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ファンドレイジング・コンサルタントを「卒業」するために認定ファンドレイザーを取得した話

こんにちは。堤大介( @22minda )です。新しく資格を取得したこととその理由について書いてみました。


認定ファンドレイザーの資格を取得しました

ボヤボヤとしている間に資格取得からだいぶ時間が経ってきてしまったのですが、先日「認定ファンドレイザー」の認定試験を受け、無事に合格いたしました。合格を知ったときの感情は嬉しいというより「ほっとした」でした。これまで散々ファンドレイジングの研修講師やコンサルティングをしてきて、いまさら落ちたら恥ずかしかったので笑。

ファンドレイジングやその他のNPO支援を仕事にし始めて9年目になりますが、実は准認定すらずっと取得せずに仕事をしていたんですよね。それが約1年ぐらい前に認定を取ってみるかということを考え始めまして、準認定から受け始めて、いちおう予定通りに認定取得まで進んできました。(ちなみに、準認定の受験のための選択研修受講ポイントは自分が講師を務めた研修のポイントを自分につけてもらうというちょっと変わった受験でした)

ファンドレイジング・コンサルタントという肩書きをやめたい

で、なぜ今さら認定を取得したのかといいますと、その理由は、もっとファンドレイジングの仕事をしていきたい、という一般的な資格取得の理由からは外れていまして、これまで名乗ってきた「ファンドレイジング・コンサルタントという肩書きを変えたい」というものでした。もちろんファンドレイジングのご依頼を今後お受けしないということではありません。むしろ今後もファンドレイジングのお仕事をしていくつもりはあるからこそ、肩書きから「ファンドレイジング」というキーワードを外したとしても、ファンドレイジングの専門性を持っていることを端的に伝えるものとしては一番わかりやすいだろうと考えたのが認定取得の大きな理由です。

では、ここからはなぜ「ファンドレイジング・コンサルタント」という肩書きを変えようと考えたのかという点についてお伝えできればと思います。ネガティブというかモヤモヤを解消したいという側面と、ポジティブな側面の両方があります。

モヤモヤとした理由:ずっと言い訳のような自己紹介になっていた

最大の理由は「ファンドレイジング・コンサルタント」という名乗りに自分で違和感を持つようになってきてしまったということです。「売上・働き方分析」の記事などでもお伝えしている通り、私がNPO支援をさせていただく際の支援テーマは、ファンドレイジングに限らずかなり多岐に渡っています。ビジョンや事業計画策定、ロジックモデルや評価関連、広報やマーケティング、Webやデジタル施策、組織開発、あるいはそれらを総合した組織診断や組織基盤強化などなど、といった形です。外部の専門家に依頼するものとしてニーズが多いのでファンドレイジング関連のお仕事の割合が多いのは確かなのですが年々ご依頼いただくテーマの幅が広がっていく中で「ファンドレイジング・コンサルタント」なのか、というと違うよなぁという思いが強くなっていました。

また「コンサルタント」という名乗りにも違和感をずっと持っていました。「NPO支援者育成試論」でも書いていますが、NPOへの関わり方は「代わりに走る」「一緒に走る」「走り方を教える」など様々あって私の強みはそれらの様々な関わり方をご要望や相手の状況に合わせて柔軟に変えられることだと認識しているのですが、「コンサルタント」というカタカナの名乗りからは関わり方自体を柔軟に変えるということであったり、私の人格や人柄も含めた柔らかさのような印象は伝えにくいよなぁと感じていました。

特に、2022年秋に札幌に引っ越してきて、(それまでコロナ禍でオンライン中心だったということもありますが)ひさびさに名刺交換をしながらはじめましてのご挨拶をさせていただく機会が増えたときに、独立当初につくった「ファンドレジイジング・コンサルタント」という肩書きの名刺を配りつつ、「こう書いてありますが、ファンドレイジングだけではなくて…」とか「コンサルタントと名乗っていますが、実際の関わり方は…」と言い訳めいた自己紹介をしている瞬間が増えてきて、いやこれはそろそろ変えたほうがいいなと考え始めたのでした。

ポジティブな理由:「ファンドレイジング・コンサルタント」を名乗る方がけっこう増えてきた

ここまで書いたのは「ファンドレイジング・コンサルタント」という肩書きに対する私のモヤモヤというネガティブな理由でしたが、また違った観点でどちらかというとポジティブな理由もあります。それはここ数年で「ファンドレイジング・コンサルタント」を名乗って活動する方が増えてきたということです。

そもそも私が「ファンドレイジング・コンサルタント」を名乗り始めたのは独立してからです。独立以前はシンプルに「コンサルタント」でした。PubliCoという会社自体がNPOコンサルベンチャーでしたので、そこに所属しているコンサルタントということですね。PubliCo時代からマーケティングなどファンドレイジング以外の案件も多かったのですが、独立して一人で仕事を取っていかねばとなった際に、NPOが外部専門家に依頼するテーマとして最もニーズの大きい「ファンドレイジング」という専門性を前面に出した方が良いだろうと考えました。また、組織内部のファンドレイジング担当者の印象も強い「ファンドレイザー」ではなく、外部の専門家として関わるという仕事の仕方を伝えやすい肩書きとして「コンサルタント」と名乗ろうと考えました。当時明確に「ファンドレイジング・コンサルタント」と名乗って活動ている方は私の観測範囲ではほとんどおらず、その肩書きで仕事をして食べていける人材が増えていくためにはそうした「名乗り」とともに私が実績を示していくことが必要だろうとも考えていました。

なぜそのようなことを考えたのかというと、PubliCoという会社自体は解散したものの、PubliCoが当初目指していた「NPOの支援が適切にできる人材を増やしていく」という方向性自体は日本社会にとって絶対に重要なことだと考えていましたので、私自身がその一人としてちゃんと仕事をして、成果を出し、一人前のプロとして食べていけるようになる姿を見せることで、ファンドレイジングやNPOのコンサルティングなどの経営を支えるという仕事がNPO職員になるという形だけでなく、外部専門家として営利の業界と同じように成り立ちうるという姿を見せていきたいということを考えていました。(売上分析の記事を公開していたのもこのような理由からです)

そこから5年以上経過しまして、私の仕事がどうなっていったのかということはnoteでも公開している通りですが、この数年の間に私の目に見える範囲だけでも何人もの方が「ファンドレイジング・コンサルタント」という肩書きを名乗って仕事をするようになってきました。私と同じようにフリーランスで活動している方であったり、メインはNPOで自組織のファンドレイジングをしながら他の組織のファンドレイジング支援を行っている方であったり。そうした方たちが私のnoteや私の肩書き自体を参照してくださったのかどうかはともかくとして、「ファンドレイジング・コンサルタント」という外部専門家としてのファンドレイザーのあり方は少なくともNPO業界においては一つの仕事のあり方として名称も含めて定着してきているのかなということを感じてきています。

そうなると、私としては人材が増えてきているテーマについては、どんどん新しい方にお任せして、私自身はまだ業界として足りていないテーマや課題に取り組んでいきたいということを考えますので、私の肩書きとして「ファンドレイジング・コンサルタント」を名乗って活動する、ということはもう一つの役割りを終えたのではないかな、というようなことも考えたのでした。

ということで、認定ファンドレイザーになったよ、というシンプルな話を長々と書いてみました。こんな感じでいつも色んなことをあれやこれやと考えながら生活をしております。

さて、「で、じゃあ次の肩書きどうするの?」という点については長くなってしまったので次回とさせてください。ご興味がありましたらお読みいただけると嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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NPOコンサルや伴走支援者になりたかった数年前の私のような方に向けて仕事をする中で感じたことや考えたことを書いています。 支援者育成やNPO支援の仕組み化などに取り組んでいくために、もしいいなと思ってもらえたら、サポートしてもらえると嬉しいです。