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僕がNPOコンサルになったワケ -ボランティア学生時代編-

2006年の4月、大学受験をなんとか乗り越えて念願の筑波大学に入学。

大学に入ったらやりたいことはいっぱいあった。今回の記事では省略したけれど一年間の浪人生活を経ての大学進学となったので(浪人についてもまた別途書ければと思う)、大学生活に思い描くことは溢れるほどに膨らんでいた。特にキャリアに関して言うなら二つだ。一つは「勉強をして社会を捉えるための自分なりの視点を身につけること」。そしてもう一つは「ボランティア活動をすること」だった。この2つは入学前から決めていたことだった。

なぜそんなことを考えていたのか。

まず一つ目の「社会を自分なりの視点で」ということについては、大学選び編に書いた通りだ。大学卒業後の仕事は社会の役に立つようなことがしたい。でも、今の僕では何が社会の役に立つのか分からない。だから手始めとして「何が社会の役に立つのか考えられるようになること」が必要で、そのためには勉強をすることが必要だ。社会について学ぶ学問である(と僕が思っていた)ところの社会学はそんな僕にうってつけの分野だろう。だから大学で勉強できることが楽しみで仕方なかった。

でも勉強すれば何もかも理解できるようになるとも考えてはいなかった。きっとそれでは十分ではない。単に勉強をするだけでなく実際に社会に触れる何かもした方がいい。そこで高校生の僕に思いついたのが「ボランティア」だった。なぜそう考えたのか。これについては正直よく分からない。明確な根拠があったわけではないけれど、ボランティアというのは高校生当時の僕にとって何かいいことをしているイメージであり、「具体的に社会の役に立つこと」を一番手っ取り早く体験できるのがボランティアだと考えたように思う。

つまり、僕が大学生活を通してやりたかったのは「僕は社会の役に立つために何をすれば良いか」という疑問に答えを出すことだった。そしてそのための手段として学問と実地と両面からのアプローチが有効だと考えたということだ。

ところで、筑波大学は課外活動が盛んな大学だ。色々理由はあるのだと思うけれど、一番の理由は「陸の孤島」であったということだろう。僕が入学した2006年というのはつくばエクスプレスが開通した年で少しずつ状況が変わり始める時期ではあったけれど、それでも筑波大生のコミュニティは筑波大学とその周辺という狭い範囲に凝縮されまくっていた。遊びの刺激も都会ほど多くはない。とはいえ「何か」をやらねば時間は過ぎていかない。だから学生同士で「何か」をやるところの課外活動が活発になるのではないかと思う。(もちろん課「内」活動であるところの学問を真面目にする人もたくさんいる)最近筑波大から課外活動の域を超えたベンチャー企業がたくさん登場していることにも背景としてある程度は通じているようにも思う。

さて。私がやりたかったボランティア活動だ。これについても関連する課外活動団体(サークル)はたくさんあった。入学時に配布されるサークル紹介誌に掲載されていたものだけで30から40程度はあったのではないかと思う。つくば市内で活動している団体もあれば国際協力をしている団体もある。人助けをしている団体もあればゴミ拾いなどをしている団体もある。単にボランティアというキーワードしか考えていなかった僕はこの活動の多様さを知っただけでも衝撃だった。何をすれば良いか、何が社会の役に立つかを知るための手段としてボランティアを思いついたのに、どのボランティアをやるかという選択も同じ様に難しそうだった。

実を言えば、入学前はボランティア活動をするサークルに入りつつ、それ以外にギター関連(高校のときはギターばかり弾いていた)かバドミントン(中学校はバドミントン部だった)のどちらかにも所属して掛け持ちするというのが僕の構想だった。しかし、ボランティア的な活動をするサークルの種類の多さを目の当たりにした僕は、サークルを選ぶポイントを学部を選んだときのように順序立てて考えることになった。

結論を言うと僕が選んだのは次の2つのサークルだ。

①児童養護施設で子どもに学習指導を行う団体
②学生でボランティアセンターを運営しボランティアコーディネートを行う団体

この2つの団体はまったく別のタイプの活動をしている。NPOっぽい言い方をするなら①は「福祉」の「現場」で「対人支援」を行う活動で、②は「中間支援」を行うものだ。「社会に役に立つことは何か」という問いへの答えを出すために学問と実地の両面からという幅をもったアプローチをとった僕は、実地の活動先を選ぶことに対しても幅をもった選択をすることにした。アプローチ方法がたくさんあるならまずはその幅を知ることだと思った。その結果が「一対一で人に関わる活動」と、「ボランティアの仲介活動」という違うタイプの活動を両方やってみるということだった。

また、現場と中間支援という活動分野の違いの他にも所属団体を選んだ理由はある。それぞれの団体の入会前に抱いていたイメージや考えていたことは以下の通りだ。

①(児童養護施設)
 - 筑波大学の開学当初から続く団体
 - 所属人数は200人以上で課外活動団体の中でも最大規模
 - 複数のグループに分かれており、それぞれのグループが別々の活動先(福祉施設など)を持っている
 - 福祉施設で人に関わるというのは元々僕が持っていた「ボランティア」のイメージに近い
 ‐ 児童養護施設というものは詳しくは知らなかった
 - 子どもはあまり得意ではない。どうせなら得意でないところにどっぷりつかって得意になってしまおう

②(ボランティアセンター)
 - 所属人数は7人(実際は4人しかいなかった)
 - 設立して間もなくベンチャーっぽいイメージ
 - ボランティアしたい人とボランティアが必要な人の橋渡しの活動をする。これをボランティアコーディネートと言うらしい
 - ボランティアの仲介をするならいろいろな活動の種類やニーズを知ることができそうだ
 - 特定の社会課題と個人の関心が結びついていない自分にはぴったりの役割ではないか

活動分野や役割の違い以外に、団体の雰囲気(大げさに言えば組織文化)も体験しておくべき大切なポイントだと考え、長い間しっかり続いている団体と、新しくて勢いのある団体の両方を知ろうと思った。

もちろんずっとこんなことを頭の中だけでで考えてここまで整理していたわけではない。見学にいって先輩たちの話を聞きもしたし、最終的な決定は直感が大きいけれど、直感の後ろ側ではおよそこんなようなことを考えていたと思う。

結果としてこの2つのサークル活動は僕の大学生活の中心を占めることになり、現在に続くその後のキャリアを歩む上での軸となっていく。

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堤大介
NPOコンサルや伴走支援者になりたかった数年前の私のような方に向けて仕事をする中で感じたことや考えたことを書いています。 支援者育成やNPO支援の仕組み化などに取り組んでいくために、もしいいなと思ってもらえたら、サポートしてもらえると嬉しいです。