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アメリカ進出で成功するために最優先すべきこと

大半の日本企業は、アメリカ進出を行う際に初期トラクション作りに苦戦します。これは、大型資金を調達し、優秀なアメリカ人営業を採用しても、同じ問題に直面します。

その理由は参入機会における初期仮説に対する思い入れが強いからです。多くの企業は、展示会で感じたことやデスクトップ上の調査を基に参入機会の仮説及び進出計画を立て、そのまま売り込みに走る傾向があります。
しかし初期に立てたターゲット企業、価値提案、競合他社等における仮説が全く外れ、赤字のままでズルズルと事業を継続する、または撤退してしまうパターンが非常に多いです。

一方で、面白いことに、想定外の機会を発掘する企業が大成功しています。

具体例として、ホンダが1959年に初めてアメリカ進出した事例を挙げます。
当時は、Harley Davidson、BMW、Triumphなどのプレイヤーがバイク市場を占めており、この環境下でホンダは価格的且つ性能的に優位性を持つ大型バイクを軸にアメリカ展開を行い始めました。しかし販売代理店を通じて営業を進めたところ、バイクがなかなか売れず、更にバイクの故障も多く、大きな失敗を起こしました。

大型バイク販売を優先する戦略が行き詰まっていたところで、現地の社員がストレス解消のために社内で使われていた小型バイクを山の中で走ったところ、周りの人から注目が集まりました(当時はオフロードで走れるバイクが珍しかった)。これがきっかけで、ホンダが予測していなかった小型バイクの「スーパーカブ」が大ヒットしました。

>>>詳しくはHarvard Business Schoolのレポートをご覧ください。

結果的に、ホンダは新たなオフロード用のバイク市場を発掘しました。これは、史上最も成功したアメリカ進出事例とも言えます。
アメリカ進出に成功している企業は、計画力で成功したのではなく、試行錯誤を行うことで成果を出しています。アメリカ進出の成功事例としてよく挙げられるSpotifyも同じです。

このため、初期仮説が外れることを見込み、様々な顧客とのやりとりを交わしながら参入機会を発見するというアプローチが最善な方法だと思います。つまり、想定顧客を幅広く設定し、なるべく多くの顧客にアプローチしながら切実なニーズがどこにあるのかを見極めることです。これをカスタマーディスカバリーと言います。

多くの企業はカスタマーディスカバリーの重要性を理解しているものの、中途半端なやり方や、ニーズの汲み取り方に問題があることにより、残念なことに十分なカスタマーディスカバリーをできていないのが現状です。

商談の次のステップに至らないことや、マネタイズができないことは、全てカスタマーディスカバリー不足が原因です。

一方で、カスタマーディスカバリーを重視し、「顧客に売る」ではなく、「顧客を知る」を最優先したら、想定していない機会に触れる可能性が高まり、大成功する可能性も高まります。

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