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名刺と肩書きを新調しました。本気の人に、力の限り丁寧に関わる「NPO支援家」の堤です。

こんにちは。堤大介( @22minda )です。前回に続いて私の肩書きの話です。前回は「認定ファンドレイザー」の資格を取得したということと、その資格取得の背景として「ファンドレイジング・コンサルタント」というこれまで名乗ってきた肩書きを変えたいと考えていたことをお伝えしました。今回は、新しい肩書きを何にするかという話です。


私の新しい名刺

肩書きってなんなんでしょう

新しい肩書きはタイトルにも書いた通り「NPO支援家」なのですが、そもそも肩書きってなんなんでしょうね。

ファンドレイジング・コンサルタントと名乗るのを止めたいというのはけっこう前から考えていたのですが、新しい肩書きを考えるのはなかなか難しかったです。個人的にはもう肩書きなんてなくてもいいかなとも思うのですが、仕事柄肩書きを求められる機会がそれなりに多くあるんですよね。例えば研修講師の仕事をお受けした際など、依頼元の内部手続きや広報用の情報として、名前の他に「肩書き」「プロフィール」がほぼ必ず求められます。

基本的には所属している組織の名称や役職名が想定された質問であることがほとんどだと思うのですが、私のようなフリーランスの場合ちょっと肩書きの意味合いが変わってくるというか、基本的には自由な名乗りの問題になってきてしまいます。ソーシャルセクター界隈でも皆さんいろいろ素敵な肩書きを掲げて活動していらっしゃいますよね。基本的には自身の専門性や仕事の仕方などをわかりやすく伝える肩書きとなっていることが多いように思います。私がこれまで名乗ってきた「ファンドレイジング・コンサルタント」もそうです。これは前回も書いた通り独立するにあたって考えたものですので「いち早くわかりやすく専門性を伝えて、仕事につなげたい」が全面に出ていました。

わかりやすくなくてもいいや

翻って、現在の私は自分自身や仕事を早く伝えて、とにかく仕事を取りたいとはそれ程思っていません。 もちろんお仕事はたくさんしていきたいのですが、ありがたいことにスケジュールは常にほぼ埋まりがちな状況が続いています。そして、そのご依頼もほとんどは紹介や口コミです。名刺交換ではじめましてのご挨拶をしたところから営業を開始して、というような仕事の仕方はしていませんし、これからもあまり予定はありません。

ちなみに、XやnoteなどのWeb上の発信では実は「ファンドレイジング・コンサルタント」ではなく「NPOコンサルタント」という肩書きを利用してきました。これも独立当初に考えたもので、名刺と統一して「ファンドレイジング・コンサルタント」を使うことも考えたのですが、「NPOコンサルタント」というよくよく考えるとなんのコンサルなんだかよくわからないけれども、Web上においては検索対策やパッと見のイメージのわかりやすさから「NPO」と「コンサルタント」というキーワードそれぞれのわかりやすさを重視していました。実際「NPO コンサル」等で検索すると1ページ目に私の各種オウンドメディアでの情報がしっかり出てくるようになっていますし、そこからの問い合わせもそれなりにいただけるようになっていますので、施策としてはある程度成功しています。

ただ、Webの問い合わせから実際の依頼につながったケースは実はあまり多くありません。といいますか、私があまり直近ですぐにご依頼を受けられる状態に無いことが多いことが悪いとも思うのですが、問い合わせに対して返信をしても、それに対して一切の返信がない団体さんが圧倒的に多く、毎回30分〜2時間ぐらいかけてHPを拝見したりメールの内容を考えている時間の労力を考えると、問い合わせフォームを閉じた方がその分NPO支援ができるのではないかなと問い合わせが来る度に思ったりしてきました。が、そんなことよりも肩書きを変えて、わかりやすく検索でひっかかる状態から撤退すれば良かったんですね。

そんなこんなな状況もありまして、パッと一言でわかりやすく伝えて仕事につなげたいというよりは、パッと見ではわからなくても伝えたい印象や価値観が少しでも伝わること、そこから丁寧にコミュニケーションを始められれるものを考えようと思いました。もうわかりやすくなんてなくてもいいんです。だって私は実際に個人としてもやっていきたい仕事の仕方としても決してわかりやすくはないのだから。

NPO支援家

そこで考えたのが「NPO支援家」という肩書き、というか名乗りです。

これまでもnoteの中でも度々「NPO支援者」という言葉は使ってきました。最初はそれをそのまま肩書きとすることも考えたのですが、「NPO支援者」というのは私の中では一般名詞というか、分類自体を表すものというイメージが強く、肩書きとして名乗るということには違和感がありました。「伴走支援者」というのも少し考えたのですが、「NPO支援者育成試論」で書いている通り、伴走支援(一緒に走る)はいくつかあるNPOへの関わり方の一つですし、そもそも伴走支援という言葉は福祉の領域を始め色々な分野で使われている言葉でもありますので、それ自体を名乗りとしてしまうことには抵抗がありました。

そして特段肩書きをアピールしていくつもりはないけれど、どうしても使わなくてはいけないのであればせっかくだから少しオリジナリティを感じるものにしてみようか、ということで考えたのが「NPO支援家」です。ちょっと大仰な響きであり恥ずかしくもあるのですが、カタカナでおしゃれな肩書きの方がムズムズしてしまいます。私はどんな仕事をしていきたいかということを考えたときにそれはやはりNPOを支援するということですし、それについて考え続けていきたいということをそのまま表現してみようと考えました。

(もう一つ、法人化をして「◯◯会社・代表」など所属を作ってしまうということも考えたのですが、法人化は法人化で肩書きを考えるのとはまた別で色々考えないといけないことも多くいったん保留にしました。法人化自体は引き続き検討しなくちゃなぁという状態なので、どなたかご相談に乗っていただいたり、税理士さんのご紹介などいただけるととても嬉しいです)

いま「NPO」にこだわる意味

自分で名乗っておいて何をという感じなのですが、いまこのタイミングで肩書きにわざわざ「NPO」と入れるのはやや時代には逆光しているのかなとも考えています。

社会的インパクト(評価)やインパクト投資などの社会的成果志向の潮流もあり、社会課題解決や社会的な価値創造を重視した事業・活動を行う主体はNPO法人などの非営利組織に限らず、営利組織にも広がってきていることは今さら言うまでもありませんし、営利と非営利の境界はこの先どんどん薄くなっていくでしょうし、社会課題解決の主体として「NPO」だけにこだわる意味はなくなっていくでしょう。

そうした流れは十分に理解した上で、それでも私は自分の仕事のあり方を表現する名乗りとして「NPOを支援する」ことを掲げたいと考えました。

この先、社会課題の解決や社会への新たな価値創造などを推進することが営利組織でも今よりももっと当たり前に行われるようになっていったとして、それでも私は「NPO」というもの(法人格のことではなく)には独特の価値や文脈があると考えていて、そうした部分に寄り添う仕事をしていきたいということを考えています。

この辺りは「NPOとは何か」という話とも関わってくるので話し始めると非常に長くなってしまうのですが、一つには課題解決や価値創造というゴールの状態だけでなく、そこに至るプロセスとしての「市民参加」自体に重要な意義を求めるということなのかなと考えています。

例えば「子どもの貧困」という社会課題への対策や解消を目指すというときに、そのゴールとしての理想状態とは何かということを考えるときに、 私は課題解消のプロセス自体に多くの多様な市民が参加していること・し続けているという持続的な(地域)社会の状態が重要だろうと考えますし、そこに至る道筋には、「子どもの貧困の解消」を何らかの指標化し測定していくという側面から考えたときには必ずしも合理的でなかったり効率的でもなかったりする部分も出てくるかもしれないけれど、それでも多様な市民の参加によってそこを目指していくということに価値を見出すというのはNPO的な発想の重要要素の一つなのではないかなということを考えています。

私は社会的インパクト評価的な視点も持ちつつ(評価士の資格も取得し、評価関連のお仕事もお受けしています)も、そうしたプロセスや手段としての市民の社会参加自体にも大きな価値と可能性を信じる者としてNPOを支援することを名乗りとして掲げていこうということで考えたのが「NPO支援家」です。

本気の人に、力の限り丁寧に。そして「つづく」こと。

名刺には肩書き以外にタグラインも載せました。

「本気の人に、力の限り丁寧に」

これも独立当初から私が使っている表現で、SNSのプロフィール文やスライド資料の裏表紙などに載せている、私がどのように支援先の皆さんと関わりたいと考えているかを表明したものです。ビジョン・ミッションというよりはバリューの位置づけにあたるものですね。

ご一緒する団体さんに対して、そしてその活動の先にいる受益者や多くの皆さんに対して、誠実に丁寧に全力で向き合っていきたいと考えています。ただし、本気でやりたいと思っているかどうかは、問いかけさせていただきます。

ファンドレイジングだって本気で寄付者や受益者に向き合うつもりを団体から感じなければ、「寄付集めをする状況じゃないです。止めてください」と言いますし、逆にどんなに拙くても本気で受益者や社会・地域のためになんとかしたいという思いが伝わってくる団体さん相手であれば(ときには契約を超えてでも)力の限りお応えしていきたいです。

「つづく」こと

そして、もう一つ今回名刺作成にあたって「つづく」というキーワードも加えました。今回名刺作成のディレクションをお願いした方やデザイナーの方と対話しながら改めて自分が仕事の中で大切にしているものを考えたときにでてきたものです。

ビジョンや事業計画作りにしろ、ファンドレイジングにしろ、私が答えを持っていたり正解を教えられるわけではなく、あくまでも団体に関わる皆さんの想いやこれまで歩んでこられた文脈が重要です。ここまでつづいてきたものが確かにあって、その中で大切にされてきたこと、今後も大切にしていきたいことは何かを整理することをお手伝いしているイメージです。

そして、私はあまり一つの団体さんに長く関わり続けるということをしません。なるべく早く私という外部の専門家がいなくても自分たちで走っていけるチームや文化を作って、団体がその先につづいていけるまでを支えていくことを大切にしたいですし、団体が自立・自律して活動をしていけることの先に、地域や社会が健全につづいていくということがあると信じています。

そんな思いを表現してみました。

ということで、年々こだわりや癖の強さを隠さなくなってきてしまっているような気もしますが、今後も私や私の周りの大切な人たちが住みやすい社会に近づけていくために、真摯に、本気で仕事をしていきたいと考えておりますので引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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NPOコンサルや伴走支援者になりたかった数年前の私のような方に向けて仕事をする中で感じたことや考えたことを書いています。 支援者育成やNPO支援の仕組み化などに取り組んでいくために、もしいいなと思ってもらえたら、サポートしてもらえると嬉しいです。