King Crimson / In The Court of Crimson King
2004年6月20日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================
ジャズやクラシック、フォークなど要素をぶち込んで、それらを卓越した演奏技術で練り上げて、狂気の童話的世界を構築したのがキング・クリ ムゾンの伝説的ファースト・アルバム『In The Court of Crimson King / クリムゾン・キングの宮殿』だ。
キング・クリムゾンといえばロバート・フィリップのワンマン・バンドのように思われているが、このファースト・アルバムでは他のメンバーとのバランスが未だ微妙に成立していた。マルチプレーヤー、イアン・マクドナルドの存在は特に大きく、彼の及ぼした影響や貢献は、演奏面だけではなく、アレンジや作曲面でも大きい。
冒頭の《21世紀のスキッツォイド・マン》はフィリップのド派手なギターのリフとマクドナルドの炸裂するサックスによる重厚なサウンドの上にディストーションをかけたヴォーカルを重ねた、とてつもなくヘヴィで印象的な一曲。
ピート・シンフィールドのリリカルな歌詞が印象的な《風に語りて》や《ムーンチャイルド》ではイアン・マクドナルドがメロトロンやフルートを駆使し、揺らめき、漂うような幻想的なサウンドに仕上げている。
問答無用のタイトル曲《クリムゾン・キングの宮殿》と共に作詞家・ピートの本領が発揮されているのが《エピタフ(墓碑銘)》。
「混乱こそ我が墓碑銘 / Confusion will be my epitaph」
ペシミステックな世界観が叙情的なメロディと荘厳なサウンドの中で歌い上げられている。
インパクトのあるジャケットの作者はピート・シンフィールドの友人だったバリー・ゴッドバー。鏡を覗きながら描いた自画像がベースらしい。イラストによる顔・ジャケのインパクト度数としては、フランク・ザッパの『Weasels Ripped My Flesh / いたち野郎』と双璧だと思う。
私は1971年、高校1年生の夏、この2枚のアルバムを一緒に買って、夏休みの間中、クーラーの無い、暑い四畳半の自室で毎日聴いていた。
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