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棲家の遍歴・その10 / フランス、パリ① / 間取リックス&住マップ

2010年7月28日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================

間取リックス:
Rue du Cloître Notre Dame 75004 Paris /
パリ4区、クロワトロ・ノートルダム通りのアパート

Rue du Cloitre Notre Dame-間取り

住んでいたのは、古い Appartement / アパルトマン(集合住宅:日本で言うところのマンション)の7階の屋根裏部屋。

スペインはサラマンカから”花のパリ”へ引っ越し、1978年12月から1979年の早春まで、この狭い一室に住んでいた。

これは “Chambre de Bonne / シャンプル・ド・ボンヌ” と呼ばれるタイプの部屋で、直訳すれば “女中部屋”。

その昔、下の階に住む裕福な家庭に奉公する女中が住んでいた部屋で、両隣に幾つか同じような部屋があった。

一日の仕事を終えて、女中が寝に帰るだけの部屋なので、本当に狭い。

洗面台があるだけで、台所は無く、シャワーやトイレは共同。そして屋根裏部屋だけに天井は低く、傾斜していた。

まさに “Sous les toits de Paris / 巴里の屋根の下”。

しかし小さな出窓からの眺めるノートルダム大聖堂は格別だった。

この部屋は友人のフランス人が、“隠れ家"として、面白半分で安い料金で借りていたもの。そこを短期間だけホテル代わりに使わせてもらった。

スペインと比べ、フランスの物価はかなり高かっただけに、ホテル住まいで部屋探しとなると、かなりの出費が予想された。小さな部屋ではあるが、安価で夜露がしのげる場所を確保できたのは幸いだった。

7階まではエレベーターも無く、建物奥の狭くて暗い急な階段をトボトボ登る毎日だった。

“上る” ではなく “登る” がぴったりの、きつい階段だった。

住マップ:
6 bis Rue du Cloître Notre Dame 75004 Paris /
パリ4区、ノートルダム・回廊通り 6 bis

シテ島にそびえ立つ、ノートルダム大聖堂のすぐ後ろあたりに位置する。

住所に含まれる “Cloître / クロワトロ” とはフランス語で回廊の意味。住んでいたのはノートルダム聖堂の北壁面にぴったりと隣接する通りだった。

ノートルダム聖堂前の広場には、フランスの道路や町の位置が測量される地理上の中心地、“Point Zéro des Routes de France / フランス国道ゼロ地点” がある。

つまり、私はほとんどフランスのど真ん中、ほとんどパリのど真ん中に、短期間住んでいたことになる。

Appartement を出て右側には絵葉書や観光土産を売っている小さなお店があった(今もあるようだ)。

観光客には最高だろうが、生活者には市場やスーパーマーケットが近所に無く、日々の暮らしには少し不便なところだった。


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