
Stevie Ray Vaughan / Live Alive

2004年7月20日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================
ジョニー兄貴の仇はオレが討つ。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンは83年に『Texas Flood / テキサス・フラッド ブルースの洪水』でデビューするや、大センセーションを巻き起こした。
私にはスティーヴィーの活躍がジョニー・ウィンターの敵討ちのように見えてならない。自分の音楽を認めてくれた同郷テキサス出身のジョニーは、かつて”100万ドルのブルース・ギタリスト”ともてはやされ、大々的にデビューした。しかしレコード会社の思惑等に翻弄されたのか、その後ジョニーは精神に異常をきたし、一時期シーンから完全にフェードアウトしていた。
同じテキサス・ブルースをバックボーンに持つ二人だが、スティーヴィーの音楽は、ジョニーのそれよりも遥かにロックっぽく、特にバックバンド、ダブルドラブルのノリのいいB級ドライブ感は抜群だ。このあたりがジョニー・ウィンターとは一味違う。
そんなスティーヴィーのブルース・ロックを存分に味わうにはライブが一番。『Live Alive / ライヴ・アライヴ』は、やはりロック・バンドの良し・悪しはライブに現れるという当たり前の事を再確認させてくれる。有名なデビュー・アルバムや二作目の『Couldn't Stand The Weather / テキサス・ハリケーン』も素晴らしい出来だが、ライブでこそスティーヴィーとダブルドラブルが生み出す、まるでじっくり煮込んだスパイシーで脂身たっぷりのシチューのような、味わい深いブルース・ロックが堪能できる。
ブルース・ロックの教科書のようにルーズでノリのいい《Say What !》から始まりるこのアルバムに収録されている曲は、スティーヴィー・ワンダーの《Superstition》、ジミ・ヘンドリックスの《Voodoo Child (Slight Return)》などのカバー曲も含め、全部で14曲。その全てが、ぎっとり油っ濃い。
一番のお気に入りは《Willie the Wimp》。直訳すれば”泣き虫ウィリー”。これは28歳で殺された、実在したギャングの息子の葬儀をコミカルに歌った、いささか罰当たりな曲。しかしファンキーで実に楽しい。
ライブでは殺されても死なないようなタフネスさを発揮していたスティーヴィー・レイ・ヴォーンだが、1990年にヘリコプターの事故で帰らぬ人となってしまった。享年35歳。合掌。
And More...

