Art Blakey / A Night At The Birdland, Vol 1,2
2004年8月20日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================
これは1954年2月21日にニューヨークのジャズ・クラブ 「バードランド」にてライブ録音されたもの。半世紀以上も前、当然私が生まれる前の録音だ。
しかしこのアルバムから溢れ出るのは、時間に侵食されない、熱気に満ちたジャズ・スピリットだ。
バードランドの名物司会者、ピー・ウィー・マーケットのバンド紹介後、まるで堰を切ったように怒涛《Split Kick》が始まる。
アート・ブレイキーのドラムとホレス・シルヴァーのピアノはフロントの2管を後ろから尻を蹴飛ばすように煽りたてる。
それに応じるように、トランペットのクリフォード・ブラウンとアルトサックスのルー・ドナルドソンが飛ばしに飛ばす。そして熱気をはらんだ音楽の塊は弾け散り、スリリングな緊張感とノリノリの高揚感が辺り一面を支配する。
これは新たなジャズのスタイル、ハード・バップが生れ落ちた瞬間の録音で、このスタイルは後のニューヨークのジャズシーンを決定づける。
アートとホレスの二人は”ハード・バップ学校”の師範みたいなもので、他のミュージシャンにも多大な影響を与えながら、ブルーノート・レーベルに数多くの名作を残す。
このアルバムではルー・ドナルドソンの演奏も素晴らしいが、やはり聴きどころは2年後に交通事故で若くして他界するクリフォード・ブラウンのトランペットだ。まるで放流のような勢いのある演奏はあまりにも圧倒的。
クリフォード・ブラウンは後にマックス・ローチと双頭コンボを結成し、名作を多数残す。しかし個人的にはきっちり計算されたローチとのプレイよりも、このライブで聴くことが出来るハイテンションで奔放な演奏の方が好きだ。
こんな名演奏を生で聴けた人達は幸せだ。
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