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焼肉はレアが一番!焦げた肉の匂いが漂うブルース

2000年11月29日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。
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或る日の夕方の出来事。

仕事をお願いしているA印刷のS井さんに「今夜、焼肉でも食べに行きましょう!」と誘われた。

会社の先輩のT田さんにも「お~い、今夜、焼肉でも食いに行こうやぁ~」と誘われた。

ちょっとした事情があったので、残念ながらお二人からのお誘い断った。しかしT田さんは、ある理由があって、断られてもあまり残念そうな素振りを見せなかった。

私は基本的に肉食獣だ。

弱肉強食の世界で生きているんだから、焼肉定食は大好きだ。

弱肉強食の世界で生きているんだから、肉の焼き具合はレアが大好きだ。牛肉は血が滴るくらいでないと美味しくない。

だから焼肉を食べに行っても、肉が少し焼けると直ぐに食べる。一緒に食べに行く連中は大体ミディアム程度の焼き具合が好きだから、彼らが食べる前に殆どの肉は既に私の胃袋の中に収まっている。

その上、私はかなり大食漢だ。

つまり私は "焼肉荒らし" なのだ。焼肉を割り勘で食べに行って、圧倒的に損をするのは何時も相手の方だ。

A印刷のS井さんはそんな事を知らないので、私を焼肉に誘った。もし知っていたら、多分誘わなかっただろう。

しかし先輩のT田さんは私の悪癖(?)を熟知しているので、私に断られても残念がらなかった。私を誘ったのは、一人で行くのが淋しかったからだけで、結局、他の同僚がT田さんのお供をする事になった。

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アルバムタイトルは「Whose Muddy Shoes」。直訳すれば、「泥だらけの靴、誰のや」みたいな感じだろう。

エルモア・ジェイムスとジョン・ブリムの『Whose Muddy Shoes / フーズ・マディ・シューズ』には高純度のブルース・パワーがたっぷりと詰まっている。それはパワーの源、"聴く焼肉" みたいなものだ。それも血の滴り落ちるレアな焼き具合の焼肉だ。そう、焼肉に限らず、肉はレアが一番!

Elmore James & John Brim / Whose Muddy Shoes / 1969

焼肉をレアで食べる時、『Whose Muddy Shoes / フーズ・マディ・シューズ』の曲がじわじわと頭の中で鳴り響く。

エルモア・ジェイムスとジョン・ブリム。しかしこんなオヤジ達とは焼肉を食べに行きたくない。この二人相手では割り勘負けしてしまいそな感じがするからだ。

ジョン・ブリムからは、あまり肉食獣の匂いは感じないが、エルモア・ジェイムスはよく食うだろうなぁ。肉食獣パワーとヴォーカルで鍛えた(?)強靭な顎で少々硬い肉でも、テッチャンみたいなホルモン系でも、容赦なく噛み砕いてモリモリ食べるんだろうなぁ。

大都会の場末の匂いがムンムンしている二人のブルースは、殆どが1953年にシカゴで録音されていてる。シカゴの裏街をうろちょろ徘徊していたら、怪しげなバーのドアの奥から聞こえてきそうなブルース。肉の焦げた匂いがぷんぷん漂うブルースだ。

しっとりとしたアルバム・タイトル曲《Whose Muddy Shoes》もいいが、やはりエルモア・ジェイムスの場合はミディアムテンポでパワフルなヴォーカルとボトルネックギターが堪能できる曲がいい。名曲《Call It Stormy Monday》は実にたまらん。

またもう一人のジョン・ブリムが、リトル・ウォルターのハーモニカをバックに歌う、キャッチーな《Ice Cream Man》も名曲だ。

食欲不振・虚弱体質・冷え性でお悩みの方(養命酒の広告か?)、ブルースのCDが1枚欲しい方には『Whose Muddy Shoes / フーズ・マディ・シューズ』をお薦めする。

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