Suica PASMOの販売中止に思うこと。
このニュースを見て、ここでも日本の問題点が出てきたと思った。
23年の6月から無記名のものはすでに販売を中止していた。
これから記名式のカードも販売中止になる。
世界的な半導体不足といえばその通りで、何もSuicaやPASMOに限ったことではない。
「カード」が使えないなら「モバイルSuica」とかでいいんじゃないか?といわれるとそれもその通りなのだが、ここで問題なのが「Felica」。
非常に高速な非接触通信を実現したSONYの規格なのだが、世界的には普及していない。世界的に普及しているのはNFC Type AやType Bである。クレジットカードの非接触通信なんかはこっちが採用されていて、海外の地下鉄なんかで非接触改札の場合もこちらがメイン。
確かにFelicaに比べれば、気持ちタッチの時間を長くしないと反応しないが、感覚的には+1秒くらいかかる程度。さほど不便を感じるわけではない。
話を戻すが、カードがだめならスマホで代用すればいいという発想も間違ってはいないが、Felica=おサイフケータイ対応のスマホはiPhoneは搭載しているがAndroidは様々である。そもそもNFC自体搭載していないもの、Type AとType Bは対応しているがFelicaだけないものなど。要するに日本仕様に対応していないとモバイルSuicaは使えない。
もっと言うと日本のiPhoneのシェアが世界的に見ても異様に高い。
世界的にはAndroidのほうがユーザーが多い。
となると外国人観光客などはモバイルSuicaを使うという選択肢すらない。
この交通系IC乗車券のカードを現状新規で買う人は「外国人観光客」も結構な割合がいるのではないか?
私たちも海外旅行にいったら現地で交通系ICカードを購入することがあると思う。もしこれが購入できない状態だとするとかなり不便なのは容易に想像できる。ちなみに外国人観光客用のWelcome Suicaは羽田空港と成田空港でのみ一人1枚購入可能、PASMO Passportは販売継続だそうだ。
もし、世界的普及したNFC Type A/Bにしていれば対応できるスマホも増えただろうし、もっと言うと対応したクレジットカードで代用可能だ。福岡市地下鉄で実証実験しているVISAタッチで乗車する試みがまさにこれだが、現状の改札をそのまま使うわけにはいかないようで、有人の窓口にVISAタッチのリーダーを設置していたり、別途リーダーを設置した改札を使う必要がある。
Felicaは結局導入コストが高くて各国が採用しなかったらしい。いかに素晴らしい技術であっても使う人が多くないと結局不便になる。ここまで日本は国内の利用者だけ見て技術やサービスを開発してきたが、日本単体ではもうそんな市場規模ではない。世界的に標準的なところに合わせてユーザー数を増やしてコストを下げるか、例えばFelicaを日本が国として後押しして世界中の非接触通信のシェアをとりにいくかの選択が必要だったのだがそのどちらもせずに、これもまたガラパゴス化してしまった。
ガラパゴス化して国内企業が潤うだけならまだしも、結局高額なiPhoneを一生懸命売らされる結果になっている。日本が貧しくなるのもうなずける。
どこまでも商売がへたくそな国になってしまっている。