Carla Bley / Live !
2004年8月20日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================
カーラ・ブレイはピアノを弾く。しかし彼女の本職は作曲家であり、アレンジャーであり、多くの野郎ども束ねて仕切る姉御肌のバンドリーダーなのだ。
このアルバムはサンフランシスコのグレート・アメリカン・ミュージック・ホールにおける1981年のライヴ盤。当然、演奏される全曲がカーラ・ブレイのオリジナル。
10人のメンバー、その内6人が管楽器担当、によるぶ厚いサウンドがライブならではの迫力で鳴り響く。カーラ・ブレイの作曲能力を十分に発揮するにはトリオやカルテットなどよりも大型編成のバンドの方がいいのだろう。
まるでレイヤーのように積み重ねられる様々な管楽器の音色。ノリのいいブラス・ロックのようにホーンセクションが暴れ回る曲から、哀愁漂うトロンボーンの調べがたまらない曲、そしてポップでメロウな曲やファンク風味たっぷりの曲まで、低音が強調された自由奔放・豪放磊落なブラス・サウンドが存分に楽しめるアルバムだ。
カーラ・ブレイはフリー・ジャズの激変期を潜り抜けてきただけに、このアルバムにもフリーっぽい感触は未だ少し残っている。だが出てくるサウンドはそんな範疇を超えて、時にユーモアすら感じられる楽しいものだ。音楽理論が判る人はもっと楽しめるかもしれない。私にその方面の知識がまったく無いのが残念だ。
さて、ジャケットの写真だが、円形スツールに座るカーラ・ブレイは、まるで映画『ブレードランナー』に登場する女性レプリカントと、元コロンビア代表の名ミッドフィールダー、“怪傑ライオン丸”ことカルロス・バルデラマを合体させたみたいだ。姉御肌のカーラにはぴったりのルックスか?
フリー・ジャズにそれ程アレルギーを感じず、ノリいい分厚いブラス・サウンドが好きな方には無条件でおすすめ出来るアルバム。
因みにこのアルバムの邦題は『ライヴ ! (艶奏会)』。これはなかなか洒落た邦題で、このアルバムの魅力をなんとなく凝縮しているようだ。