Rickie Lee Jones / Rickie Lee Jones
2004年7月10日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================
リッキー・リー・ジョーンズは何の前触れも無く、ある日突然姿を現した。
ミニ・シガーを口にくわえ、乱れた髪のと憂いのある表情。そんなジャケットを見て、リッキーが何処の誰とも一切知らないまま、このアルバムを衝動的に買ってしまった。
音楽が流れ始めた途端、部屋の中は黄昏色に染まり、香ばしい匂いに包まれた。行ったことはないけれど、サンタモニカやベニスビーチの夕暮れ時はこんな感じなのだろうか?
このデビュー・アルバムでは《Chuck E.'s in Love》が一番有名だが、その他にも哀愁たっぷりの《Night Train》、ブルージーな《Easy Money》、ノリのいい《Danny's All-Star Joint》などご機嫌な曲がたっぷり詰まっている。その中でも《Company》が素晴らしい。それはピアノとハープ、そしてストリングが奏でる切ないほど美しい最高級のラブ・ソングなのだ。ハスキーでしっとりと語りかけるようなリッキーのヴォーカルはたまらん。
どの曲も、かつて何処かで聴いたことがあるような気がする。しかしその曲が誰のどの曲なのか、全く思い出せない。
不思議な郷愁感と既視感 / déjà vu ならぬ既聴感 / déjà écouté (造語です)が漂う名盤。
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