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デッサンの授業を受けてどうなった?

芸大の授業を受けて、自分にどのような変化が生じたのかということで、まずは美術の基本となるデッサンについて、触れたいと思います。
デッサンとは、鉛筆、木炭、コンテなどを使って、描いた線画のことを言い、絵を描くための基本となります。例えば、油絵を描く際にも、いきなり筆で描く人もいますが、多くはキャンパスに下絵をデッサンで描く方も多いようです。

授業を受ける前のデッサン課題。ヒドいです・・・

まずは授業前に提出したデッサンを見てみましょう。下記の図がデッサンなど、スクーリング科目を受ける前に、実際に描いたデッサンです。お題は、「ビン、布、金属製のオブジェを描く」というものです。一応、テキストもあり、それも読んで描いたもので、描いた当時はそれなりに描けたと思っていたのですが、今観るとヒドいものです。自分でもよくもまあこんなものを課題として提出したものです。評価はもちろん「C」でした(笑)再提出のDにならなかっただけ良かったです。

授業を受ける前に提出したビン、布、金属製のオブジェたち・・・

デッサンについて学ぶ

デッサンの授業は科目として、「デッサン」と「デッサン研究」があります。また、講座「絵画(油絵)」のなかでもデッサンやスケッチをします。
本来、基本となる「デッサン」を受講しないといけないのでしょうが、3年編入ということもあり、必須科目である「デッサン研究」のみを受講しました。
その授業では、壊す前の空き缶や壊した空き缶、被り物をした自画像などを鉛筆で書いたのですが、授業前から比べると思った以上にいい感じで描けました。

壊した空き缶

空き缶には濃淡表現をするために、白紙の紙を巻いているのですが、先生のアドバイスを受けつつ、目を細めながら、濃淡を注意深く描いてみました。
描き方にポイントがあるかといえば、見たまま描くということかもしれませんが、先生からは以下のようなことを教わりました。

ポイント1 見え方を一緒にするために対象物はやや遠くに配置する。

ポイント2 目線は常に一緒にする。椅子もずれるといけないので、足のところに印をつけるなどの工夫をする。

ポイント3 よく観察する。絶対的な長さよりも比率が大切。

ポイント4 作業を進めると、特定の部分だけに焦点が当たり、そこだけ濃くなりがちなので、全体を俯瞰して作業を進める必要がある。

ポイント5 観ながら描く。明暗をよく見ながら描く。目を細めると濃淡が分かりやすくなる。

ポイント6 面で塗りつぶすのではなく、線で描き、面を表現する。

ポイント7 堅いものを描くときは、HBとか、2Hが良い。

ポイント8 どこに焦点を当てるのか、考える。構図の中で焦点を当てたところは濃く、はっきりと描き、周辺はぼやかす。焦点を見ると、そのまわりはぼやける。それを表現する。

石膏デッサンで初木炭。

「デッサン研究」の後半ではいわゆる石膏デッサンを行いました。なんか木炭も使うし、芸大生という感じがしました(笑)選んだ石膏はメディチです。1枚目はミロのヴィーナスを選んでいたのですが。

これがメディチです。後ろに移っているのはミロのヴィーナス。

課題は3日間で石膏デッサンを1枚仕上げれば良かったのですが、飽き性なので、3枚ほど描きました。ミロのヴィーナス2枚と、メディチ1枚。
今から考えると、1枚を徹底的に書き込んでも良かった気もしますが、まだまだ基本ができていないので、数をこなすことも重要だったかな。

メディチに見える?

一応、スケール棒で測りながら描くのですが、うまく再現できないのです。先生から口が出ていて不細工だとか、アドバイスを頂きつつ、遠くからデッサンと石膏像を比較しておかしなところを直していきます。鉛筆と違って、木炭は濃淡表現しやすいので、比較的上手に見えるのが良いですね(笑)

人物デッサン

油絵の講座「絵画Ⅰ」では人物画のデッサンも行いました。顔と体、足とのバランス、手の長さとか、なかなか自分が考えていた比率とは違い、腕は案外長く、手のひらも案外大きいものです。こちらも見たままに描きます。

人物画なので、モデルさんを描くのですが、芸大であるヌードデッサンではなく、レオタードデッサンでした。。。まあ、良いのですが。

表題「蹲る」

立ったポーズ、椅子に座ったポーズ、寝たポーズなど、いろいろと描きましたが、最も気に入ったのが、こちらの「蹲る(うずくまる)ポーズ」でした。我ながら非常に何かを思わせる良い表現になったと思います。

初めの課題で提出したデッサンと見比べると、桁違いの成長だと思います。これが芸大でのデッサン授業の学びとなります^^

2021年夏のスクーリング(主にデッサン)での学び

芸大に来たのは経営者の創造性はどこから来るのかのヒントをアーティストに求めたわけですが、忘れる前にこの夏のスクーリングで学んだことや感じたことをバラバラと書いておきます。

1.アートは自分との対話

 何か作品を作る際には下絵(エスキース)を作ります。構図を考えるわけですが、まあ、それなら写真でもええやんと思っていたわけです。しかし、それではダメだそうです。まず、下絵を作る際には、仮に風景画としたら、その風景を前に、なぜ、それを描きたいと思ったのか、を徹底的に考えます。それは音や香りも五感で感じなければなりません。下絵が写真だと、抑揚なく、さらっとした絵画になってしまうそうです。

2.徹底的に観察する

下絵もそうですし、デッサンもそうですが、徹底的にその対象物を観察します。デッサンをするときは、手元を見ないで、対象物を見ながら描くぐらいの勢いです。観察することや下記の往復することで本質が徐々に見えてくるのです。

3.全体と細部を往復する

観察するとき、デッサンするとき、細部だけ見がちで、そうなると、そこだけ濃くなったり、端の方なのに、はっきりと描いてしまい、全体の遠近感が失われたりしてしまいます。これは経営や普段の暮らしでも必要だと思いますが、常に全体と細部を意識しなければなりません。デッサンは特にその行き来が激しい。。。

4.絶対的な長さより比率が大切

絶対的な長さも比率も同じことを言っているのかもしれませんが、比率さえうまく押さえていれば、変な絵にはなりません(笑)人でいえば、頭の大きさ、胴の大きさ、足の長さなどの比率です。スケール棒でも長さを測るというよりも、それぞれの比率を比べる感じでしょうか。初めは絶対的には長さ(数値)を気にしてばかりで、結果として比率が異なり、おかしな絵になっていたように思います。

5.本質的な部分の抽出が大切

デッサンは見たまんまを書くのですが、案外そうやって描くと実物と異なることもあるのではないかと思います。(本当にそのまんまをかけたら違うのかもしれませんが)
人物画を描くなら、骨格(凸凹)を意識すべきでしょうし、モデルの心情まで察した方が深い絵画になると思います。あと、全体の構成として、比率が重要だと思います。例えば、目と鼻の大きさの比率など、そういったところが合っていたらそれなりに見えると思いますし、ちょっとしたところ、例えば、目の位置や顔の輪郭を1,2mm変えるだけでガラッと印象が変わることもあるのですが、全体における比率によるのだと思います。

6.わずか1mmへのこだわり

この1mmによる変化はデッサンの時に何度も感じました。このこだわりがアート(特にデッサン)の本質やと思います。石膏デッサンにおいて、口の出具合や目の大きさをわずか1mm変えるだけで印象がガラッと変わったりしました。

あと、先生との雑談で「アートは他のことと比べて、普通は必要ないからね。絵画とか飾っている家も少ないし、、、」と言われてましたが、本当にそのように先生も考えているとは思わないのですが、資本主義の限界や問題が叫ばれるなか、誰かや何かと比べるのではなく、ひたすら自分との対話を続けるアート的な創作活動は、精神的な充実感を得られる大切なことだとなんとく感じています。これも6日間、ずっとデッサンに向き合って感じたことです。

また、趣味的なもの、利害関係のない社外でのボランティア活動的なものの意味合いがもっと見直されるのではないかと思います。コロナ禍も常態化するでしょうから、より精神的な活動が大切になるのではないでしょうか。

引き続き、アートの創造性や本質的な意義を考えていきたいと思います。

 

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