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Ry Cooder / Boomer's Story

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Boomer's Story / 1972

2004年7月10日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================

スライド・ギターの名手であり”ルーツ音楽の探検家”、ライ・クーダーの引き出しの中には、古い1920~30年代のフォーク・ソングやブルースなどのアメリカ・ルーツ音楽から、メキシカンやハワイアン、キューバンなど、アメリカ周辺のルーツ音楽までが、しっかりと保管されている。

『Boomer's Story / 流れ者の物語』は『Into The Purple Valley / 紫の渓谷』の後にリリースされた、ライ・クーダー三作目のアルバムであり、”ルーツ音楽の探検家”ライ・クーダーがアメリカ南部へと向かう旅の音楽的記録だ。

ライがこの旅に携えるのは、ギターやマンドリン程度。同行するメンバーの構成も最小限。シンプルな構成で聴かせる曲は、トラディショナル・ナンバーや古いブルースのカバー曲などが中心で、オリジナル曲はない。

南部へと向かう途中のロードサイド。乾いた空気と強い日差しの中、土煙だけが舞う荒涼とした大地。周りにあるのは僅かの草とサボテン。遠くに見えるのは赤土の禿げ山。そんな所にポツンと佇む一軒のバラック風のバー。

バーのカウンター周りに佇むのは、首の辺りが日焼けした、レッドネックたち。くたびれたキャップを被り、着ているものは色落ちしたT・シャツに擦り切れたジーンズ。生温い瓶ビールをちびちびラッパ飲みしている。

『Boomer's Story / 流れ者の物語』に収録されているのは、そんなシーンで流れてきそう音楽ばかり。これはロード・ムービーではなく、彷徨う流れ者の”ロード・ミュージック”だ。

ロード・ムービーの名作『パリ、テキサス』は1984年、第37回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞する。これはテキサスを舞台に、一人放浪する男の妻子との再会と別れを描いたヴィム・ヴェンダース監督の作品。
『パリ、テキサス』のサウンド・トラックを手掛けたのがライ・クーダー。ここではライのスライド・ギターが冴え渡る。
また背中が大きく開いた赤いニットを着たナスターシャ・キンスキーの美しさも筆舌に尽くしがたい。

『Boomer's Story / 流れ者の物語』には、ある種のアメリカの心象風景が見事に描かれている。

And More...

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Ry Cooder
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Into The Purple Valley
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Paradise And Lunch
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Paris,Texas

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