に、アジア映画とそのスターの特集が組まれた奇跡的な号なのですが、そこにレスリー・チャンがいないことが、悔やまれてなりません(前年に亡くなりました)。当時、東南アジアはまだまだ映画後進国でしたが、今ではブリランテ・メンドーサ監督のような、とてつもない才能を持った監督が独自の表現で世界の映画シーンをけん引しています。映画大国であるインドやイランはもちろん、アジアは映画の宝庫です。いずれ、こうしたアジア映画のレコメンドもさせていただきます!では!