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『Have a nice LIFE』

今でもまだ余韻が残っている。
これまでの人生で、一番痺れた握手。

自分が望む生き方を実現できている大人に、出会えた。彼の話を聞いている時間、あまりのかっこよさに、ずっと興奮していた。

感じたこと、考えたことがいろいろあったので、記しておく。

「This is my LIFE STYLE」

今日話を伺ったのは、500人ほどの島でりんご農家を運営されているご夫婦。結婚25周年。2人のお子さんも独り立ちして、今はお二人で生活されている。

弾けるような笑顔で出迎えてくれて、67歳とは思えないほど精力的に動き回る。こんな風に歳を重ねたいと思うような、エネルギーに溢れた方。

収穫したりんごを、ジュースやシードルにして販売している。これが彼らの商品。

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この商品たちを指差しながら、

少ないと思われるかもしれない。でも、私たちにはこれで十分なんだ

と話し始めた。

もっと効率化を進めて、販路を開拓し、多くの従業員を雇用すれば、売上を伸ばすことはできると思う。でも、私たちはそれを望んでいない。
大事なパートナーと会話をする時間があって、毎日美味しい食事ができて、年に数回旅行に行けている。私たちはこの生活に満足している。

自分にとっての幸せは何なのか。
どんな生き方をしたいのか。
そのために、どう働くのか。

こんなにも胸を張ってすらすらと答える人に出会ったのは、初めてかもしれない。大切にしたいもののために、手放すべきことを理解している。

上の話に付け加えられたエピソードも、印象的だった。

今15店舗に商品を卸しているが、それぞれの店舗には自分で車を運転して、納品している。そこでお客さんと会話をして、帰り道に友人の家に立ち寄ったりして、そこでも話が盛り上がる。そんな一日が大好きなんだ。
これが私の選んだ生き方なんだよ。

This is my LIFE STYLE.

生き方が洗練されている大人は、かっこよかった。

契約期間は30年。共に未来を創る覚悟

もう1箇所、ロラン島にあるClimate Centerを訪問した。

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世界に151機しかない地球儀を使って、気候変動のリアルを学んだ。

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福島原発の被害の実態、亜熱帯地域の拡がりや、干ばつ難民の増加など、NASAから提供される最先端のデータから、地球環境の現状と、人間ができること、やるべきことを知った。

もちろんそれも学びが多かったのだが、個人的に衝撃を受けたのはこの話。

ロラン市とコペンハーゲンが締結した、契約期間が30年にも及ぶ、通称"サステナブル協定"。デンマークが掲げるエネルギー政策の実現に向けて、大都市と地方都市が対等な関係で協力し合うことに合意した、画期的な協定。この協定に関する詳しい内容については上記の記事を読んで欲しいのだが、個人的にはこの30年という契約期間に衝撃を受けた。

30年。

それだけの時間があれば、いろんなチャレンジができると思う。目先の結果に囚われず、未来を想像し、そこから逆算して今取り組むべき施策を考えられる来年や再来年など、すぐには結果は出ないけど、でも必ず30年後には良い影響を与えているであろう施策に取り組める。

「緊急じゃないけど重要なこと」に対して、十分に時間を割ける。

環境問題とか、まさに当てはまりそう。取り組み始めたところで、すぐに改善が見えることでもないだろうし、お金にも繋がらないからより成果がわかりづらい。もし、半年や1年以内に結果を出さないとまずい、みたいな状態だったら、環境問題とかに手をつけず、成果が見えやすい金融政策を優先するとか、普通にありそう。

企業活動でも同じだと思う。短期契約だと、確実に成果が見込める施策をやるしかない。顕在層に広告を当て続けることしかできない。でも長期契約になれば、その分打ち手の選択肢は広がる。すぐには成果が出ないけど、でも1年後には必ず効果を見込めるような施策に、安心して取り組むことができる。契約期間は施策のダイナミックさに大きく影響すると思っている。

もちろん、単純に長期契約をすれば良いという話ではなくて。前述した記事内にはこんな記載があった。

今回の協定では、ロラン市とHOFOR双方の「対等なパートナーシップ」という部分に重点が置かれています。具体的な価値観として、「対話」「開示性」「信頼」を掲げています。

ここでもやはり「対話」。常に状況を開示して、対話を繰り返し、信頼関係を強固にしていく。だからこそ、30年という長期の契約を結べるんだと思った。

意味あることに、時間を使い続けたい

さて、自分に置き換えてみるとどうか。自分が望むライフスタイルを実現し、しっかりと腰を据えてチャレンジしたいことは何なのか。

今日改めて感じたのは、単純に事業を伸ばして、高い報酬を得て、悠々自適に暮らす、みたいなことには興味がなくなってきたということ。それよりも、社会に良い変化を及ぼせることに時間を使いたい。

今の僕の関心は、働き方にある。仕事によって自分のライフスタイルを諦めないといけないとか、本末転倒もいいところで。あくまでも仕事は幸せな人生を送るための手段であり、仕事が理由で大切な人を大切にできないとか、自分の命を捨てるとか、そんなことはあってはならないと信じている。

だからこそ、それを変えるための仕事をしたい。

僕は今、上場企業の本部長を勤めながら、複業で自分の会社を創業している。住まいはオランダで、業務は全てリモートワーク。新規事業を立ち上げているが、半分が学生で、リアルで全員揃ったことは一度もない。決まった肩書きはなく、全ての役割は誰もが担う権利がある。給与は休暇は自分で考え、調整する。

この働き方で、事業を伸ばしたい。
僕にとって大事なのは、売上を伸ばすことではなく、売上の伸ばし方。こんな働き方でも事業を伸ばすことができると証明できれば、新しい働き方の選択肢を、より説得力を持って提示できるのではないか。

別に誰から頼まれたわけでもなく、実際にそれが実現できたとして、どの程度の変化を及ぼせるかもわからないが。僕は勝手に燃えている。

自分が望む生き方を全うしたい。

りんご農家のおじさんとの別れ際、握手をしながら声をかけられた。

『Have a nice LIFE!』

自分の理想の大人像がまた一段と鮮明になった、素敵な一日だった。

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