Alice Cooper / Killer
2004年4月30日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================
蛇をクローズ・アップした赤くて毒々しいジャケットが好きだ。
ロックのレコードにはインパクトの強いジャケット・デザインが多いが、このアルバムもなかなかのもの。
3作目の『スクールズ・アウト』も楽しいが、ジャケットのパワーとレコードで言うB面の出来で2作目の本アルバムを選んだ次第だ。
日常生活に含まれる狂気やホラー性をストレートにえぐりだすアリス・クーパーの曲は文学的であり、演劇的でもある。
病んだ社会を派手で脳天気なロックで歌い上げるアリス・クーパーのパフォーマンスは風刺性に溢れている。それは師匠筋であるフランク・ザッパから学んだものか?
アリス・クーパーの社会への視点を凝縮しているのが《Dead Babies》で、この曲ではアル中の父親と色情狂の母親、そして腹をすかしてアスピリンを食べて死んでしまう子供がドラマティックに描かれている。
こんな風に書くと、なんとなく難しそうだが、アリス・クーパーの音楽はストレートなロックン・ロール調のものがほとんどで、理屈抜きで楽しめる。この辺りの判りやすさが日本ではネックになったようだ。インテリ風にロックを聴きすぎる傾向が強かった為か、“判りやすさ = 単純 = 低級” という図式で、アリス・クーパーに対する評価は残念ながら低かった。
それに当時のトレンドは両性的なファッションが売りだったグラム・ロック。
デヴィッド・ボウイやT・レックス、ロキシー・ミュージックなど、ブリティッシュ系のスタイリッシュなグラム・ロックが全盛だった頃、アリス・クー パーの音楽やファッションはあまりにもB級的なインパクトが強く、そしてあまりにも味付けが、アメリカのジャンク・フードのように、濃すぎたのだろう。
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